ローソン「値下げ&増量」ができた理由…コンビニ、一転して値下げ競争の号砲?

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2025年04月29日 18:00  Business Journal

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ローソン「ハムたまごBOX」

●この記事のポイント
・ローソン、一部サンドイッチ類を値下げし、具材の使用量を従来品と比較して約2割増量
・値上げを続けてきたコンビニ各社が値下げの動き。業界全体で値下げ競争が始まる可能性も指摘
・ローソン「少しでもお買い求めやすい価格の商品のご提供もしていきたいと考えています」


 原材料価格・エネルギーコストや人件費の高騰を受けて商品・サービスの値上がりが続くなか、ローソンが今月、総菜類の一部商品を11〜21円値下げし、具材を約2割増量したことが注目されている。スーパーなどと比較して割高な価格とされ、これまで値上げを続けてきたコンビニエンスストアだが、セブン-イレブンやファミリーマートなど大手チェーンも値下げの動きを見せており、業界全体で値下げ競争が始まる可能性も指摘されている。ローソンやコンビニ業界関係者への取材をもとに、現状と今後の展開について追ってみたい。


●目次



ローソンが値下げと増量に踏み切った理由
セブンの既存店客数が前年割れが大きな契機か

 今回ローソンが値下げするのは、サンドイッチ類の「たまごサンド」と「ハムたまごBOX」。「たまごサンド」は21円値下げして279円に、「ハムたまごBOX」は11円値下げして354円にする。値下げに加えて、具材の「たまごサラダ」の使用量を従来品と比較して約2割増やした。さらに品質も改良。「たまごサラダ」の酸味をやわらげ、たまごの風味をより感じられるものに変更し、口当たりがソフトになるようにパン生地の配合も見直した。ちなみに「たまごサンド」は増加する訪日外国人から高い人気を得ており、インバウンド需要の高い空港内のローソン店舗でにおける販売数は全国平均と比較して約14倍になっているという。


 値下げの動きは他チェーンでもみられる。ファミリーマートは以前から消費期限の迫った総菜類を値下げして販売していたが、対象商品に貼るシールを3月から消費者の感情に訴えかける「涙目シール」に変更し、店舗で発生する食品ロスを年間で約3000トン削減することを見込んでいる。


 セブン-レブンは昨年7月、従来からある「味付海苔 炭火焼熟成紅しゃけ」(税込189円)の販売を継続する一方、「手巻おにぎり しゃけ」(138.24円/現在は149.04円)を発売。税抜価格は128円で120円台に抑えた。このほか、「手巻おにぎり ツナマヨネーズ」を138.24円(現在は149.04円)で発売したが、従来151.20円で販売していた同名商品からの切り替えとなるため、事実上の値下げを行った。9月には、手頃な価格の「うれしい値!」商品を200アイテム以上に拡充。牛乳やポテトサラダなどPB「セブンプレミアム」の一部商品も「うれしい値!」商品として扱いを始めた。もっとも、今年1月には「うれしい値!」の対象商品も含めて一部商品を平均で約10%値上げしており、試行錯誤を続けている様子がうかがえる。


ローソンが値下げと増量に踏み切った理由

 値下げと増量に踏み切った理由についてローソンに聞いた。


「『盛りすぎチャレンジ』については単なる値下げではなく、お客様と一緒にワクワクできる企画と考え実施しています。たまごサンドについては、物価高が続く中、お客様に人気の定番商品を少しでもお買い求めやすい価格でご提供したいと考え実施しました。


 値下げを実現できたのは主に以下の2つの取り組みによるものです。これまでは、たまごサラダを使用する約10種類のサンドイッチに対して、2種類のたまごサラダを使いわけていましたが、1種類に統一しました。たまごサラダの原材料・調味料を見直してシンプルな仕立てにしました」


 では、今後も値下げ対象商品を拡大させていく予定はあるのか。


「原材料や容器・包材の価格高騰、輸送コストの上昇等が続いており、ローソンでも一部商品の仕様や価格を見直さざるを得ない状況です。そのなかでも様々な工夫で、少しでもお買い求めやすい価格の商品のご提供もしていきたいと考えています」(同)


セブンの既存店客数が前年割れが大きな契機?

 大手コンビニ各社の動きを受けて、コンビニ各社が値下げ路線に転換し始めるのではないかとの見方も出ているが、業界関係者はいう。


「昨年3月にコンビニ最大手のセブンの既存店客数が前年割れになったことが、一つの大きな契機になりました。ここ数年、コンビニ各社は値上げを続け、それでも客数が目立って落ちることはありませんでしたが、長年にわたる実質賃金の低下で消費者の財布が苦しくなるなか、ついに消費者がコンビニの割高な価格についてこれなくなったと業界内では受け取られました。これを受けて各社の間で『そろそろ値下げも本格的に考えるべき』というムードが広がった面はあるでしょう。


 ただ、今後もコンビニ業界で値下げが加速するのかといえば、簡単にはそうはならないでしょう。例えば、昨年に値下げと割安商品の拡充の方針を示したセブンが早々に戦略の見直しを迫られたように、一部商品の値下げが全体の売上増加にストレートに結びつくというかたちには、なかなかならないですし、値下げは利益を削ぐ要因にもなります。よって、当面は各社、価格戦略についてマイナーチェンジしながら模索を続けるという状況になるのではないでしょうか」


(文=BUSINESS JOURNAL編集部)



このニュースに関するつぶやき

  • いかにも三菱商事らしい荒業だな。これはさすがに他社は追従できないだろう。
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