KADOKAWAは5月8日、2025年3月期通期(24年4月〜25年3月)連結決算を発表し、24年6月に発生したランサムウェア被害により、複数の事業が影響を受けた状況を改めて説明した。一方でヒット作に恵まれたアニメやゲームは成長している。
通期の売上高は前年比7.7%増の2779億円、営業利益は9.8%減の167億円だった。サイバー攻撃の調査・復旧作業やニコニコのクリエイター補償などの費用24億円を特別損失として計上したため、純利益は35.1%減の74億円となった。
サイバー攻撃によるマイナスの影響は、売上高で83億円、営業利益で47億円におよぶという。これがなければ、それぞれ11%と16%の増収増益だったとKADOKAWAは試算している。
中でも影響が大きかったのは、国内出版事業とWebサービスだ。出版事業はサイバー攻撃を受けた際、被害拡大を防ぐため関連サーバをシャットダウンしたことで製造・物流システムが停止。約2カ月にわたり本の生産や出荷に影響が出た。
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ただし電子書籍や海外での紙書籍販売、ライセンス収入などは伸張。セグメント全体の売上高は6.6%成長したという。
同じくサイバー攻撃の影響を大きく受けたWebサービスは減収。ニコニコ関連事業はサービス停止で6〜8月の売上を逸失した。
一方、ニコニコプレミアム会員のカード決済停止の影響で、一部会員の離脱も起きていた。これを受け、同社は「社会情勢を鑑みたポリシー厳格化」を実施。投稿コンテンツの見直しなどの対応を済ませたとしている。
アニメと実写を含む映像事業やゲーム事業は好調だった。アニメ「推しの子」2期や「Re:ゼロから始める異世界生活」3期など「強力なラインアップ」の映像事業は、配信やグッズ向けライセンス収入がけん引し、過去最高の売上高と営業利益を達成。ゲームも「ELDEN RING」のDLCの貢献で高い成長を維持している。
なお、今後のインシデントへの対応強化策として、1)各種サーバ再構築や監視強化等のシステム面でのセキュリティ対応強化、2)迷惑メール訓練やコンプライアンステストの中で情報セキュリティに焦点を当てるなど社員教育を実施するとしている。
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