米の高関税ショック、これから本格化=物価と雇用、同時悪化も―トランプ政権100日

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2025年05月04日 08:01  時事通信社

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時事通信社

ミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長
 【ワシントン時事】今年1月にトランプ米大統領が就任して以降、政権の浮沈を握るカギの一つ、雇用は底堅さを保つ。ただ、高関税政策のショックが本格化するのはこれからだ。物価を押し上げ、景気と雇用を悪化させるとの懸念は根強く、「米経済は今後数カ月、下振れリスクに直面する」(エコノミスト)と警戒が高まっている。

 2日公表の4月の雇用統計で、労働市場の強さを示す非農業部門就業者数は前月比17万7000人増と市場予想を上回った。失業率も前月比横ばいの4.2%と低水準で安定している。

 ホワイトハウスのミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長はテレビインタビューで「雇用統計には、高関税発表後の期間も反映されていることは強調に値する」と成果を誇った。

 関税発動で懸念されるインフレ再燃も今のところ顕在化していない。最近発表された3月の個人消費支出(PCE)物価指数上昇率は前年同月比2.3%と、前月比0.4ポイント低下した。トランプ氏は2日、SNSへの投稿で「インフレはない」と断言。「連邦準備制度理事会(FRB)は利下げすべきだ」と改めて要求した。

 一方、1〜3月期の実質GDP(国内総生産)は年率換算で前期比0.3%減と、3年ぶりにマイナス成長を記録。先行き不安から一時、株価が大きく下がった。もっとも、関税導入を控えて駆け込みで輸入が急増し、成長率を大きく押し下げた側面もあり、ベセント財務長官は「経済の実態を表していない」と主張する。

 それでも、一気に「100年以上前の水準に上昇した」(グランシャ国際通貨基金チーフエコノミスト)関税率は、貿易パートナーに打撃を与えるだけでなく、ブーメランとして米経済に跳ね返ってくるとの見方は多い。BMOの米国主任エコノミスト、スコット・アンダーソン氏は「全ての影響はわれわれに降りかかってくる」と話す。

 ウォラーFRB理事は米テレビに対し、関税によるコスト上昇が深刻化すれば、企業は人員削減に乗り出すと予想。「物価上昇が始まるのとほぼ同時期に、解雇が始まる可能性がある」と警告した。 

このニュースに関するつぶやき

  • EU側の関税がこれまで高かったんだからアメリカがそれに合わせて関税を上げただけ。未だにEUとアメリカは牛肉戦争やってるしな!
    • イイネ!1
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