元部長によるインサイダー取引事件に関する記者会見で、頭を下げる三井住友信託銀行の大山一也社長(中央)ら=1日午後、東京都千代田区 三井住友信託銀行の元部長によるインサイダー取引事件で、親会社の三井住友トラストグループ(TG)は1日、大山一也同行社長の月例報酬30%を3カ月分減額するなど役員7人の処分を発表した。また、高倉透三井住友TG社長も同20%を2カ月分減額する。
大山氏は記者会見し、「多大なるご迷惑とご心配をお掛けし、深くおわび申し上げる」と陳謝。「先頭に立ち信頼回復に向け全力を尽くしていく」と強調した。
調査委員会(榊原一夫委員長)は報告書で、同行の組織的関与や元部長以外のインサイダー取引は認められないとした。その上で、「最大の原因は、本件元社員の倫理観・規範意識の弱さにあった」と指摘。併せて「幹部社員に規範意識の弱い人物を登用すること」が組織風土全体に及ぼす弊害について言及した。同行は役員や社員の株式取引状況の定期的な確認など再発防止策を策定した。
元部長は証券代行営業第二部の次長、部長だった2022年12月〜24年8月、業務を通じて知った3社のTOB(株式公開買い付け)情報を基に、株式を不正に買い付けた疑いで、今年3月、東京地検特捜部に金融商品取引法違反罪で在宅起訴された。

三井住友信託銀行の元部長によるインサイダー取引に関し、記者会見する調査委員会の榊原一夫委員長=1日午後、東京都千代田区