ロボットは“昼夜問わず”働いている スーパーの裏側で起きていること

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2025年04月29日 09:21  ITmedia ビジネスオンライン

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日本のスーパーでも清掃ロボットが増えてきた

 ロボットは目に見えるところで動くとは限りません。夜、みなさんが寝静まった頃にひっそりと、そして一生懸命に働いているロボットもたくさんいます。食品を作る現場ではなく、作られた商品を売る小売の現場で活躍しているロボットを見てみましょう。


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 私たちが日常的に訪れる店舗のなかで出会うロボットとしては、掃除ロボットが多いかもしれません。実際、大手スーパーマーケットでは、営業時間中でも掃除ロボットが自動で店舗内をクルクルと動き回り、常に清潔な環境を整えています。


 さらに、夜が訪れると、見慣れないロボットが登場します。例えば、閉店後の店舗では棚を管理するロボットが活躍しています。


 米国の大手スーパーであるウォルマートでは、ロボットが陳列棚の前をカメラでスキャンしながら走行し、商品がきちんと並んでいるか、欠品がないか、値札が正しいかをチェックして、スムーズな店舗運営をサポートしています。この作業を通じて、従業員が手動でおこなうよりも時間を大幅に短縮し、必要な商品を迅速に補充できるようになるのです。棚管理ロボットを導入した結果、在庫の正確性が向上し、欠品率が20%減少しています。


 それだけではありません。一般的に小売店には、在庫切れにより平均で売上の6.5%のロス、在庫不足により2%の購買機会ロス、そして窃盗や管理ミスによるロスが1.5%あると言われていますが、ロボットを活用することで、これらを合わせた約10%のロスを削減することができるのです。


 欠品を見つけるだけではなく、飲料や食品の補充をおこなうロボットも増えてきており、例えばファミリーマートは、ロボットが棚に商品を補充するシステムを300店舗に導入しようとしています。お客さんが「いま飲みたい!」と思った瞬間に、必要な商品がすぐに手に入る、そんな便利さを実現しているのです。


 店舗としても欠品による販売機会のロスを防げたり、従業員が商品補充の手間から解放されたりするだけでなく、このロボットが店舗の裏側からペットボトルを補充しているあいだ、店員は接客や他の業務にもっと集中できるようになり、顧客サービスの向上につながります。店舗作業の2割の業務量を効率化することができ、1日あたり10時間分の人件費削減につながるとの報告もあります。


 そして、昼も夜も警備ロボットが店舗内を巡回し、安全を見守る姿も忘れてはいけません。トラブルが発生した場合でも店舗スタッフや警備員に知らせ、迅速な対応が可能になります。警備ロボットの導入は、店舗に限らず、公園など公共空間に対してもおこなわれており、米国では警察の呼び出しが10%減、犯罪報告数が46%減といったデータも出ています。


 また、犯罪の抑止力としても効果があるため、監視カメラと連携することで、セキュリティも強化され、顧客は安心してショッピングを楽しむことができます。


 このように小売などの店舗の目に見える場所、見えない場所で、ロボットたちは活躍を始めました。紹介したロボット以外にも接客ロボット、案内ロボット、レジロボットなど多くのロボットが店舗に現れることになるでしょう。これらのロボットが、店舗運営を効率化し、よりよいショッピング体験を提供していくのです。


(安藤健、ロボット開発者)



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