英1000ギニーを展望 C.アップルビー師が「これほどの馬で臨むのは初めてだ」と期待寄せる中心馬とは

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2025年04月30日 21:00  netkeiba

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▲合田直弘が海外競馬の「今」を詳しく解説!(c)netkeiba
【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】

◆各社1番人気は今季初戦のザートフラワー

 今週は、5月4日にニューマーケット競馬場で行われる牝馬三冠初戦のG1英1000ギニーの展望をお届けしたい。

 ブックメーカー各社が2.2〜2.25倍のオッズを掲げて1番人気に推しているのが、チャーリー・アップルビー厩舎のデザートフラワー(牝3、父ナイトオブサンダー)だ。

 ゴドルフィンによる自家生産馬で、G2バランシーン(芝1800m)など5重賞を制した他、G1ジェベルハッタ(芝1800m)4着などの成績を残したプロミシングランの2番仔にあたる。1歳年上の半兄アーブラン(セ4、父ドゥバウィ)は、2歳時にG3ソラリオS(芝7F)を制したが、3歳シーズンは一度も出走がなかった。

 デザートフラワーは、昨年7月にデビュー。ニューマーケット競馬場のメイドン(芝7F)を3.1/4馬身差で制してデビュー勝ちを飾ると、続くニューマーケット競馬場の条件戦(芝7F)も6.1/2馬身差で連勝。重賞初挑戦となったドンカスター競馬場のG2メイヒルS(芝8F)も1.1/2馬身馬身差で制し、3連勝で重賞初制覇。2歳最終戦となったニューマーケット競馬場のG1フィリーズマイル(芝8F)も制し、無敗の4連勝でG1初制覇を果たして、2歳シーズンを終えている。

 10月11日のG1フィリーズマイルを、筆者は現地で見ることが出来たが、好スタートから3番手で折り合い、残り3Fを切った辺りから鞍上が仕掛けると、素早い反応を見せて残り450mで先頭へ。本気を出したのは残り1Fからで、そこから一気に後続を突き放し、2着以下に5.1/2馬身差をつける快勝だった。すなわち、ニューマーケット競馬場のローリーマイルにあるゴール前のきついのぼりを、まったく苦にしなかったのである。

 G2メイヒルSもG1フィリーズマイルも、2着はA.オブライエン厩舎の素質馬ジャニュアリー(牝3、父キングマン)だったが、メイヒルSでは1.1/2馬身だった両馬の差が、フィリーズマイルでは5.1/2馬身差に広がっており、2022年生まれの牝馬では1頭抜けている印象を持った。

 この冬はドバイには渡らず、ニューマーケット競馬場で過ごした同馬。前哨戦を使わず、G1英1000ギニーが今季初戦となるが、4月16日にニューマーケット競馬場で、主戦のウィリアム・ビュイック騎手を背に7Fのレースコース・ギャロップを敢行。ピカピカの毛艶と軽快な脚さばきは、居合わせた関係者やファンの耳目をおおいに惹き、ブックメーカー各社は、英1000ギニーにおける同馬のオッズを下げることになった。

 意外なことに、同馬を管理するアップルビー師はG1英1000ギニー未勝利だが、「これほどの馬で1000ギニーに臨むのは初めてだ」と初制覇への意欲を語っている。

 オッズ6〜7倍の2番人気は、自身8度目の英1000ギニー制覇を狙うエイダン・オブライエンが管理するレイクヴィクトリア(牝3、父フランケル)だ。

 クールモアによる自家生産馬で、G1コモンウェルスC(芝6F)やG1スプリントC(芝6F)を含めて、5F〜6Fの重賞を6勝したクワイエットリフレクションの4番仔となるのがレイクヴィクトリアだ。

 昨年6月にデビュー。カラ競馬場のメイドン(芝7F)、ニューマーケット競馬場のG3スイートソレラS(芝7F)、カラ競馬場のG1モイクレアスタッドS(芝7F)、ニューマーケット競馬場のG1チーヴァリーパークS(芝6F)、デルマー競馬場のG1BCジュヴェナイルフィリーズ(芝8F)をすべて白星で通過し、5戦5勝で2歳シーズンを終えている。

 実を言えば、2歳シーズンを終えた段階では、英1000ギニーの前売りマーケットで1番人気の座にあったのはレイクヴィクトリアで、差のないオッズで2番人気だったのがデザートフラワーだった。

 ところが、3月24日にエイダン・オブライエン調教師の拠点バリードイルで行われたメディアモーニングの場で、レイクヴィクトリアの調整が遅れ気味であることを調教師が発表。同じ場で、牡馬のザライオンインウィンターの調整遅れも公表されたが、3月半ばにカラでレースコース・ギャロップを行ったレイクヴィクトリアの調整は、ザライオンインウィンターほどは遅滞していないとして、英1000ギニーには「間に合うと思う」とコメント。英1000ギニーの前売りリストには残り、デザートフラワーとはオッズにかなり差がある2番人気となっている。

 前述したように、レイクヴィクトリアの母は生粋のスプリンターで、デルマーの平坦馬場では8Fをこなしたものの、起伏のある馬場での8Fで同じような競馬が出来るか、若干の懸念もあると見られている。

(文=合田直弘)

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