久保建英、移籍へのカウントダウンは始まっているのか MOMでも満足できないドロー

0

2025年05月05日 17:10  webスポルティーバ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真

 5月4日(現地時間)、レアレ・アレーナ。レアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)はアスレティック・ビルバオを本拠地に迎えた"バスクダービー"を戦ったが、結果は0−0のスコアレスドローに終わっている。

「誰も勝者に値しなかった」(スペイン大手スポーツ紙『アス』)
「失望のドロー」(スペイン大手スポーツ紙『マルカ』)
「無力な引き分け」(スペイン大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』)

 各スポーツ紙の見出しにあるように、「負けたくない」という思いのほうが強く出たゲームだった。バスク自治州の盟主の座を懸けた"撃ち合いモード"には入っていない。早く言えば、退屈な試合だった。

 ラ・レアルの久保建英は、伝統あるバスクダービーをどう戦ったのか?

 結論から言えば、久保はピッチに立った選手のなかで、最もプレーに迫力を感じさせたベストプレーヤーだった。その証拠に、今回も公式のマン・オブ・ザ・マッチに選出されている。『アス』紙、『マルカ』紙のどちらにも星ふたつ(0〜3の4段階評価)が与えられ、両チームを通じて最多タイの星だった(ふたつ星は他にジョン・マルティンとビルバオのアレックス・ベレンゲルだけ)。

「Atrevimiento」

 久保は試合後のフラッシュインタビューに完璧なスペイン語で応え、チームとして「大胆さ」が足りなかったことに苦言を呈していた。孤軍奮闘で攻めかかっただけに、ドローは無念だったはずだ......。

 定位置である右アタッカーに入った久保は、相手の左サイドバックに入ったイニゴ・レクエにマークされたが、またも手玉に取っている(レクエは元MFで、攻撃力はあるが、守備力は低い)。カウンターでは飛び込ませず、長い距離をドリブルで運び、最後は左足で出したクロスがアウトになるも、序盤で力の差を見せつけた。その後はユニフォームを引っ張られ、背後からラグビーさながらのタックルを受けていた。

 カウンターのシーンでは、レクエのカバーに来たべレンゲルを置き去りに。背後からつかみかかられ、あわてふためいた末のファウルとなった。

「久保は攻撃にスイッチを入れる役割を担ったが、多くのファウルで止められていた。何とかしようと試みたが......」(『エル・ムンド・デポルティーボ』紙)

【ファウルでしか止められず】

 後半に入ると、久保は中にも入ってプレーを動かそうと試みている。縦パスを受け、起点になりかけたところ、相手ボランチに手のひらと腕で顔を抑え込まれる。相撲の技でもかけられたようで、当然ファウルになった。

 久保は相手の心身を削る動きを見せていたが、味方が連動しない。特に左サイドのセルヒオ・ゴメスは、開幕直後から変わらず、久保との連係が最小限しかない。この日は、アレックス・レミーロやマルティン・スビメンディまでパスやコントロールの精度が悪かった。結果、怒涛の攻撃が発生しない状況を作り出していた。

 そこで終盤、久保は中央で単身、相手ボールにプレッシャーをかけ、ミケル・ハウレギサルからボールを奪い取る。そして、ドリブルでペナルティエリア内へ強引に入って倒される。久保はPKをアピールしたが、笛は鳴らなかった。スペイン代表センターバックのダニエル・ビビアンの守備は、確かにファウルになるかどうか、ギリギリのラインだった。

 逆説すれば、久保はファウル覚悟でないと止められなかったことになる。

 今シーズン、久保がラ・リーガで残している数字(ゴールやアシスト)は、1、2年目を超えていない。しかし、トップアタッカーの地位は確立した。レアル・マドリード、バルセロナの絢爛豪華な選手たちを除いたら、ラ・リーガのベストイレブンに相当する活躍だろう。ジェレミー・ピノ(ビジャレアル)、ドディ・ルケバキオ(セビージャ)、イアゴ・アスパス(セルタ)らも個性的だが、右アタッカーとしては彼がベストだ。

 それだけに、久保がアスレティックとの緩慢なドローに満足するはずもない。

 イマノル・アルグアシル監督が退任を表明したラ・レアルは、マンチェスター・ユナイテッドとのヨーロッパリーグ準決勝ファーストレグで0−3と敗れて"手負い"のアスレティックを下す、絶好の機会だった。しかも、相手はオイアン・サンセットとニコ・ウィリアムズというダブルエースが不在。その相手に後ろでボールを回すだけで時間を浪費し、攻撃の形を作れなかったことは「ホームで勝ち点2を失った」に等しい。

 第34節終了時点で、ラ・レアルは11位。7位にまで与えられるヨーロッパリーグ出場権には、3ポイント差で、追いつけなくはない。しかし残り4試合の組み合わせを考えると(アトレティコ・マドリード、セルタ、ジローナ、レアル・マドリード)、難しいものがある。8位でカンファレンスリーグ出場権獲得になるが、大会規模を考えると、満足できるものではないだろう。

 久保がラ・レアルでプレーする時間のカウントダウンが始まっているのか――。次節は5月10日、ラ・レアルはアトレティコと戦う。

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定