朝ドラ、映画、音楽…大躍進の若手ホープ佐野勇斗 「佐野」姓ルーツに浮かび上がる壮大な歴史ドラマ

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2025年05月04日 10:10  まいどなニュース

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佐野勇斗さん

映画「凜」で本郷奏多とダブル主演を務め、今年公開の映画「劇場版 トリリオンゲーム」にも出演していた佐野勇斗。NHK連続テレビ小説「おむすび」でヒロインの夫を演じたのも記憶に新しい。ボーカルダンスユニット「M!LK」のメンバーとしても活躍している。

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「佐野」は地名由来の名字で、「佐野」地名は全国各地にある。

では、「佐野」とはそもそもどういう意味だろうか。

「佐野」の由来にはいろいろな説があるが、「さ」は「狭い」という意味で、「佐野」とは「狭くなっている野」を指すといわれることが多い。

各地の地名をルーツとする佐野氏のうち、最も有名なのが下野国安蘇郡佐野(現在の栃木県佐野市)をルーツとする佐野氏である。佐野氏の多くはこの末裔と伝えられている。

下野佐野氏は藤原秀郷の子孫で、足利氏の一族。この足利氏は、室町幕府の将軍を務めた清和源氏の足利氏とは別の流れで、藤(とう)姓足利氏といって区別される。

藤姓足利氏は足利将軍家よりも古くから足利付近に根を張っており、足利基綱は源頼朝に仕えて鎌倉幕府の御家人となっている。そして多くの分家を出し、彼らは付近の地名を名字として名乗っていた。

そのうちの一つが佐野氏で、代々佐野城に拠って佐野を領していた。

佐野氏は戦国時代まで続いたのだが、天正13(1585)年の元旦に26歳の当主宗綱が単身敵の城に駆けつけて射殺されるという失態を犯したことからごたこたが続き、次第に没落した。

それでも房綱の時に豊臣秀吉に仕えて勢力を回復、関ヶ原合戦では東軍に属したものの、養子に迎えた当主が実兄の事件に連座してまもなく改易となっている。

佐野氏からもいくつかの分家が出ており、大河ドラマ「べらぼう」にも登場している田沼意次も、下野佐野氏の分家の子孫である。

下野以外の佐野からも、多くの佐野氏が生まれた。

甲斐国八代郡佐野郷(現在の山梨県南巨摩郡南部町)をルーツとする佐野氏は、戦国時代は甲斐武田氏の家臣で、子孫は水戸藩士となった。

この他、甲斐、丹後、近江、豊前などに佐野地名があり、それぞれから地名に因む佐野氏が生まれて、各地で活躍した。

現在は山梨・静岡両県を中心に、東海・南関東・北陸などに多く、静岡県富士宮市では市内で最も多い名字が「佐野」である他、富士市にも集中している。

◆森岡 浩 姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部卒。学生時代から独学で名字を研究、文献だけにとらわれず、地名学、民俗学などを幅広く取り入れながら研究を続ける。2017年から5年間NHK「日本人のおなまえっ!」のコメンテーターを務めた。著書は「47都道府県名字百科」「全国名字大事典」「日本名門名家大事典」など多数。

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