最年少GI制覇なるか/島田明宏

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2025年05月08日 21:00  netkeiba

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▲作家の島田明宏さん
【島田明宏(作家)=コラム『熱視点』】

 フェブラリーS コスタノヴァ(レイチェル・キング騎手)
 高松宮記念 サトノレーヴ(ジョアン・モレイラ騎手)
 大阪杯 ベラジオオペラ(横山和生騎手)
 皐月賞 ミュージアムマイル(ジョアン・モレイラ騎手)
 天皇賞(春) ヘデントール(ダミアン・レーン騎手)

 今年これまで行われた平地GIの勝ち馬と鞍上である。

 5戦のうち4戦が短期免許の外国人騎手で、高松宮記念は2着も日本の騎手だが外国人のクリストフ・ルメール騎手、天皇賞(春)の2着はアンドレアシュ・シュタルケ騎手だった。

 と、外国人騎手の活躍が目立つなか、今週のNHKマイルCには、デビュー2年目で19歳の吉村誠之助騎手と、デビュー4年目で21歳の佐々木大輔騎手という2人の若手が有力馬とのコンビで臨む。

 ランスオブカオスに騎乗する吉村騎手が勝てば、1984年のグレード制導入以降の最年少GI優勝記録となる。

 アルテヴェローチェに乗る佐々木騎手が勝っても、同レースの最年少優勝記録は藤岡康太元騎手の20歳4カ月22日なので記録更新とはならないが、それでも、今後に大きく影響する一勝となるだろう。

 グレード制導入以降の最年少GI優勝記録は、1988年の菊花賞を19歳7カ月23日で勝った武豊騎手が持っている。

 吉村騎手が勝つと19歳4カ月8日で、3カ月半ほど更新することになる。

 グレード制導入前まで範囲をひろげると、最年少GI級優勝記録は、1938年の第1回オークスを18歳8カ月6日で勝った保田隆芳元騎手が保持している。

 記録に関しては、グレード制導入以降や、さらに遡ってJRAが創設された1954年以降を「有史」とし、それより前は「前史」のように扱われることがままある。

 そのひとつが、同じレースで、今も第1回からカウントしているのに「GI級」としなければならないことだ。が、保田氏によるアステリモアでの第1回オークス制覇は、「最年少クラシック優勝記録」という括りにすれば、有史とひとつながりとみなしていいはずだ。

 今年の皐月賞で圧倒的1番人気に支持されて2着になったクロワデュノールは、完勝したホープフルSで負かした馬たちが、その後、次々と結果を出したことも、高い評価につながった。

 2着ジョバンニが若葉ステークス、3着ファウストラーゼンが弥生賞、4着ジュタが若駒ステークス、11着マスカレードボールが共同通信杯、13着ピコチャンブラックがスプリングSを勝つ、という活躍ぶりだった。

 NHKマイルCで1番人気になりそうなアドマイヤズームも同様に、2馬身半差で圧勝した朝日杯FSで負かした馬たちが力を示している。

 2着のミュージアムマイルが皐月賞、3着のランスオブカオスがチャーチルダウンズC、6着のクラスペディアがクロッカスSを勝っている。

 さらに、5着だった前出のアルテヴェローチェは、シンザン記念とチャーチルダウンズCで2着と頑張った。

 ドウデュースが勝った2021年の朝日杯FSは、2着セリフォス、3着ダノンスコーピオン、5着ジオグリフと、勝ち馬を含めて4頭もその後GIを制した。

 やはり、直線の長い阪神の外回りが舞台になってから、その後もアテになるレースになってきたのだろう。

 が、小回りで紛れやすいと言われている中山芝2000mのホープフルSの勝ち馬や上位入着馬も、その後も結果を出す馬が多くなっている。

 ということは、舞台云々ではなく、2歳の終わりごろには、だいたいの勢力図が明らかになる時代になったということなのか。

 イクイノックスは11月の東京スポーツ杯2歳Sを勝ってから皐月賞まで休んでいたが、3歳時の年明けの時点でノーザンファーム天栄の木實谷雄太場長は、「今年はこの馬に期待しています」と話していた。

 その一方で、ソールオリエンスやジャスティンミラノ、タスティエーラのように、2歳の11月中旬や下旬にデビューして春のクラシックを勝つ馬もいる。

 いずれにしても、昔より「上がり馬」とか「上り馬(のぼりうま)」と呼ばれる、奥手の馬が出づらくなったことは確かだ。

 こんなご時世だからこそ、去年の夏はそう呼ばれていたヘデントールが天皇賞(春)を勝つシーンを見て、こういうサクセスストーリーもいいものだな、と思った。

 さて、先週の本稿に書いた、味噌汁をぶちまける原因となった左手のサポーターを、今もつけている。

 医師によると、手根管症候群の疑いがないわけではないが、親指の付け根の間接が小さく、そこに炎症があることは確かなので、まずは固定して様子を見ましょう、ということになった。

 私の左手よりも、今週のNHKマイルCだ。

 吉村騎手と佐々木騎手が、アドマイヤズームの川田将雅騎手、トライアルを勝ったイミグラントソングのルメール騎手といったトップジョッキーにいかに挑むか。楽しみである。

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