「Los Angeles Dodgers」公式Xより引用 ドジャースがダイヤモンドバックスとの4連戦を2勝2敗で乗り切り、何とかナ・リーグ西地区首位をキープしている。
移動日を1日挟み、日本時間14日(以下同)からは、アスレチックス、エンゼルス、ダイヤモンドバックスと、ドジャーススタジアムで9連戦が行われる。今季ホームで15勝3敗と圧倒的な成績を残しているドジャースだけに、ここで一気に波に乗る可能性もあるだろう。
◆ケガ人続出で救援陣の負担が増加…
ただ、ドジャースは投打ともにケガ人が続出しており、チームの状態は万全とは程遠いのが現状だ。
野手陣では、チーム最多の34打点を叩き出しているテオスカー・ヘルナンデスと、シーズン序盤に本塁打を量産したトミー・エドマンが負傷者リスト入り。投手陣は、他球団ならエース格のブレイク・スネルとタイラー・グラスノーも戦列を離脱している。
特に投手陣は、ロバーツ監督の早めの継投策も相まって救援陣の負担増が顕著だ。いくら選手層が厚いドジャースとはいえ、長いシーズンを乗り切るためには、先発陣のさらなる踏ん張りが求められるところだろう。
◆エース山本由伸に寄せられる期待
そんなドジャース投手陣の中で数少ない希望の光となっているのが、エース山本由伸の存在である。開幕からローテーションを守り、味方打線の援護に恵まれないなか、今季チームトップタイの4勝を挙げている。
ただし前回登板で、ダイヤモンドバックス打線につかまり、5回を投げて5失点。今季初となる中5日での登板も少なからず影響したかもしれない。
日本では先発投手は中6日が主流だが、連戦が多く5人でローテーションを回すメジャーは中4〜5日が基本。にもかかわらず、山本は昨季も中4日での登板が一度もなく、ほとんどが中5〜6日と十分な間隔を空けての先発だった。
今季は救援陣の負担が増大している現状を鑑みれば、山本が短い間隔で投げる機会も増えてくるだろう。そしてエースとして、それに応えることも求められそうだ。
◆“投球内容が酷すぎる”佐々木朗希
そんな山本以上に短い間隔での登板に不安を残したのが、10日のダイヤモンドバックス戦に先発した佐々木朗希である。
佐々木は今季開幕から球数制限もあるなか、週1回のペースで大事に使われてきた。しかし、チームが10連戦中だったこともあり、10日の登板ではロッテ時代に一度もなかった中5日でマウンドに上がった。
結果はご存じの通り、5回途中まで投げて5失点と炎上。本塁打2本を含む5安打を浴び、与えた四死球も3つ、さらに相対した20人の打者から1つの三振も奪えないという屈辱も味わった。
フォーシームの球速が低下し、制球面の改善も見られず、短い間隔での登板にも不安を残す形となったことは間違いないだろう。
また、防御率は何とか4点台(4.72)を維持しているが、数字以上に実際の投球内容が酷すぎる点も指摘されている。
NPB時代の奪三振率と比較してみると、プロ入り後もっとも高かった2023年は13.3あったが、今季は6.5にまで激減。被本塁打の数も開幕から1か月半ですでに6本を献上しているが、これはシーズン自己ワーストだった2022年の7本に早くも肩を並べる勢いだ。
ロッテ時代の過保護ともいえる起用からある程度予想されてはいたが、やはり中4〜5日が主流のメジャーでは体力が持たないという懸念が現実になろうとしている。
◆SNSには「マイナー降格」を求める投稿が急増
実際に前回の登板後には、現地のドジャースファンとみられるXユーザーから佐々木の現状を懸念する声が多く聞かれた。
「ブルペンに回して他の若手と同じように鍛え直すんだ」「ケガの噂は本当なのか」といった声が上がった一方で、目立ったのが23歳の将来を憂慮してのマイナー降格案だ。
「朗希は3Aで別の球種を磨く必要がある」
「将来を考えれば、今は3Aで1〜2か月過ごした方がいい」
「朗希を3Aに降格させてプレッシャーをかけずに成長を促すべきだ」
100マイルに迫るフォーシームと落差のあるスプリットを持つ佐々木に対して、将来的な期待値は大きく下がったわけではない。実際にメジャーでも類まれなる才能の片鱗は見せている。
ただ、制球面の課題や日本では考えられなかった被本塁打の多さなど、今の佐々木がメジャーで投げ続けるには自信を失う要素が多すぎる。
◆ロバーツ監督はマイナー降格を否定するが…
前回登板後に、マイナー降格案に関する質問を受けたロバーツ監督は「現時点では考えていない」とコメントを残したが、再び中5日で迎える次回登板が試金石となる可能性もあるだろう。
現地報道によると、ドジャースは37歳の左腕クレイトン・カーショーを数日以内にメジャーに昇格させ、先発登板させる見込みだという。通算212勝を誇るカーショーが久々のメジャーで結果を残すようなら、佐々木をマイナーに送り、自信をつけさせるというシナリオがいよいよ現実味を帯びてくるかもしれない。
佐々木はこの苦境を自身の力で乗り切ることができるのか。今週の佐々木とカーショーの投球次第で、ドジャースの先発ローテーションの顔ぶれが変わる可能性は十分ありそうだ。
文/八木遊(やぎ・ゆう)
【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。