構想12年…京都銘菓「おたべ」がふわふわ食感に華麗なる変身!? まるで洋菓子の味わい…1日100箱売れる大ヒット商品に

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2025年04月30日 12:20  まいどなニュース

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雲の間を漂うほどふわふわしている「ふわふわおたべ」(画像提供:株式会社美十)

京都銘菓といえば、米粉と砂糖を練り合わせた生地に餡子を包んだ三角形の「おたべ」を思い浮かべる人が多いだろう。もっちりした「おたべ」の食感を「ふわふわ」にした新しい「おたべ」が、この春にデビューした。

【写真】「おたべ」と「ふわふわおたべ」、並べると違いは一目瞭然です

製造販売元の株式会社美十(びじゅう/以下、美十)広報課長の山盛雅美さんに、開発の経緯を聞いた。

京都銘菓「おたべ」のイメージを変えるふわふわおたべ

京都銘菓「おたべ」のイメージを覆す真っ白な生地に餡子を三角に包んである外観は、これまでの「おたべ」スタイルを踏襲している。だが、その食感がまるで異なる。厚みが従来の「おたべ」の2倍はある生地がふわふわで、いい意味で歯ごたえがない。口に入れると「ふわふわ」に加えて「とろとろ」な感触にもなり、こし餡とバターを合わせた「こしあんバター」の風味と相まって、洋菓子のような味わいが楽しめる。

「おたべ」のイメージを変えるふわふわ感の秘密は、餅粉でつくった生地を蒸した後にメレンゲを練り合わせてあること。空気を含ませることで、柔らかくてふわふわの食感を出すことに成功した。

今年3月に発売して以来、大ヒットしているという。店舗のスタッフさんに聞くと「多いときで1日に100箱売れる日もあります」とのこと。

実は「おたべ」は、美十で製造販売している生八つ橋のブランド名で、生八つ橋に餡子を挟んで三角に包むアイデアも1966年に美十が最初に始めた。

技術的な問題を克服して12年の構想が実を結んだ

生八つ橋といえば三角形というイメージが定着したが、真似をされたら売り上げが落ちる。商品開発の担当者が、何か新しい技術を入れてこれまでになかった商品をつくりたいと考えていたところ、京都に古くからある、求肥に卵白と白餡を加えて練り上げた和菓子の「雪平(せっぺい)」を使えないかと閃いた。12年前のことだ。

しかし、量産化に向けた設備等の課題へ対応ができなかったため、開発はいったん見送られた。

「開発は見送られましたが、試作品は美味しくできていました」

開発担当者の情熱は消えることなく、5〜6年前から仕事の合間を見て開発を再開したという。工場で稼働していない機械を独自に改良し、課題だった餡子の包み方にも工夫を加えた。

「2通りのつくり方が見えてきたので社長にプレゼンをしたところ、商品化に向けてプロジェクトが動きはじめました」

こうして、初めに着想してから12年の時を経て「ふわふわおたべ」は商品化に成功した。今年3月、京都駅でお披露目の販促イベントを開催すると、京都駅で取り扱っている店舗にお客さんが訪れたという。

「ふわふわおたべ」は取材した時点では京都での限定販売で、5個入り756円(税込み)。京都土産にいかがだろうか。

余談ながら、先述したように「おたべ」は美十で製造販売される生八つ橋のブランド名。「ふわふわおたべ」は三角形のスタイルで「おたべ」のブランドを謳っているが、「生八つ橋」ではないそうだ。

「当社では米粉を使用したものを生八つ橋といっています。そのため、米粉ではなく餅粉を使用した『ふわふわおたべ』は生八つ橋とは謳えません。あくまで『おたべブランド』のバリエーションのひとつです」

一方、「おたべ」と並ぶもうひとつの主力商品「京ばあむ」という抹茶生地のバームクーヘンも人気で、おたべ本館から道路を挟んで、カフェを備えた専門店ができている。事前に予約すれば、バームクーヘンを1本焼ける体験ができるそうだ。

(まいどなニュース特約・平藤 清刀)

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