静かに進む「米国離れ」=トランプ関税、世界を翻弄―政権100日

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2025年05月01日 08:02  時事通信社

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就任から100日となった4月29日、米ミシガン州ウォーレンでの演説会場に着いたトランプ大統領(AFP時事)
 【ワシントン時事】トランプ米政権の発足から100日。戦後、米国が主導した自由貿易体制に背を向け、相次ぐ高関税政策で世界を翻弄(ほんろう)し続けた。日本を含む各国・地域は、関税率引き下げや減免措置を求めて米国との交渉を本格化させている。一方で、貿易相手国の多角化を進める「米国離れ」の動きも出始めた。

 「米国は全世界から尊敬され、世界中から大統領に会いに来る。インドもフランスもスペインも中国もだ」。4月29日、中西部ミシガン州で演説したトランプ大統領は、「世界から求められる米国」を演出し、満足げな表情を浮かべた。

 トランプ政権は4月9日に相互関税の一部を90日間停止した後、各国・地域との交渉を本格化。「75以上の国・地域から話を聞いた」(レビット大統領報道官)と影響力を誇示した。日本も赤沢亮正経済再生担当相が今週、2度目となる本格交渉に臨む。

 ただ、同盟国にも矛先を向ける米国から距離を取る動きも見られる。不法移民対策などが不十分として、トランプ氏が大統領就任前から批判してきたメキシコは1月、欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)の改定で合意。カナダのカーニー首相は、トランプ氏との関係修復を図る一方、「深い経済統合と安全保障協力に基づく古い関係は終わった」と宣言した。

 米国と対立する中国に接近するアジア諸国も多く、「中国は米国の同盟国や友好国との関係強化に動いている」(元米政府高官)という。

 「米国抜き」の自由貿易体制の維持を目指す動きも目立つ。EUのフォンデアライエン欧州委員長は4月中旬、シンガポールのウォン首相と電話会談し、環太平洋連携協定(TPP)締約国との協力強化を協議。2月にはインドを訪問し、年末までにFTA締結を目指すことで一致した。

 世界貿易機関(WTO)のオコンジョイウェアラ事務局長は、「米国は非常に重要だが、世界貿易に占める割合は15%弱にとどまる」と指摘。残る8割超の国や地域が「ルールに基づくシステムを強化し、守りたいと感じている。これは光明だ」と話す。

 トランプ氏は、高関税政策によって輸入コストを高め、各国からの直接投資を呼び込む戦略を描く。ただ、一方的で強権的な手法は、逆に米国の孤立を招く危うさもはらんでいる。 

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