『かくかくしかじか』©東村アキコ/集英社 ©2025 映画「かくかくしかじか」製作委員会マンガ大賞2015を受賞するなど、不朽の名作として愛され続ける東村アキコの名作漫画を、日本を代表する豪華キャストにより映像化した『かくかくしかじか』。この度、東村アキコ作品の魅力をプロデューサーが語った。
本作は、東村氏の生まれ故郷の宮崎をはじめ、石川、東京と3つの街を舞台に、人生を変えた恩師とのかけがえのない日々が鮮やかによみがえる。誰もがきっと経験したことのある大切な人との出会いと別れを描き出す。
東村氏といえば、それぞれに愛するものを抱えながらも殻に閉じこもる不器用なオタク女子の成長を描いた「海月姫」をはじめ、事あるごとに「あの時ああすれば…こうしてたら…」と理想論ばかり並べて現実を見ようとしない“タラレバ娘”たちの姿が話題を呼んだ「東京タラレバ娘」、30歳・独身、ひとり暮らしの主人公が、思わずついてしまった“既婚者”という嘘から始まる恋の物語を描いた「偽装不倫」など、ヒット作は数知れず。
ひと癖もふた癖もあるヒロインのリアルすぎる生き様を描いた作品を世に送り、同世代の女性たちを中心に共感の声を集め続けてきた。
そんな彼女の作品が持つ魅力を、映画『かくかくしかじか』のプロデューサーを務める加藤達也は、「ストーリーテリングや絵のうまさももちろんですが、漫画でありながらも、そこに描かれる心情が、弱さも含めて全てをさらけだした人物の“人生”が描かれていて、非常に共感性の高いものになっている点だと思います」と自身の考えを明かす。
東村にしか描けない“すべてをさらけだした人生”が描かれているのは、自身の半生を題材にした「かくかくしかじか」も同様だ。
本作の主人公は、漫画家になるという夢を持つ、ぐうたら高校生の明子(永野芽郁)。人気漫画家という夢を叶えるべく美大進学のために絵画教室に通うことに決めた明子は、スパルタ絵画教師・日高(大泉洋)と出会う。
日高先生の超スパルタ指導に苦しみながらも、必死に食らいついていく明子。人生を大きく変えた恩師との出会いと、二度と戻ることのない笑いと涙で溢れたかけがえのない日々。
連載終了から10年が経ったいまでも本作を支持する根強いファンは多く、「漫画でこれほど泣いた経験はなかったかも」「作者の個人的な思い出が、なぜか懐かしく共感できる」「今の自分はかかわってくれた人達のおかげでもあり、その人たちへの感謝を忘れてはいけないと。そう思わせてくれる作品」と熱量高い口コミが絶えない名作だ。
幅広い世代の心を掴み続ける「かくかくしかじか」だが、加藤プロデューサーはその理由を「綺麗な部分だけではなく、弱さや怠惰、時には怒り、どうしようもない孤独や悲しみのような普通あまり人には見せないような心のうちを、赤裸々に、そしてユーモラスに包みながら描かれているので、(本作に登場する)登場人物の姿に自然と自分の人生を重ねることができるのだと思います」と分析。
主人公・明子という1人の女性の人生を、決して楽しい思い出だけではなく、誰しも感じたことのあるような痛みや葛藤にも目を背けずに描いていることが、本作が根強く支持される要因の1つであることがうかがえる。
明子を演じた永野芽郁も、「完成した本作を観た時、結末を知っているのに泣きました。それでいて笑えて、なんて不思議な魅力のある映画なんだろうと。明子にとっての日高先生のような恩師がいないような人でも、人生を変えてくれた人や、ターニングポイントになったような人の顔は目に浮かぶと思います」と本作ならではの魅力をアピールしている。
『かくかくしかじか』は5月16日(金)より全国にて公開。
(シネマカフェ編集部)