愛知県警本部=名古屋市中区 名古屋市発注の観光プロモーション委託業者選定で、便宜を図った見返りに飲食代を負担させたとして、愛知県警は8日、収賄容疑で同市観光交流部の元担当課長、大塚勝樹容疑者(62)=同市名東区西山台=を逮捕した。贈賄容疑で、広告会社「ニック」(同市)取締役、桑原清美容疑者(54)=同市西区新道=も逮捕した。2人の認否は明らかにしていない。
大塚容疑者の逮捕容疑は、観光交流部主幹や担当課長だった2023年3月〜24年12月ごろ、市の観光プロモーション業務委託で、ニックを選定するなどの便宜を図った謝礼として、多数回にわたり私的な飲食代など計約43万円を負担させ、賄賂を受け取った疑い。
捜査2課によると、ニックは22年以降、随意契約などで観光客誘致イベントの企画、ポスターやパンフレット、グッズ製作などの事業43件、計約1600万円を受託した。業者選定は正規の手続きを経ていなかったといい、大塚容疑者は元請け業者に下請けとしてニックを使うよう求めることもあったという。
市によると、大塚容疑者は民間企業などを経て20年4月に任期付き職員として採用され、今年3月末で退職した。県警から任意で事情聴取を受け、市には「公務員としてやってはいけないことをやってしまった」と再任用を辞退したという。市は、昨年に不公正な取引の疑いがあると匿名の通報があったことを受け、同容疑者らに聞き取りをしたが、不正は確認できなかったとしている。
広沢一郎市長は記者団の取材に「公金が絡み、非常に重い。市民には大変申し訳ない」と話した。