写真 ZOZOが、2025年3月期(2024年4月〜2025年3月)の決算を発表した。商品取扱高は前年同期比7%増の6143億6000万円、営業利益は同7.8%増の647億5000万円と好調に推移。また、説明会では同社の澤田宏太郎代表取締役兼CEOが、2025年4月に発表した英ファッションプラットフォーム LYST社買収を踏まえ、グローバル市場での成長を加速させるための戦略について説明した。
現在ZOZOは、国内事業で積み重ねてきたノウハウと技術資産を基盤に、ボディーマネジメントサービスの「ゾゾフィット(ZOZOFIT)」や、事業者向け計測業務効率化サービスの「ゾゾメトリー(ZOZOMETRY)」を主力に海外展開を行っている。澤田代表はグローバル事業について「何度か挑戦と失敗を繰り返してきた」と前置きしたうえで、ビジネスモデルの構造や価値観に共通点があり、戦略的親和性が高いLYST社を子会社化したことで、欧米市場への進出と、ラグジュアリーマーケットへの拡大を本格化すると語った。
LYST社は2010年にイギリス・ロンドンで創業。現在はアメリカ、イギリス、ドイツを中心に事業を展開している。2万7000以上のブランド商品情報を集約し、独自のレコメンドAIにより消費者に最適な商品をパーソナライズして提案する在庫を持たないショッピングプラットフォームをベースに、取引先から成果報酬型の手数料を得るビジネスモデルを採用しており、2024年3月期の売上高は5014万ポンド(約95億7774万円)、営業利益は44万ポンド(約8406万円)。商品の平均注文単価は6万3000円と、ZOZOの平均出荷単価8980円(2025年3月期)を大きく上回っている。
現在海外のファッションEC事業者は、低価格競争や送料優遇競争、返品条件暖和競争などが激化することで収益性が悪化しているだけでなく、取り扱うブランドの価値毀損も引き起こしていると澤田代表は分析。今後ZOZOは、これまで培ってきた強みや技術、データ資産などを、LYST社の強みと掛け合わせることで、グループ全体のシナジー創出を目指すとしている。具体的には、ZOZOが得意とする日本市場と、LYST社が得意とする欧米市場、特にラグジュアリー領域を補完しあうことで、グローバルでリーチ拡大を進めるとともに、ZOZOが培ってきた計測技術とLYST社のSEOノウハウやパーソナライズ技術を統合することで、ユーザー体験を進化させたい考えだ。さらに、システム基盤やバックオフィス領域の共通化を通じて、効率性や収益性の改善も見据える。
説明会の最後には、LYST社のエマ・マクフェラン(Emma McFerran)CEOがVTRで登場。「LYST社にとって、ZOZOグループが最適なパートナーであると確信している。ZOZOの豊富なデータベースと、EC領域で培ってきた知見・サポート体制により、LYST社が展開する最先端のAIによるファッションディスカバリー体験は、さらにスピード感を持って進化していくと考えている」とコメントした。
■ZOZO 2025年第1四半期連結業績商品取扱高:6143億6000万円(前年同期比7%増)営業利益:647億5000万円(前年同期比7.8%増)