【記者の目】バレーSVリーグ課題浮き彫り 試合数、判定不信…後回しでは遠のく「世界最高峰」

4

2025年05月05日 19:18  日刊スポーツ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

日刊スポーツ

SVリーグ サントリー対愛知 ストレート勝ちで優勝を決め、喜ぶ高橋藍(奥左端)らサントリーの選手たち。手前は肩を落とす愛知の選手(撮影・千葉一成)

2030年までに「世界最高峰」を目指すSVリーグ。その初年度は、華々しい成果と解決すべき課題が同居した。レギュラーシーズン(RS)の観客動員数はVリーグ最終年の前季比204%増の103万4668人に達し、男子は66万4709人で1試合平均3000人超を記録。イタリアやポーランドのトップリーグに匹敵する数字に、リーグは「順調な滑り出し」と自信を示した一方、数々の問題点が浮き彫りとなった。


選手から不満の声が相次いだのが試合数の不均衡。男子RSは10チームによる4回総当たり(36試合)と前シーズン順位に基づく追加8試合で計44試合を戦うが、追加試合の割り振りにより特定チームとの対戦頻度に偏りが生じ、公平性が疑問視された。大阪Bの西田がSNSで「バレーボール以外の部分で納得いかない部分が今シーズンは多すぎる」と運営の見直しを訴え、山内らトップ選手が次々と賛同。リーグは選手の声を「初年度ゆえの当然の反応」と受け止めながらも、来季は現行フォーマットを維持する方針で、早急の改善は見込めない。


判定の不透明さも選手の不信を招いた。相次いだ公式記録の得点の誤りと、プレーオフでの誤審騒動。レフェリングの均一化を求める西田らプレーヤーの声は真摯(しんし)に受け取るべきだ。また、昨年度から倍増した44試合のRSに加え、決勝の会場についても選手に大きな負担を強いた。愛知の関田は女子が固定会場でプレーできるのに対し、男子が初戦と第2戦以降は別会場となることについて「(適応は)大変なこと」と指摘。また、第2戦以降は会場で事前の練習ができず、サントリー大宅は「しっかりと考えて欲しい。普通はありえないこと」と声を大にした。


男女の人気格差も顕在化した。女子は1試合平均入場者数が前季比31%減と低迷。初代王者が決まった決勝第2戦ですら4300人にとどまった。この現状に大阪M田中は「女子バレーをもっと応援してほしい」と切実な思いを吐露。リーグは「女子はこれから」とするものの、即効性のある方法を探すことは容易ではない。


「初年度だから」と言えばそれまで。だが、選手からの声をないがしろにし、課題を後回しにすれば、「世界最高峰」の夢の実現は遠のくだろう。選手との対話強化と迅速な改革が、リーグの未来を切り開く鍵となる。【バレーボール担当=勝部晃多】

このニュースに関するつぶやき

  • TVでスポーツを紹介するのに、競技の内容そっちのけで選手のプライベート紹介しているようじゃ認知されるのは無理。現状の問題もファンの意識が高まらないと解決は遠いんじゃないかな・・・
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(4件)

ランキングスポーツ

前日のランキングへ

ニュース設定