10年オークスで1着同着のアパパネとサンテミリオン(撮影:下野雄規) これまでにJRA重賞で1着同着は何回あったか? 答えは12回。この数字を多いと思うか少ないと思うかは人それぞれだろうが、GIでは僅かに1回しかない。ちょうど15年前、アパパネとサンテミリオンの一騎打ちとなった10年のオークスを振り返ろう。
この年の牝馬クラシック路線には絶対的な主役がいた。前年の阪神JFを制したアパパネである。年明け初戦のチューリップ賞では2着に敗れたものの、本番の桜花賞を快勝。二冠がかかるオークスでは単勝3.8倍の1番人気に推されていた。ただ、距離延長を不安視する声があったのも事実。実際、2番人気以下も大きな差はなく、ショウリュウムーン、オウケンサクラ、アプリコットフィズ、サンテミリオンまでが10倍以内の支持を集めた。
雨が降る中、稍重で行われた一戦、アパパネは中団後ろの外目で脚をためた。迎えた直線、番手追走のアグネスワルツが先頭へ。これを目標に伸びたのが最内のアプリコットフィズ、外のサンテミリオン、そして大外のアパパネだった。残り200mを過ぎてからは外の2頭の一騎打ち。アパパネ&蛯名正義騎手、サンテミリオン&横山典弘騎手は互いに譲らず、馬体を並べてフィニッシュ。入線から10分以上を要した写真判定の結果はまさかの同着。JRAのGI史上初めて、2頭の勝ち馬が誕生したのだった。
実は蛯名正義騎手と横山典弘騎手は92年の帝王賞でも1着同着の経験があった。つまり18年の時を経て、再びビッグタイトルを分け合うこととなったのだ。2人がヒーローインタビューで満面の笑みを浮かべ、「おめでとう」と抱き合ったシーンは多くのファンの記憶に残っているに違いない。