「巡回連絡に協力を!」動画でPR=戸別に防犯指導、非常時に活用も―共働き、オートロック増で訪問に壁・警視庁

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2025年05月06日 07:31  時事通信社

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巡回連絡で住宅などを回り、防犯指導する警視庁玉川署の警察官(右)=4月25日、東京都世田谷区
 交番などの警察官が住宅や会社を訪問し、防犯指導する「巡回連絡」。70年近く前から全国で行われるが、その存在を知らず、突然の訪問に驚く住民も多い。共働き家庭の増加や集合住宅のセキュリティー向上で訪問のハードルが高まる中、警視庁はPR動画を作成し、協力を呼び掛ける。

 同庁玉川署地域課の柳沢純巡査部長(52)は4月下旬、東京都世田谷区の70代の男性宅を訪れた。「大先輩にお説教のようで恐縮ですが…」。軽快な語り口で家族の近況を尋ね、特殊詐欺の新手口について注意を促す。15分ほど世間話を続けると、男性は心を開き、近隣店舗の駐輪問題を吐露。柳沢巡査部長は角が立たぬよう日を改めて店側に話すと伝え、男性宅を後にした。

 同庁地域指導課によると、警察官は担当エリアを1軒1軒回って地区の犯罪発生状況や対策を伝え、住民の相談や要望を聞き取る。同庁では昨年、巡回連絡で得た情報からリフォーム詐欺の被害を防いだり、育児放棄されている子どもを発見したりしたという。

 訪問時には、家族構成や緊急連絡先を把握するための「巡回連絡カード」の記入も依頼する。事件や事故に巻き込まれたり、警察に保護されたりした場合に役立てられる。役所が業務時間外で、必要な情報をすぐに照会できない場合などに、より効果を発揮する。

 一方、住宅事情は年々変化し、特に都心部で巡回連絡のハードルが上がっている。共働き家庭が増え、戸別訪問しても「体感で半数以上は留守」(同課)。警察官をかたる詐欺などの多発で、対応を拒まれることも多い。オートロック付きマンションでは、一度中に入れたからといって横移動すると苦情につながる。

 住民らの不安を払拭するため、同庁では巡回連絡時に所属の交番名や名前を必ず告げる。マンション建設段階から住民説明会で協力を呼び掛けたり、警察署を訪れた住民にカード記入を依頼したり、あの手この手でコミュニケーションの機会をうかがっている。

 今春には巡回連絡の方法や意義などを分かりやすく伝えるPR動画も作成。SNS上や交番などのデジタルサイネージ(電子看板)で公開している。同課の荒井英樹課長は「巡回連絡は警察官と気軽に話せる機会なので、何でも話してほしい。ご協力をお願いします」と呼び掛けている。動画のURLはhttps://www.youtube.com/watch?v=VCqBl0qoaAI。 

巡回連絡への協力を呼び掛ける警視庁地域指導課の職員。「巡連バッグ」と呼ばれる緑色のかばんを持って、地区を1軒1軒回る=4月15日、東京都千代田区
巡回連絡への協力を呼び掛ける警視庁地域指導課の職員。「巡連バッグ」と呼ばれる緑色のかばんを持って、地区を1軒1軒回る=4月15日、東京都千代田区


JR有楽町駅前交番のデジタルサイネージ(電子看板)で流れる「巡回連絡」のPR動画=4月17日、東京都千代田区
JR有楽町駅前交番のデジタルサイネージ(電子看板)で流れる「巡回連絡」のPR動画=4月17日、東京都千代田区

このニュースに関するつぶやき

  • うちの地元・大阪府茨木市でも、2年ぐらい前からいきなりこういう戸別訪問が始まった。主に詐欺への注意喚起。それ以前は「全く」無かった。
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