長岡一也さん(フリーアナウンサー)【長岡一也=コラム「競馬白書」】
◆逆転の可能性を秘めたアルマヴェローチェにも期待
3歳牝馬にとってこの時期の距離2400米は、ハードルが高く、厳しい。それに直線の長い東京競馬場だから、末脚の持続力が問われ、オークスの検討をムズカシクしているのかと思うと、この10年、1番人気が6勝していて2着が2回と強く、その他の勝ち馬も2番人気が1勝、2着と3着が3回ずつ、3番人気が3勝、3着1回と勝ち馬は3番人気以内に限られ、せいぜい2、3着に伏兵を狙うのが妥当ということになっている。
人気となると桜花賞上位組になるが、この5年の桜花賞のオークスでの成績は、4勝2着1回と圧倒的で、今年のエンブロイダリーへの期待は、当然大きくなる。史上18頭目の春の牝馬二冠に挑むことになるが、今年初戦、東京のクイーンCをレコードで快勝し、そのスピードと抜群の勝負根性を桜花賞で発揮していた。父アドマイヤローズ、母父クロフネとマイルのGI実績が光る血を受け継いでいるが、総合力で他を圧倒していることは間違いない。距離がポイントだが、馬混みでしっかり脚をため、ラスト2ハロンとも11秒4の切れ味を見せた桜花賞の内容から、3戦2勝2着1回と走り慣れた東京なら大丈夫だと思う。上がり3ハロン最速馬が8割も勝っているオークスだからこそ、この点は強調しておきたい。
これと桜花賞でクビ差の2着と走ったアルマヴェローチェは、距離面で逆転の可能性を秘めている。昨夏、札幌2歳S1800米でハナ差の2着。牡馬相手にタフなレースを早くからこなしていた。桜花賞では上がり3ハロンをメンバー最速の33秒9でしっかり走っていたことと、父ハービンジャーがイギリスのキングジョージ6世&クイーンエリザベスSの勝ち馬という血統背景から、距離延長がプラスに働くのは間違いないだろう。
今年の桜花賞はレベルが高かったと見られているが、それがオークスでどう反映されるか、今後のことも含め、大いに注目していきたい。
そうなると、3番手以下の逆転候補も桜花賞組ということになる。キャリア4戦全て3着以内というリンクスティップに可能性を感じる。出遅れして最後方からマクリ気味に追い上げた桜花賞のように長くいい脚が使えるのが武器だ。きさらぎ賞では牡馬相手にハイペースを先行して2着に食い込んだように、どんなレースでもできる。
これら桜花賞上位3頭を中心に考え、あとは距離延長と東京コースが味方になりそうな伏兵をさがしてみた。
左回り中京の2000米で勝ち、前哨戦フラワーC1800米を4コーナー先頭に立って押し切り、ラストを11秒7でまとめたレーゼドラマはどうだろう。スピードに優れ、血統からも芝の中距離がベストだと思う。とにかく、前走が完勝といえるものだっただけに、5戦目の今回に期待する。
「女王の座 未知への挑戦 その先に」