※写真はイメージです ゴールデンウィーク(GW)は、多くの人にとって楽しみな大型連休だ。しかし、時には思わぬハプニングに見舞われることもある。今回は、GWに起きた珍事件を紹介しよう。
◆肉を目の前に子どもは大泣き、“地獄絵図”に
GWといえば、アウトドアを楽しむ人も多い。田中健さん(仮名)の家族も、毎年恒例で友人家族とキャンプ場に行っている。テントを立てて、BBQをするのだが、前年は忘れ物の連続で散々だったという。
「炭は?」「あ、忘れてた!」
「じゃあトングは?」「うわ、ごめん!」
現地に着いて荷物を広げた時点でないものが次々と発覚。炭、トング、紙皿、そして調味料まで忘れてしまったのだ。
「……え、じゃあどうやって焼くの?」
BBQは田中さんが準備する予定だったので、友人家族も持ってきていなかった。肉を目の前にして食べられない子どもたちは泣き出す始末。まさに地獄絵図のような昼下がりだったそうだ。
◆「今年こそ完璧に!」と意気込んだBBQで再び大失態
そんな苦い経験から、田中さんは「今年こそ完璧に!」と誓った。忘れ物リストを作ってチェックを重ね、トング、炭、紙皿、調味料、すべてバッチリ準備した。
ドヤ顔で「もう去年とは違うよ」と言いながらキャンプ場に到着。いざ設営しようと荷物を開けたとき、妻が静かに言った。
「ねえ……テントは?」
田中さんは唖然とした。テントを忘れていたのだ。
「……成長してるようで、してないよね」
妻の顔は笑っていたが、目は全然笑っていなかった。
結局、車中泊することになったが、家族全員が眠れるスペースはないので、田中さんは外に置いている椅子で寝る羽目になったという。
「GW、我が家は毎年のように“伝説”を作りますね」
◆「今日仕事だったの?」家族みんなで大慌ての朝
さて、GW最終日の朝。田中さんの家族は、遊び疲れてのんびりとソファでテレビを見ていた。
「明日からまた仕事だなあ〜」とつぶやくと、妻も「ほんと、もっと休みたいね」と返す。
子どもたちもアイスを食べたり積み木で遊んだりと、完全に休日モードだった。
そんな平和な光景に、突如として不協和音が響く。
「……もしもし?」
田中さんのスマホに、会社の上司から電話がかかってきたのだ。
「おーい、今日の朝イチ会議どうした? もう始まってるぞ、今どこ?」
「えっ、今日! てっきり明日から出勤だと……!」
その一言で、家族全員が慌ただしい動きを始める。田中さんはスーツに着替えながらベルトを探し、歯磨き片手にバッグにノートPCを詰める。妻は慌てて保育園の準備をしながら、横で叫んだ。
「アンタ何してんのよ! 今日休みって言ってたじゃん!」
「いや違う!完全に明日から出勤だと思ってた!カレンダーに赤いマルつけてたじゃん!」
カレンダーを確認すると、
「それ土曜日だから!」
結局、田中さんも妻も会社に遅刻が確定。保育園に送る途中の子どもたちも不安そうな顔をしていたという。
いつもより静かな車内で、妻がポツリとつぶやいた。
「遅刻するの小学生ぶりかも……」
その言葉に、家族全員に笑みがこぼれた。田中さんは「まあ、こういうのもたまにはいっか!」というが、会社ではしっかり怒られたそうだ。こうした“伝説”も、後から振り返れば、家族の絆を深める良い思い出になっているのかもしれない。
<取材・文/日刊SPA!取材班>