NHKマイルCに出走予定のイミグラントソング(撮影:下野雄規) 今週の日曜日は、東京競馬場でNHKマイルカップ(GI・芝1600m)が行われます。
過去10年のNHKマイルCでは前走皐月賞組が3勝、同桜花賞組が2勝と前走でGIに出走していた馬が活躍。前走でGIの雰囲気やハイレベルなレースの流れを経験していることで、大舞台でも怯むことなく力を出し切れているのではないでしょうか。
そのほかでは前走GII組が3勝、同GIII組が2勝となっています。前走がオープン特別以下だった馬からは勝ち馬は出ていませんので、前走でレベルの高いレースに使われていることが優勝するためのひとつの条件と言えそうです。
しかし、今年の出走馬はすべて前走が重賞でGIだった馬も5頭います。当然ながらすべての馬を買ってしまうと損をする可能性が高くなりますので、しっかりとした根拠に基づいて各馬の評価を決めて、悔いのない予想を組み立てたいところです。
ここでは、上位人気が予想される馬の死角となりそうなデータをひとつ紹介します。
【条件】
前走ニュージーランドTに出走し1着
[0-0-0-9]複勝率0%
該当馬:イミグラントソング
(過去の該当馬:23年エエヤン2番人気9着)
※特に言及のない限り、データは過去10年間を対象にしています。
上位人気が予想されるイミグラントソングが該当しました。
過去10年のNHKマイルCでは、前走ニュージーランドT組が2勝と決してノーチャンスではありません。しかし、本番で勝利したのはニュージーランドTで2着以下に敗れていた馬となっています。
ニュージーランドTはNHKマイルCが創設された96年から同競走のトライアルレースに指定されています。以前のニュージーランドTはNHKマイルCと同じ東京で開催されていたため、97年のシーキングザパールや98年のエルコンドルパサーがニュージーランドTとNHKマイルCを連勝しています。
しかし、ニュージーランドTが中山開催となった00年以降は様相が一変します。00年以降、前走でニュージーランドTを勝った馬は22頭がNHKマイルCに出走。連勝したのは12年のカレンブラックヒルのみ。ニュージーランドTを勝った馬が僅か1勝に終わっているのは、ニュージーランドTが行われる中山とNHKマイルCの舞台となる東京では求められる適性が違うためではないかと考えられます。
ニュージーランドTを勝つような馬は中山に高い適性があるため、東京に替わってしまうことで能力を出し切れていないのではないでしょうか。ニュージーランドTで負けてしまった馬の中には東京に優れた適性を持っているタイプがいて、コース替わりで前哨戦とは違う結果になることが多いのでしょう。
該当馬に挙げたイミグラントソングの前走後のコメントでは、中山の方が合っていそうとのことです。東京芝1600mでは勝ち鞍こそありますが、これは未勝利戦で挙げたものですし、東京に高い適性があるかは未知数です。
過去10年のNHKマイルCの傾向からすると、前走でニュージーランドTを勝ってしまったイミグラントソングに高い評価は与えにくいのが正直なところ。しかも、上位人気が有力で大きなリターンが期待できないとなれば、配当妙味のありそうな他馬から入ることも一考したいところです。
重賞レースの参考に、是非お役立てください。