賃上げ順調も「連合」が不満を募らせるワケ… 立憲民主党と国民民主党に距離感【Nスタ解説】

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2025年05月01日 22:05  TBS NEWS DIG

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働き方や賃上げに関するニュースでよく耳にする「連合」という組織。労働者だけでなく、政界でも大きな存在感を示すその理由を深掘りします。

【写真で見る】なぜ? 「連合」初の女性会長は浮かない表情

政界にも影響力を持つ「連合」 その歴史や活動内容とは?

山形純菜キャスター:
賃上げのニュースなどで耳にする「連合」という組織。会長を務める芳野友子氏はなぜか今、浮かない表情だといいますが、その理由について詳しくみていきます。

まず、連合とはどのような組織なのかというと、日本最大の労働組合の全国組織です。正式名称は「日本労働組合総連合会」で、1989年に発足し、組合員数は約688万人です。

連合は、賃上げや労働環境の改善などを経営者側に要求しています。こういった働きは多くの方が知っていると思いますが、連合には、政治の世界でも大きな影響力があるんですよね。

TBS報道局政治部 新田晃一 記者:
そのとおりで、連合のもう1つの目標は「二大政党制で政権交代可能な政治状況を実現する」というものです。

1993年の細川連立政権では、細川護熙総理(当時)と連合の初代会長である山岸章氏が握手している写真が残っています。2009年の民主党政権時にも、鳩山由紀夫総理(当時)と連合5代目会長の高木剛氏が握手しており、こうした政権交代の裏には、連合の大きな存在感があったといわれています。

井上貴博キャスター:
やはり政権交代を成し遂げたという功績が大きいと思いますが、二大政党制はあまりまだ根付いていません。

連合の組合員も、ピークは800万人ぐらいいたそうですが、今は700万人を切っています。連合の選挙における影響力というのは、どのくらいのものなのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
労働組合に入る人はだんだん減っていますし、そもそも連合は組織労働者の集まりです。そうすると非正規の人を束ねられないので、「連合という組織は既得権益の人たちじゃないか」というふうに見られ始めています。

そこはやはり連合も、非正規の人にいかに輪を広げるかを最大の課題としており、いろいろな取り組みをしています。

井上キャスター:
たとえば、どのような取り組みでしょうか?

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
非正規の人たちに地域ごとに新しい労働組合に入ってもらったり、経営者にもそういう理解を求めたりと、地道に運動しています。

出水麻衣キャスター:
未だに政界との強いパイプは維持していると理解してよいのでしょうか?

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
選挙では実際に投票するだけではなく、選挙運動を手伝ったり、事務所で応援したりすることにもなり、その手足になるのは連合の組合です。

とりわけ、日教組や自治労といった組織労働者は非常に強いので、特に地方ではまだまだ影響力があります。

連合が不満を募らせるワケ…立憲民主党と国民民主党に距離感

山形キャスター:
政界とも密接な関係がある連合が今支援する政党が、立憲民主党と国民民主党の2つです。ここに連合の悩みがあるということですが…。

TBS報道局政治部 新田晃一 記者:
なかでも、国民民主党の“あること”がその原因の1つです。2024年に行われた衆議院選挙で、国民民主党が大躍進しましたよね。

山形キャスター:
議席数を7から28へと大きく伸ばし、躍進したということは喜ばしいと思うのですが、そうではないのでしょうか。

TBS報道局政治部 新田晃一 記者:
立憲民主党と国民民主党は、今かなり距離感がある状況になっています。

たとえば年収の壁や企業・団体献金をめぐり、国民民主党が単独で与党と協議するなどしているため、政策や国会対策では、立憲民主党とのかなりの距離感が生まれています。

連合側としては、この2党には手を組んでほしいのに、いがみ合っているように見えるという意味です。

一方、国民民主党は衆院選でネット戦略が功を奏し、新しい支持層を獲得しました。その新しい支持層は、保守的な考えの人が多いのではないかという指摘があります。

「リベラルな立憲民主党と組むより、独自路線で行ったほうが参院選で勝てる」という思惑もあるように思います。しかし、そうなると、連合が目指す二大政党制がどんどん遠くなってしまいます。

こういった状況で、連合からは国民民主党に対する不満の声が出ています。「自民・公明にばかり向きすぎ」「手塩にかけ育てたのに離れていく感じがする」といった意見のほか、なかには「調子に乗っている」と苦言を呈する連合幹部もいました。

不満を募らせる連合ですが、国民民主党が今後もこの路線に舵を切るのか注目です。

井上キャスター:
連合が二大政党制を理想とするのは、すごくわかる気がします。しかし、その理想を追い求めるあまり、「考え方が違ってもあなたたち手を組みなさいよ」というのはどうなのでしょうか。

むしろ、少数与党で政策ごとに手を組むという新しい国会のあり方が見えてきたわけなので、いろいろな考え方があっていいのではないかと思います。二大政党制にそこまでこだわるべきなのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
今度の参議院選挙では、32の県で1人区になっています。有権者からすると、1人を選ぶので、やはりまとまった2つの勢力からのほうが選びやすいというのはありますよね。

それから、井上さんは「いろいろな考え方があっていい」と話していましたが、たとえば自民党にもいろいろな考え方がある人が集まり、政権を維持しているからずっと保たれているわけです。

だから野党も1つになるのが望ましいというのが連合の考え方なのですが、国民民主党がここまで影響力を高めてくると、野党の一本化というのはなかなか簡単なことではないですよね。

出水キャスター:
連合の中でも現状、意見が割れているというか、どっちにつくべきかというような拮抗があると考えていいのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
たとえば原子力政策は、電力関係の労働組合の人はもちろん推進してもらいたいですし、そうではない人たちは原発政策に反対、慎重論が多いです。

そういう基本政策のところでまだ相当な隔たりがあるので、本当はもう少し調整する必要があると思います。

井上キャスター:
むしろ立憲民主党としては、国民民主党のほうが勝ちやすいならそちらに合流するという動きはないのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
国民民主党の人を野党統一で推すという選挙区も、2〜3はすでに出始めています。そういうギブアンドテイクはこれから出てくるでしょう。

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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年

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