
川崎市で20歳の女性が遺体で見つかり、元交際相手の男が逮捕された事件。ストーカーの被害などを訴えていた遺族と、警察の主張には大きな違いがありました。
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遺族と警察の主張に違い 元刑事「警察は取り繕うために嘘を言った」井上貴博キャスター:
川崎市で20歳の女性が遺体で見つかり、元交際相手の男が逮捕された事件。神奈川県警による これまでの経緯です。
・2024年9月20日
岡崎彩咲陽さん「(白井秀征容疑者に)ナイフのようなもので脅された」との被害届を警察が受理
・12月9日〜20日
岡崎さんが警察に計9回電話「白井容疑者が家の周りをうろついている」など
・12月20日
岡崎さんが行方不明に
・12月22日
岡崎さんの祖母「自宅のガラスが割られている」と通報
・2025年4月30日
白井容疑者の自宅を捜索し岡崎さんの遺体発見
岡崎さんが行方不明になるまで何度も警察に被害を訴えていたにも関わらず、なぜ救うことができなかったのでしょうか。
ストーカー被害について、岡崎さんは行方不明になる直前の2024年12月9日〜20日の間に警察にあわせて9回電話をかけ、「白井容疑者に家の周りをうろつかれている」などとストーカー被害をうかがわせる内容を訴えていました。しかし、神奈川県警はこの間、白井容疑者に事情聴取を行っていませんでした。
さらに親族は「ストーカー被害を警察に訴えていた」と話しています。しかし、神奈川県警は「ストーカー被害の相談を受けた認識はない」「ストーカー規制法上の警告は岡崎さんが望まず対応しなかった」と主張しています。
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また2024年12月22日に岡崎さんの祖母宅の窓ガラスが割られた“通報”について、神奈川県警は「事件性がないという説明はしていない」「祖母が『岡崎さんが行方不明』と伝えたためその対応を優先」「2025年1月7日に指紋採取を行った」と説明しています。
つまり初動の段階で指紋採取を行っていなかったということになります。
岡崎さんの家族から相談を受けた元兵庫県警刑事の飛松五男さんは「岡崎さんの家族によると警察はいっさい動かなかった」といいます。
元兵庫県警刑事 飛松五男さん:
私は岡崎さんのご家族から相談を受け、様々な現場に行ったり、たくさんいる岡崎さんのご家族一人一人に話を聞いたりして「これは事件だ」と結論を出しました。
ご家族には「(もし事件であれば)経験則で言うと、拉致、誘拐、監禁、すでに殺されていたら加害者は床下に遺棄すると思う。だから心を強く持って、頑張って探そう」と言いました。
警察は「事件性がない」と言いましたが、これは完全に後付けです。取り繕うために嘘を言ったのだと思っています。
井上キャスター:
警察側は白井容疑者に最初にコンタクトを取った際「任意聴取だったため床下などを調べることができなかった」と主張しています。もう少し早い段階で踏み込むことはできなかったのかと感じてしまいます。
経済アナリスト 馬渕磨理子 さん:
岡崎さんは行方不明になる直前に9回も警察に電話をしています。「助けて」という声は強かったと思うんです。
岡崎さんは警察に相談をしている過程の中で被害届を取り下げましたが、警察には「脅迫されて(取り下げて)いるのではないか」など背景に何かあるのではないかと一歩踏み込んで、捜査を続けてほしかったです。
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元兵庫県警刑事 飛松五男さん:
まさにその通りです。岡崎さんが被害届を取り下げたのは白井容疑者が脅迫したからなんです。岡崎さんを脅迫して手紙を書かせて、警察に出すようにしたのです。
私は被害届を取り下げた警察官に3回も会って話をしたのですが、「これはおかしい」と言っていました。にも関わらず、警察は責任逃れのために異なる見解を述べました。
井上キャスター:
岡崎さんは2024年9月20日「(白井容疑者から)殴られ蹴られナイフのようなもので脅された」と被害届を提出し、警察は受理しました。
その後、岡崎さんは被害届を取り下げました。
この背景には白井容疑者からの脅迫がありました。岡崎さんの弟によると、岡崎さんは結束バンドで縛られ川に連れていかれ「被害届を取り下げるか殺されるか、どっちがいいか」と脅されたといいます。
しかし警察は取り下げについて「脅されていたとは把握していない」と主張しています。
元兵庫県警刑事 飛松五男さん:
白井容疑者は被害届を取り下げるような要件にするために、岡崎さんに手紙を書かせたんです。私はその手紙を持っています。警察も『脅されているんだな』と認識しているんです。私も(警察の担当者から)聞きました。
警察には「初動が間違っていたが、これから一生懸命頑張って真相究明する」と言ってほしかった。そうであれば最悪な事態にはならなかったと思うんです。
出水麻衣キャスター:
警察側の態度の変化は、取材の中では見て取れましたか。
元兵庫県警刑事 飛松五男さん:
警察はそんなもんです。自分の保身だけです。
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井上キャスター:
もっと早い段階で動けたはずなのに、しかもその後の対応についても誠意がありません。
元兵庫県警刑事 飛松五男さん:
神奈川県警の力で遺体を発見して逮捕までに至ったのは事実です。ただ初動で「事件性がない」と言うなど経緯を歪曲している。
岡崎さんの祖母宅の窓ガラスを割られた時点で逮捕状がとれる状態だった。最悪でも捜索令状は取れたんです。
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<プロフィール>
飛松五男さん
元兵庫県警刑事
岡崎さんの家族から相談を受ける