
演者が客席にいる観客をいじって笑いをとる"客いじり"。
上手にやれば客席を盛り上げ会場の一体感を増すことができるが…今SNS上で大きな注目を集めているのはその壮大な失敗例だ。
「芸人さんの客いじりは笑って楽しむものなんだろうけど、
今日、最前列に座ってたら女性芸人さんに
『あなた、その服しまむら?バーゲンの安物よね?』って言われて固まった。
安っぽく見えても、予約販売で買ったお気に入りの限定品なのに。
同性からいじられたからかな。
なんか、さすがに悲しい」
と自身の体験を紹介したのはお笑いファンの日暮れひぐれんさん(@higureshuuen)。
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この日、大勢の芸人が出演するお笑いライブを最前列で観覧していた日暮れひぐれんさん。気分よくステージを見つめていた彼女にかけられたのは、あまりに愛のないいじりだったのだ。日暮れひぐれんさんにお話を聞いた。
ーーどんな状況だったのでしょうか?
日暮れひぐれん:当日はお客が少ししか入っておらず、椅子も2列しか置いてなかったので1列目の真ん中に座りました。いじってきた方は高齢で演者としてはベテランですが、芸人としては歴が浅く、個人的には面白さの感覚が少し違うタイプです。強烈な客いじりが芸人の面白さだと勘違いなさったのか、「あなたそれ、しまむらの安売りの服でしょ?」と指差しながらいじってきました。その後、ご自分の衣装についても自虐ネタのようなことをおっしゃっていたので、それを言うまでの前置きで客の服をいじってみたのかもしれません。
ーーちなみにその日はどんな服装をされていたのでしょうか?
日暮れひぐれん:私が着ていたのはあるカジュアルブランドの約1万円のパーカーでした。 高級なものではないかもしれませんが、すぐ完売した人気商品で個人的には気に入っていた服です。 普段、高級ブランドの服を着ている彼女から見たら、しまむらの残り物に見えたのかもしれないです。 でも、そう見えてもそんなことを言わないものじゃないかな?とは思いました。
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ーー面白いつもりでお客さんを不愉快にさせてしまう、客いじりの失敗例だったわけですね…。
日暮れひぐれん:今回以外にも「ずれてるんじゃないか」「間違いじゃないか」と思うことは多々あるのですが、演者としてはベテランなので誰も注意しません。新人ですが特殊なケースなので、同期やスタッフもどう扱っていいかわからないのかもしれません。私はいじられたパーカーをもう着たくなくなってしまったけれど、件の芸人さんを心から嫌いになってしまったわけではありません。可能であれば周囲のアドバイスを得て、良い形でお笑いの活動を続けて欲しいなと思っています。
ーー投稿に大きな反響がありました。
日暮れひぐれん:投稿への反響は、一部意地悪なものもありますが、だいたいは「客をいじらないと笑いを取れないような芸人は面白くない」という共感が多かったように思います。大量にコメントがきたので全部読めたか分かりませんが、アンチコメントは、「客いじりを嫌がるようなやつはライブ行くな」とか、「最前列に座るってのはいじってくれってことだ」みたいなものでした。でも2列しかない席の小ライブでしたので、最前列か2列目かの選択肢しかなかったんですよね。
これだけ反響があったわりには、意地悪なコメントは少なかったように思います。
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SNSユーザー達から
「人を馬鹿にして笑いとるのは 芸じゃ無いよね」
「むかし、若手漫才師を育成する番組だったかな 客いじりやった若手芸人に顧問のオール巨人が 客いじりなんかすんな!客いじりなんかして笑いをとる芸人に売れて欲しくなんかない!わしはええ人に売れて欲しいんや って説教してたのを思い出した」
「これはただの悪口 例えば A『そこのお客さんええ服着てはる!』 B『せやな』 A『その服、年収の3分の1くらいやろ?』 B『そんなことあるかい!』 A「そうか?」 B 『年収の半分やろ?!』 とかなら言われた本人も他のお客さんも冗談として笑って許せると思うんです まったくポスト主の芸人はまったく捻りもなくおもんない!」
など数々の共感の声が寄せられた今回の投稿。愛やセンスのない客いじりはいじめに等しい。件の女性芸人がそのことに気付く日が来ることを祈りたい。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)