
不動のボランチとしてジュビロ磐田の黄金期を支え、2006年開催のドイツワールドカップには、日本代表の中心メンバーとして出場。日本サッカーが世界水準へと飛躍していく瞬間をピッチの中央から見つめていた福西崇史。
そんな福西崇史が、サッカーを徹底的に深掘りする連載『フカボリ・シンドローム』。サッカーはプレーを深掘りすればするほど観戦が楽しくなる!
第125回も前回に引き続き、特別対談企画をお届け。グラビアでも活躍するタレントで、FC東京サポーターとしても知られる鈴原すずと福西崇史のサッカー対談の第3弾。熱烈なFC東京サポーターの彼女が注目する選手、また今季のチームを「これからが楽しみ」と語る理由とは。
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■負けても「これからが楽しみ」と思える今季のFC東京
――鈴原さんはご両親の影響で昔からFC東京のサポーターということですが、松橋力蔵(りきぞう)新監督となった今シーズンのFC東京は、どのように見ているんですか?
鈴原 昨シーズンのFC東京は、個の能力の高い選手がたくさんいる強みを生かすようなサッカーをしていて、縦にダイナミックなサッカーが魅力だったと思います。
松橋監督に代わった今シーズンからチームでどういったサッカーがしたいのか、その形が見ている方にも伝わってくるんですよね。だからたとえ負けてしまったとしても「意味のある試合だった」と感じるサポーターの方もすごく多いと思います。負けるのは悔しいですけど、「これからが楽しみ」と思えるチームだなと思っています。
福西 FC東京は鈴原さんが言うように、松橋監督がチームにスタイルを根付かせている段階で、時間はかかるという印象ですね。監督がやりたいサッカーというのは明確でしょうし、それを選手たちが理解して、実際にやりながら少しずつ形になりつつあると思います。
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ただ、それで結果が出るかはまた別。結果が出たから良い、出なかったから悪いではなくて、どういう意図を持ってチームとしてやれているかが大事な段階。でも一方で、監督としては手探りな部分があったとしても結果も出さなきゃいけない。そんな状況だと思いますね。
■森重真人のポジショニングの良さに注目
――FC東京の若手選手では、ファジアーノ岡山に期限付き移籍している佐藤龍之介選手が注目選手ということでした。他にもFC東京で注目していたり、好きな選手はいるんですか?
鈴原 やっぱり守備を見るのが好きなので、森重真人選手が好きですね。
福西 森重のどんなところが好きなんですか?
鈴原 キックが上手だったり、ボールを持ち運ぶのが上手かったり、技術がすごく高いところも良いと思うんですけど、一番はポジショニングが良いところですね。
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福西 確かに森重はポジショニングはもちろんですけど、テクニックも守備ラインの統率力もあって、DFとしての能力がどれも高いレベルにある選手ですね。
鈴原 福西さんは現役時代にポジショニングってどう考えながらプレーしていたんですか?
福西 僕はあまり体力がなくて走れないから、どこが一番最重要拠点かというのを見るんですけど、やっぱり先々を見ながらプレーしていましたね。
鈴原 「先々」ってどういう風に見ていたんですか?
福西 例えば、日本代表で伊藤洋輝がボールを持ったとします。そこでボランチとしては、サポートに行く、あるいは縦にクサビのパスを入れた後のサポートの動き、またはロングボールを蹴ってあとのラインを上げるだったり、もしかしたら伊藤が取られるかもしれないから、守備のリスク管理もしなければいけないとか、色んな選択肢が出てくるんですね。
色んな選択肢を踏まえた上で、どれが最適な選択なのか。その状況、その一瞬の中で選ぶ必要があります。もしミスして取られそうならボランチは前に行かずに、後ろでの選択肢を探す。大丈夫な状況だったら攻撃の選択肢を探す。そうやって先々のことをイメージ、予測してポジションを決めるということですね。
こういうのはやっぱり経験がものを言うので、森重みたいな経験豊富な選手はより良いポジションが取れるということだと思います。
■松木玖生がルーキーから活躍できた強烈なメンタルとフィジカル
――若手の選手を見るのが好きということですけど、他に好きな若手選手はいるんですか?
鈴原 今はトルコのギョズテペSKというチームでプレーしている松木玖生(くりゅう)選手は、高校サッカー時代からすごく注目している選手の一人です。
福西 佐藤選手ともまた違ったタイプの選手ですよね。どんなところに注目しているんですか?
鈴原 やっぱりあのフィジカルですよね。若手が好きなので、高校サッカーもよく見ているんですけど、青森山田高校ですごく活躍していたので注目していました。それでFC東京に高卒で入ってきてくれたので、すごく思い入れがあるというか。
福西 注目して応援していた選手が、自分の好きなチームに入ってくれたらそれはうれしいですよね。
――松木選手はルーキーイヤーからすごい活躍でしたけど、当時はどのように見ていたんですか?
鈴原 めちゃくちゃメンタルが強いなって。堂々としていて、本当に高卒なのかなって思うくらいすごかったですよね。
福西 僕も高卒でジュビロ磐田に入団しましたけど、あんなことは絶対にできない。僕が磐田で自由にできて、キャプテンシーを発揮できるようになったのは、上の選手たちが半分以上いなくなってきてからでしたね。
森重真人とか、経験のある選手たちが引き立ててくれたところもあったと思いますけど、それにしてもあのメンタルの強さはすごいと思いますね。もちろん、フィジカル的にも、高卒でいきなりプロの舞台であれだけ通用したというのは、すごいことですよね。
鈴原 また松木選手のように若手でもチームの中心になって活躍できるような選手が、FC東京から出てきてくれるとうれしいですね。
●鈴原すず
2005年9月4日生まれ
趣味=サッカー観戦(日本サッカー協会公認3級審判員)
特技=和太鼓、書道、百人一首
〇2023年の芸能デビュー後、各グラビア誌を席巻。最近では豊富なサッカー知識を生かして、FC東京の公式イベントや番組に出演して「ガチすぎる」と話題に。
公式X【@suzu_suzuhara】
公式Instagram【@suzu_suzuhara.official】
構成/篠 幸彦 撮影/鈴木大喜