このほか、将来的には、ブロックチェーンの活用によって誰がどこにどれ程の額を寄付したのか検証できるシステムの構築を計画。プロジェクト外でも、自分が支援したい文化的遺産に寄付できるようなプラットフォーム化を目指すという。袴田は「現在の資本主義の基本原則である『お金を払って対価を得る』という経済観を変えていきたい。文化や公益のために個人が自ら進んで支援し、社会全体で文化を支えていく。そしてその貢献が社会的に賞賛される価値観を醸成したい」と話した。
なお、対象となる「文化的遺産」とは同プロジェクトによる造語。「文化財」という言葉は国によって定められた国宝や重要文化財、有形登録文化財などを指すが、同館のように私設で文化を発信している施設や、今後価値が見出されていくことが考えられる建物や芸能、文化資源を含め幅広く保護していきたいという考えから、「文化的遺産」という表現を採用しているという。また、文化財に該当するものに関しても、地震等の自然災害による被害で国の制度による補償が及ばないケースなどについては同プロジェクトの対象とする考えだ。
第1弾は杉本博司 × ワタリウム美術館 オライザプロジェクトの第1弾には、現代アーティストの杉本博司が協力。同氏の代表作のひとつである「建築シリーズ」の限定エディションとして、建築家のマリオ・ボッタ(Mario Botta)が設計したワタリウム美術館の建築を撮り下ろした新作「WATARIUM ART MUSEUM 2025」を抽選販売する。25点限定で制作された同作には、杉本の直筆サインが加えられ、桐箱に同梱される。本体価格は6000USD(約87万円)で、開館35周年を迎え老朽化が進むワタリウム美術館への支援として別途700USD(約10万円)以上の支援金を支払うことを購入条件に設定している。抽選の応募受付期間は5月26日から31日で、当選発表は6月7日頃。