
香川県の西側にある周囲5.4kmほどの離島、伊吹島では、軽自動車をコミュニティバスとして活用する取り組みが行われている。
運転者不足や人口減少による利用者の減少で廃線が相次ぐ路線バス。2024年問題と呼ばれる労働時間規制強化の影響で、退職する運転手も増加。横浜市営バスは昨年、全体4%にあたる600便以上を減便。北海道でも運転手不足で平日500便以上が減便となり、各地で「スーパーに行けない」「病院に行けない」など地域住民の生活に大きな影響を及ぼしている。
香川県観音寺市伊吹島では、軽自動車を活用した市営の「のりあいバス伊吹線」が港から、丘陵地にある住宅地まで狭く急な坂道をのぼり住民を運ぶ。観音寺市の担当者に話を聞いた。
――軽自動車のりあいバスを始めた経緯を教えてください。
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担当者:のりあいバスを開始した平成19年当時の伊吹島の人口は805人、世帯数338世帯、高齢化率42.5%で市内でも一番高齢化が進んでいる地区。しかも島の最も高いところで標高 120m余りの丘陵地が海岸線まで迫っていて、狭く急な坂道が多い。ほとんどの市道は狭く迷路のようで、ニ輪車か徒歩でしか通行することができない。このため、永らく公共交通機関のない、交通空白地域でした。
さらに島民の多くが暮らすのは、港から急な坂道をあがったところ。本土側で通院、買い物等の用事をすませ島に帰ってきても、高齢者は途中休憩を含めて1時間ぐらいかかる。そんな状況から開始されたのが、軽自動車による「のりあいバス」です。
――普通のバスと比べ利点は?
担当者:道路運送法に基づき、自家用有償旅客運送認定講習を受けていれば第一種運転免許でも運転でき、運転手の確保がしやすいのが利点だと感じています。
――利用者はどのように活用を?
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担当者:移動することが困難となっている高齢者等の方々が、定期船の着く港から家の近くまで利用されています。島には商店が 1 軒しかなく、本土で購入した物を急な坂道を持って帰るのは大変。「のりあいバス」で自宅まで荷物を運べるようになり、喜んでいただいています。
――住民の方にとってどんな存在でしょうか。
担当者:通勤・通学・通院などになくてはならない生活交通の手段である定期船(令和 3 年 10 月より民営化)と連絡するのが、「のりあいバス 伊吹線」。今後も必要不可欠だと考えています。
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いりこが名産で、由緒ある神社や、瀬戸内国際芸術祭の会場として現代アートも展示される伊吹島に、なくてはならない「のりあいバス伊吹線」。小さい車両だが、住民に頼られ逞しく坂道をのぼる姿は大きく見えた。
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(まいどなニュース特約・米田 ゆきほ)