日本企業、影響見極めに苦慮=車は米生産比率で明暗―トランプ関税
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2025年05月02日 21:01 時事通信社

トランプ米政権の関税政策を巡り、日本企業が今後の業績に及ぼす影響の見極めに苦慮している。米政権は4月から自動車に25%の追加関税を課した一方、部品の関税を一部免除する負担軽減措置を突然発表した。日米関税交渉の先行きが見えない中で場当たり的な政策変更が頻繁に繰り返され、企業はトランプ大統領の言動に翻弄(ほんろう)されている。
米政権は今月3日から自動車部品に25%の追加関税を課す予定だが、米国内で製造された自動車には、使用した輸入部品に課す関税を一部免除する。米国での生産割合が多いほど有利に働く仕組みで、業界関係者は「米系メーカーを救済する政策。米国で売る車を輸入に頼る外国企業には逆風になる」と解説する。
調査会社マークラインズの集計によると、日系自動車大手の米国内販売台数に占める近年の輸入割合はホンダやトヨタ自動車が5割以下なのに対し、マツダは8〜9割、三菱自動車は10割と突出して高い。2026年3月期業績予想の発表を控える中、各社は「ぎりぎりまで関税の影響を精査する」(大手幹部)と連休返上で対応に当たる構えだ。
既に10%の相互関税が課された他の業界も業績予想の策定に苦心する。商船三井は米関税が約400億円の経常減益要因になると予想。橋本剛社長は「関税政策に毎日のように修正が入り、どこまで織り込むかは悩ましかった」と明かす。日立製作所は「米国の自国優先主義は一過性のものではない」(徳永俊昭社長)と判断し、純利益への影響額を350億円と見積もった。
TDKは「経済環境見通しが非常に困難」(斎藤昇社長)として、米関税の影響を織り込まないシナリオと織り込んだシナリオに基づき、幅を持たせた業績予想を公表した。米国で医薬品を販売する第一三共は「(影響額を)現時点では測りようがない」(小川晃司専務執行役員)と困惑気味で、業績予想への反映を見送った。
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