※画像はイメージです―[貧困東大生・布施川天馬]―
みなさんは「勉強=つらいもの」だと思っていませんか? 確かに、受験勉強などは「娯楽を我慢して行うもの」と捉えられがち。「長い冬を耐えれば、恵みの春が待っている」といった考え方が一般的でしょう。
ですが、多くの東大生は勉強をつらいものだととらえていません。私はこれまで100人近くの東大生に「受験勉強、大変だったでしょ?」と聞いてきましたが、ほとんどが「楽しかった」と答えました。
私自身も、確かに受験勉強は大変な道のりでしたが、勉強そのものには楽しく取り組んだ思い出があります。
今回は、東大生がやっていた「勉強が楽しくなる工夫」をお伝えします!
◆大事なのは「進んでいる感」
どうして勉強が楽しくないと感じるのでしょうか?
それはきっと、結果が出ていないから。どんなにつらく苦しいように見える道のりでも、確実に進歩している実感や、レベルアップを感じる機会があれば、モチベーションは上がってくるものです。
実際に、公立高校から塾なし・現役で東大に合格したある方は「進んでいる感が大事」だと語ってくれました。
彼は、あらゆる勉強について「ゴール」を設定するようにしており、そのゴールを確実に達成するために、ミニマルスケールの目標を日々設定して、着実に乗り越えていたそうです。
例えば、秋の模試で東大のA判定を獲りたいとします。そのためには各科目の目標点数を設定し、その点数を超えるための方法を明確にします。その点数を超えるためには、どの問題を解けばよいかが分かるので、模試までに残された時間で「どの問題をどの順番で解いて理解すればよいか」を計画できるようになります。
このプロセスによって、問題を解くたびに一歩ずつ目標に近づいている自分を実感できるため、勉強が「苦しい」とは感じなくなるのだそうです。
逆に「目標や進歩が見えない」勉強は苦しいものになります。彼は苦手科目の英語について、確かに少しずつ進歩はしていたものの、目標に間に合うイメージができなかったから、苦しさを感じていたのだとか。
「東大合格」という目標を、もっと細かく分解してゴール間の距離を縮めるべきだったと振り返っていました。
◆勉強=○○を工夫する
別の東大生は「わからなかった問題がわかるようになると、達成感があって楽しみに変わる」と答えてくれました。「わからない」がそのままで放置されるとストレス源となりますが、これを「わかる」に変換できると、そのストレスはそのまま開放感に変わります。
ストレス増加速度よりも速く達成感を継続して得続けられれば、きっと「勉強=楽しいもの、ストレス解消手段」と捉えられるでしょう。
ある方は「友達と問題を教えあうことが楽しかった」と振り返ります。つまり、彼の場合は、勉強をコミュニケーションツールとして用いている形。
一人で孤独に問題と向き合い続けるのではなく、誰かと会話するための話題としてとらえ、世界とのつながりを問題でキャッチする。
これは勉強それ自体が楽しかったわけではないかもしれませんが、それでも結果として「勉強=楽しい思い出」となっているのですから、立派な一つの方法でしょう。
◆勉強が楽しくなる3つの条件
私自身は、最初勉強が嫌いでしたが、「各教科担当の先生たちが口を揃えて『楽しい』と言い切るようなものが、楽しくないわけがない。楽しくないのではなく、楽しめない自分が悪いのだ」と捉えなおして、どうすれば楽しくなるかを考えていました。
その結果、「この英語の構文はこうやって読み解くのか!」や「数学の問題は一面的ではないのか!」といった新しい発見を重ね、徐々に勉強が楽しくなっていきました。
最初から「これはダメ」と決めつけず、「自分が楽しみ方を発見できていないだけかも」と考えながら取り組む姿勢がお勧めです。
つまり、これらから勉強が楽しくなる条件がいくつか見出されます。
・達成可能な目標を設けて、高頻度でゴールを設定する。
・目標が同じ友人を作り、コミュニケーションツールとして勉強を用いる。
・勉強内容に意識的に興味を持つようにする。
これら3つの条件を満たせば満たすほど、勉強は面白くなっていく傾向が強まるようになるでしょう。
勉強がつらくて仕方がない人は、志を同じくする友人を作るとか、定期的に模試を受験するとか、予想問題を解くとか、そういった工夫によって、勉強が楽しくなってくるかもしれません。
◆ニコニコ笑いながら結果を出せるはず
私は常々「人生の中につらく苦しい期間があって当然」とはおかしい考え方だと思ってきました。
一生を通じてハッピーに楽しく暮らしてもいいはずですし、努力だって歯を食いしばり、涙を流しながらやる必要もない。ニコニコ笑いながら、楽しく結果を出してもいいのではないでしょうか。
むしろ、東大生たちが結果を出せたのは、受験という「苦行」を、苦行と思わず、楽しみながら駆け抜けたからでは。
同じ道のりを行くとして、苦しみながら進むものと、楽しみながら進むものでは、どう考えても後者の足取りのほうが軽いでしょう。
楽しむことが結果につながり、結果が出るからさらに楽しさが増す。この正のループを実現するためには、「無理にでも楽しむ」か「結果を出す」のどちらかから始める必要があります。
結果がなかなか出ないなら、まず好きになる努力をしてみてはいかがでしょうか。
―[貧困東大生・布施川天馬]―
【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)