えっ!まだキーボードで入力してるの? 2倍速入力も狙える「音声入力」に乗り換えよう

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2025年05月19日 08:30  おたくま経済新聞

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えっ!まだキーボードで入力してるの? 2倍速入力も狙える「音声入力」に乗り換えよう

 数年前まで「音声入力」と言えば、誤認識だらけの使い物にならないものでした。しかし今、状況は一変。AIの進化により、日本語で自然に話すだけで驚くほど正確にテキスト化してくれる時代になったのです。


 もはや音声入力は「未来の技術」ではなく、あなたの目の前にある「今日の技術」なのだといえます。


(本稿は、「メルマガの父」として知られる深水英一郎氏による寄稿です)


【その他の画像・さらに詳しい元の記事はこちら】


■ 音声入力が秘める3つの革命的メリット

◯入力速度が2倍以上に:
熟練したタイピストでも1分間に100文字程度。音声入力なら200〜300文字も可能です。速いだけではなくミスも減るという調査結果があります。


◯キーボードを打っていた両手を自由に使える:
資料を見ながら、歩きながら、料理をしながらでも入力できる解放感。


◯思考と入力の一体化:
頭に浮かんだアイデアをそのまま文字に変換できる自然さ。


■ 驚異的な進化を遂げた音声認識技術

 こうした音声入力の進化を支えているのは、AI技術そのものの飛躍です。近年では、文章生成だけでなく、音声認識の分野でもAIの性能が飛躍的に向上しています。


 たとえば半導体メーカーとして知られるNVIDIAも、音声認識に最適化されたAIモデルを開発しています。同社が5月1日に公開した最新技術(※1)では、なんと1秒で60分の議事録を文字起こしできるようになりました。1時間分を1秒ですよ!信じられない速さです。


 そして私たちの身近なデバイスも静かに進化を続けています。かつては「認識ミスだらけ」「誤字だらけ」「漢字変換もめちゃくちゃ」だった音声入力が、今では早口でも、ささやき声でも、驚くほど正確に変換してくれるのです。


 「音声入力の時代」は、もう始まっています。




■ 音声入力がもたらす「手の解放」という革命

 音声入力の進化が、私たちの生活や働き方にどんな影響を与えるのか?注目すべき変化のひとつが、「手が自由になること」。


 これまでキーボードやタッチスクリーンに縛られていた私たちの手が解放され、入力しながら別の作業ができるようになるのです。


 資料をめくりながら議事録を作成したり、歩きながらアイデアをメモしたり、調理しながらレシピを検索したり。こうした「ながら入力」が実現することで、私たちの作業効率は飛躍的に向上します。


 OpenAIのサム・アルトマンCEOも、2025年春に開催されたテックイベント「AI Ascent 2025」のトークセッションでこのテーマに触れ、音声モードで特に興味深かったこととして「話しかけながらスマホをクリックできるようになったこと」を挙げています。


 さらに彼は、「音声は(ChatGPTにとって)非常に重要」と述べ、将来的により高品質な音声機能が登場すれば、「多くの人が使いたがるだろう」と展望を語っています。



■ あなたのデバイスにすでに搭載されている音声入力機能

 もしこれから始めたいと言う場合には、特別なアプリは必要ありません。あなたのデバイスにはすでに高性能な音声入力機能が搭載されています。


 スマホではキーボード上のマイクアイコンをタップするだけ。Macユーザーならfnキーを2回押すだけで起動できます(特にApple Silicon搭載機種は高性能)。Windowsユーザーも、Windowsキー+Hで簡単に音声入力モードに切り替えられます。


 現状では、Apple製品の音声認識精度が一歩リードしています。「あのー」「えーっと」といったフィラーを自動的に除去し、「改行」「まる」「てん」といった音声コマンドにも対応しているのです。Windowsも追いかけていますが、まだ細かい点で差があるようです。


■ さらに高度な専用アプリの世界

 OSの標準機能を超える専用アプリも登場しています。私はMac・iOS向けの「SuperWhisper」や、Mac・Windows向けの「AQUA Voice」(※3)を使っています。特に「AQUA Voice」は文脈を理解し、同音異義語も正確に変換してくれる優れものです。


 例えば「短歌」と「単価」の区別。標準の音声入力では混同されがちですが、AQUA Voiceなら文脈に合わせて適切に変換してくれます。これはもう単純な音声認識を超えた、AIによる編集アシスタントの領域です。


■ AIが自動修正してくれることでさらに速度UP

 キーボード入力では入力したそのままがテキスト化されますが、音声入力ではAIが間に入ることで多少の言い間違いも自動修正してくれます。


 これはAI検索でも同じこと。少々の間違いがあっても、AIは意図を汲み取って適切に対応してくれるのです。


■ AI時代の検索と音声入力の相性

 AI検索では、単語の羅列ではなく文章形式で詳細な情報を伝えることが増えています。AIに与える情報が多いほど、より良い回答が得られるからです。


 そうなると入力量も増加。ここでも音声入力の速さが大きなアドバンテージになります。思いついたことをそのまま話しかけるだけで、詳細なプロンプトが完成するのです。


■ 「Vibeコーディング」から「Vibeライティング」へ

 最近、プログラマーの間で流行している「Vibeコーディング」という作業スタイルがあります。これはノリでAIと対話しながらプログラムを作る手法です。


 技術的な知識や厳密な設計よりも、「こんなことをやりたい」という感覚を自然言語で伝えることが重要になります。そのため、音声入力との相性も抜群なのです。


 この流れは「Vibeライティング」にも拡大していくはずです。つまり、AIと会話しながら文章を作り上げていく新しい執筆スタイルです。


 もともとAIエディターは、開発者がコードを書くための支援ツールとして普及しましたが、これはそのまま文章執筆にも応用できます。


 AIとおしゃべりしながら文章を作り上げていく新しい執筆スタイルで文章を書く人は今後増えてくると思います。もしかしたら小説をAIとの対話で書いてベストセラーを出す作家も、もうすぐ登場するかもしれません。


■ 音声入力が変える未来のオフィス風景

 このように、音声入力は今後さらに便利でストレスなく使える技術となり、コンピューターになにかをさせる際には音声入力を使う人が増えていくものと思います。となると近い将来、会社のオフィスではパソコンに向かってボソボソ喋る人たちの姿が多数観察されることになるのでしょうね。


 まぁ少し奇妙に思えるかもしれませんが、それが効率的で自然な働き方になるんじゃないかと思います。


 あなたも今日から音声入力を試してみませんか? 一度その便利さを体験したら、もうキーボードだけの入力には戻れなくなるかもしれません。


<参考>
※1:Parakeet TDT 0.6B V2(Parakeet)
※2:OpenAI’s Sam Altman on Building the ‘Core AI Subscription’ for Your Life(2025/5/13)
※3:AQUA Voice【寄稿者 深水英一郎 プロフィール】
https://x.com/fukamie
創作者コミュニティ「次世代文学・次世代短歌」の呼びかけ人をやっています。
ネット黎明期にインターネットの本屋さん「まぐまぐ」を個人で発案、開発運営し「メルマガの父」と呼ばれる。Web of the Yearで日本一となり3年連続入賞。新しいマーケティング方式を確立したとしてWebクリエーション・アウォード受賞。元未来検索ブラジル社代表で、ニュースサイト「ガジェット通信」を創刊、「ネット流行語大賞」や日本初のMCN「ガジェクリ」立ち上げ。シュークリームが大好き。

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 深水英一郎(ふかみえいいちろう) | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025051801.html

このニュースに関するつぶやき

  • 画面に向かってただ喋る姿を客観的に想像するとだいぶキツイ。ビデオ会議とかで会話してるならともかく。
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