
医療現場はどこも人手不足だと聞くが、そもそもの人員配置や募集の仕方に問題があるのでは?と職員が疑うケースもあるようだ。病院の相談員として働く30代女性(年収400万円)から、人手不足で疲弊する職場で「この会社ダメだな」と思った瞬間のエピソードが寄せられた。女性は社会福祉士の資格を持ち「入退院支援部門」に勤務しているが、こんな実態を明かす。
「ギリギリの人数で回しており、ペイハラ(編注:給与に関するハラスメントや不満)も多く、辞める方も多いです。なのに、上司のアピールが足りないのか、どの部署も人手不足か、欠員補充を積極的にしてもらえません」
実際に「2人が産休と称して連続で辞めました」といい、その辞め方にも思うところがあったようだ。(文:篠原みつき)
「バカなのかと」目を疑う人員配置と採用基準
2人の職員は、どちらも既に2人の子持ちで「産み終えた」と言って入職してきたが、妊娠であっさり辞めてしまったという。
「3人目が欲しかったのは本当なのでしょうが、辞める言い訳になると喜んでいたようにも思います。産休育休が取れるからと言われても断固として辞めていきました」
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そんな職場に嫌気がさしていた矢先、女性は衝撃の事実を知る。4月に系列法人の施設に介護の研修に来ていた新人の中に、社会福祉士の資格を持つ人が複数いるというのだ。
「『えー?』とびっくり。現状うちは1人足りない体制で頑張っていて、求人を出しても人が来ないと嘆いていたからです。『なんで!?うちに来ずに?』と聞くと、法人の方針で一年は介護をして、それから相談員になるというのです」
しかし、話はそれだけでは終わらない。「介護職の給料の方が高いので(夜勤手当もあるから)、1年後に相談員になりたがらないのだと教えられました」というのだ。女性は中途採用で相談員経験があったため、即戦力として最初から相談員業務に就いたと説明された。これには「バカなのかと思いましたね」と憤りを隠せない。
「せっかく国家資格をとったのに別の仕事を一年もする、その時点で私が新卒なら辞めます。そこを一年頑張れる人はすごいですが、古くからいる人に聞くと、『聞いてない、介護するつもりで就職してない』と辞めていく人も多いとか」
優秀な人材を確保するどころか、みすみす手放しているようなものだ。
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「引き止められていますが、無理です」
さらに、自部署の欠員補充の求人条件は「病院での退院支援経験が一年以上ある人」だというが……。
「これもアホかです。人手不足で困ってる、給料も安いのに、なに高望みしてる、ですよ」
と、現場の実情を無視した採用基準に呆れている。
他にも、「関連法人とのやりとりは面倒だし、ボーナスは段々減っていくし、なのに新規施設は次々オープンするし」「ベットコントロールと称して、新規入院が少ないと1週間から2週間、退院可能な人の退院を引き延ばすし」といった不満が募っていたという。
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そんな女性はすでに行動を起こしている。「今からもっと待遇がいいところの二次面談に行ってきます。内定はもらっているので、形だけと制服あわせです。退職願いは既に出しています。引き止められていますが、無理です。辞めるのが楽しみです」 と、清々したように顛末を明かす。現場の士気を下げるような運営では、人材が流出していくのも当然の結果ではないだろうか。
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