東京地裁=東京都千代田区(EPA時事) 東証プライム上場の炭素製品メーカー「日本カーボン」(東京)の研究員だった男性社員=当時(25)=が2021年に自殺したのは、当時の上司の強い叱責などが原因だとして、両親が30日、同社と元上司に計約9000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
訴状によると、男性は19年4月に入社。約半年後に滋賀県の研究所に配属されたが、21年1月に社宅で自殺した。東近江労働基準監督署は昨年4月、自殺の2カ月前にうつ病を発症したと判断し、業務との因果関係を認めて労災認定した。
両親側は、元上司が男性に達成困難なノルマを課した上、具体的な指示をせずに「お前は使えない」「価値がない」などと厳しい指導や叱責をしたと主張。会社も過重な業務と認識し、自殺を予見できたのに注意を怠ったとしている。
両親は30日、代理人を通じ「息子が悲痛な思いで電話をかけてきた時、帰っておいでとなぜ言えなかったのだろうと常に悔やんでしまう。世の中を多少なりとも変えることができれば」とのコメントを出した。
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