サイト閲覧中に突然「ウイルスに感染しています」「このままだとデータが失われます」などと警告し、偽のサポートセンターやアプリに誘導する「サポート詐欺」サイトが、近年多発しています。
実はこうした詐欺手口は、パソコンだけでなく、スマートフォンの利用者も標的にされており、SNS投稿や広告バナーから誘導されるケースが目立ちます。今回はその中でも、「全画面広告を閉じようとすると誘導される」ケースについて、実際に確認・検証した内容をもとに解説します。
今回発見したのは、SNS投稿から誘導された先で遭遇した「全画面広告」。しかも過激な18禁漫画の広告ということもあり、すかさず「×」ボタンを探し、閉じようとします……が、それが今回は効きません。
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広告を閉じると「あなたのiPhoneが侵害されました」などという警告が表示されました。筆者は“ネット詐欺”に潜入することを仕事にしているので、この手のパターンには驚きませんが、一般の方なら慌てふためく方も多いことでしょう。
念のために、同じ挙動をするのか確認するため、一旦画面を閉じて、再度同じ手順を繰り返します。するとやはり、全画面広告を閉じようとすると警告画面が。数回繰り返してみてわかったのですが、出てくる警告画面のパターンは少なくとも4種あることが分かっています。
さて、警告画面に従うとこの後どうなるのか?しっかり騙されるべく、その先へとホイホイついていきます。
すると次に出てきたのは、さらに深刻なメッセージ画面。どうやらサイバー攻撃に遭って盗聴される危険性があるという。自分のスマホが盗聴されるなんて、そんなヤバいことは避けたい……。
ということで、先に進んでしまうと……。
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その先に行き着いたのは、「AppStore」のアプリ。
どうやら、そんな深刻な「サイバー攻撃」や「ウイルス」から守ってくれるとのこと。「AppStoreにあるし、これならば安心……」と安堵してしまうのは、危険です。一旦冷静になりましょう。
今回は検証目的のため、あえてインストールしてみました。
問題のアプリをインストールしてみます。すると様々な問題が起きているように表示されました。
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「発見」と題された画面にて、「ウイルス47件検出」「ブラウザの問題13件」「写真の問題9件」「メッセンジャーの問題11件」「パスワードの問題14件」など、大量のトラブルが検出されたかのような演出が表示されました。
しかし、これらが実際に発生している問題かは不明です。実際は単なる演出である可能性が高いと考えられます。
ではこれらの「問題」を解決するにはどうすればよいか? 答えは「課金」です。
みてみると1500円と出ています。1500円で、問題が解決するならば……と、まんまとポチりそうになりますが、実はこれ買い切りではなく「サブスク(定期課金)」です。
しかも恐ろしいことに、年額とかではなく週額とかいてあります。つまり、毎週1500円が引き落とされ、年額換算でなんと7万8000円にもなります。これはまさに「高額サブスクリプション詐欺」と呼ばれる手口で、非常に悪質です。
今回も検証のために課金してみましたが、良い子は真似してはいけません(課金は後ほどすぐ解除できますのでご安心を)。
このアプリには「アドブロック機能(サイトの広告を排除する)」があり、広告をブロックできるとうたっています。とりあえずそれをONにします。
もし本当に効果があるのであれば、先ほどのような、怪しい全画面広告は表示されないはず。つまり、このアプリ自ら、自分自身をブロックしていただくという試みです。
ということで先ほどのサイトに戻り、アドブロックの効果を見てみます。
……普通に広告が表示されました。アドブロックが効いている様子はないようですね。本当に効果があるかはますます怪しげなアプリとなってきました。
このような「高額サブスクリプション詐欺」に引っかかってしまった場合、すぐにサブスクリプションを解除することが重要です。
今回はiPhoneで検証しましたので、iPhoneでの説明をします。
まず「設定」アプリをタップし、画面の一番上にある自身の「アカウント」をタップしてアカウント情報を表示します(iOS18.3.2で検証)
次に「サブスクリプション」を選択すると、インストールされたアプリが表示されます。該当のアプリをタップし、サブスクリプションを必ず解除してください。
解除を行わない限り、毎週1500円が自動で引き落とされ続けてしまいますので、必ず対応しましょう。
今回の事例では、18禁漫画の広告バナーからの誘導が発端でしたが、見た目は健全そうな広告でも、同様の詐欺へと誘導される可能性があります。
したがって、この手の「ウイルスに感染した」などと警告する画面が表示された場合は、絶対に誘導先のアプリをインストールせず、まずはセキュリティに詳しい人に相談するか、スマホを購入した店舗に相談しましょう。
相談できる人が周囲にいない場合は、AIを活用するのも一つの方法です。実際にいくつかのケースで試してみましたが、AIはネット詐欺や危険な広告に対して比較的適切な助言をしてくれることが多いです。
相談する際は、「今どんな表示が出ているのか」などの状況をそのまま伝えるだけでOKです。一人で抱え込まず、気軽にAIなどのツールも頼ってみてください。
(たまちゃん)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By たまちゃん | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025050501.html
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