トラクターなどの農業機械メーカー「ヤンマー」がなぜTVアニメの製作・プロデュースを手がけたのか?

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2025年05月03日 09:30  ガジェット通信

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ガジェット通信

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「ヤンマー」というとトラクターなどの農業機械をイメージする人が多いと思います。農業機械メーカーとアニメという組み合わせを連想できる人は少ないでしょう。

TVアニメ『未ル わたしのみらい』15秒バージョンPV|2025年4月2日地上波TV放送開始!(YouTube)
https://youtu.be/eBfcvyGdnzc

しかし、2025年4月から同社が手掛けたTVアニメ『未ル わたしのみらい』の放送が開始されました。全5話からなる本作は、5つのアニメスタジオがオムニバス形式で制作したもの。

ヤンマーホールディングス株式会社の広報担当者に色々と話を聞いてみました。

――なぜTVアニメの製作・プロデュースを手がけたのでしょうか?

グローバルでのブランド力向上施策として有効だと考えたためです。ジャパンアニメはグローバルで評価が高く、またアニメは共感を伴うコミュニケーションを可能にします。今後ヤンマーがグローバルで事業の成長を目指す中で、必ずアニメの力は大きな影響をもたらす、そのような決断を経てアニメの製作・プロデュースに踏み切りました。

ヤンマーは、トラクターや建設機械といった産業機械のイメージが強いかと思います。しかし、事業分野は「食料生産」や「エネルギー変換」と多岐にわたり、これら事業を通じて持続可能な社会を目指している会社です。そして、根底には、創業当時から受け継がれる”人の可能性を信じる、人の挑戦を後押しする”という「HANASAKA(ハナサカ)」という価値観があります。

この「HANASAKA」という価値観は、本作で描く登場人物たちの挑戦に通じており、アニメのストーリーを通じて、一人一人が未来を創る存在であると強く思い、より良い未来に向け一歩踏み出す気持ちを後押ししたい。そして、持続可能な社会の実現に向けた共感の輪を広げていきたい、そんな想いを込めて取り組んでいます。

これら「ヤンマーが社会にどのように貢献したいのか?」という会社としての本質的な存在意義やポリシーを、押し付けではなく共感を生むコンテンツとして成立させるため、アニメという形で、かつオリジナル作品であることにこだわりました。

――本作のプロジェクトを進めるにあたって社内的に問題や障壁はなかったのでしょうか?

本格的な商業アニメの製作はかつてない挑戦のため、社内での理解を得るのが簡単だったかと言われるとそうではありません。社内からの共感を得るため、アニメ製作の背景や想いをまとめた「MIRU BRAND BOOK」の制作・展開や社内プラットフォームでの積極的な情報発信に加え、声優オーディション、スタジオ見学といった従業員参加型の取り組みも行いました。

放送開始後は視聴を促進する取り組みとして、従業員限定の視聴環境の提供や社内SNSで感想を投稿するなど、従業員と一緒に盛り上げる施策を行っています。「家族と一緒に観た」「毎週楽しみにしている」などの声が寄せられています。また、展示会などでアニメの動画やグッズを使いたいといった要望も増え、事業活動にも結び付き始めています。

――視聴者からの反響はどうでしょうか?

SNSを中心に様々な感想をお寄せいただいています。オムニバス形式のため、各話で作風が大きく変わりますが、根底にあるコンセプトに共感しポジティブな感想を抱いてくださった方が有難いことに多い印象です。中には、熱い感想メールを送ってくださった方もいます。各エピソードの比較や考察など、賛否含めて視聴者の方それぞれの視点で楽しんでいただいているようです。

また、アニメの中の隠れヤン坊マー坊を探すキャンペーンや、ヤン坊マー坊の歌のメロディが使われているエンディング曲(MIYAVIさんの「Find A Way」)、ロボット「MIRU」のダンスなど、本編以外の部分でも視聴者の方に楽しんでいただいています。「ヤンマーのアニメ」として、『未ル』をきっかけにヤンマーを多くの方に知っていただく機会が生まれ、ブランド力向上施策としての効果を感じています。

(※ヤン坊マー坊とは同社の企業マスコットキャラクターのことです)

──ありがとうございました。

「日本=アニメ大国」というイメージが強いため、日本人選手の活躍に合わせてアメリカのMLB(メジャーリーグベースボール)も日本のアニメを活用していたりするので、同社が「グローバルでのブランド力向上」を目的としてアニメに注目したのも自然な流れなのかもしれません。


https://x.com/miruanime_info/status/1916432131158327730

本作はTVer、MBS動画イズムにて期間限定で全エピソードを無料配信中です。

※画像:ヤンマーホールディングス株式会社提供

(執筆者: 6PAC)

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