
「英語が話せない」と思い込んでいる日本人が多いのはなぜでしょうか?『ビリギャル』として知られるAGAL代表取締役の小林さやかさんは、その原因をマインドセット(考え方)にあると指摘します。アメリカのコロンビア大学教育大学院での留学経験を持つ小林さんに、誰でも英語が話せるようになるコツを伺いました。(聞き手・TBSアナウンサー 日比麻音子)
日本人の英語コンプレックスを解消するには?小林さんは、日本人が英語を話せない理由について、次のように語ります。
「英語なんて話せないと思い込んでいるからだと思います。大事なのはマインドセットです。マインドセットが変わったら、日本人は簡単に英語を話せるようになると思います」
日本人特有の「間違えたくない」「恥をかきたくない」という意識が、英語学習の大きな障壁になっているというのです。
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小林さんは、大学受験のための英語学習と実際に使う英語には大きな違いがあると指摌します。
「大学受験の時は、信じられないくらい難しい英単語をたくさん覚えさせられますよね。でも、入試に必要なスキルは、速読、ボキャブラリー、文法、これで終わりなんですよ。リスニングやスピーキングにはあまり重きを置いていないですから」
実際のコミュニケーションで必要な英語力と、受験に必要な英語力には大きなギャップがあるのです。
小さな「できる」を積み重ねる英語上達の最短距離について、小林さんは次のようにアドバイスします。
「小さなできることを積み上げること。とりあえず英語を話してみて、伝わった!という経験をたくさん積み上げることが大切なんです」
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小さな成功体験を積み重ねることで自信がつき、さらに学習意欲が高まるというのです。
“出川イングリッシュ”の効果完璧な英語を目指すのではなく、まずは伝わることを重視するアプローチが効果的だと小林さんは強調します。
「“出川イングリッシュ”のような、めちゃくちゃな英語でも良いんですよ。私はあれが大好きなんです。“出川イングリッシュ”をまず学校で学びたいかも。小学校の授業でやると良いと思います」
さらに小林さんは、コロンビア大学教育大学院で学んだポジティブ・サイコロジー=幸福心理学から「幸せには2種類ある」という話を引き合いに出し、英語学習と幸福感の関係を説明します。
「幸せにはヘドニック・ウェルビーイングとユーダイモニック・ウェルビーイングの2種類があると教わりました。ヘドニック・ウェルビーイングとは、心に嬉しい感情が溢れていて、ネガティブな感情がない状態のこと。ただ、これだけでは人は飽きてしまって、本質的には幸せになれないんです」
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「だからもう一つの幸せがすごく大事で、それがユーダイモニック・ウェルビーイング。自分の能力とかスキルを使って、何かを成し遂げた達成感で満たされている状態です。これは飽きるどころか中毒になるんです。私たち大人も小さくてもいいから、ユーダイモニック・ウェルビーイングを得られる瞬間がやっぱり必要で、これを得られた人の顔はキラッと輝くんですよ」
英語学習を通じて得られる小さな達成感が、長期的な幸福感につながるというのです。
しゃべらないのは「もったいない」英語学習に悩む全ての人に、小林さんはこう呼びかけます。
「完璧な英語じゃなかったら一言もしゃべらないでおきます、というのは本当にもったいない」
完璧を求めすぎず、小さな成功体験を積み重ねることで、誰でも英語が話せるようになると言います。
英語コンプレックスを解消し、積極的にコミュニケーションを取ろうとする姿勢が、英語上達への近道なのかもしれません。