すし飯づくりが花嫁修業だった時代…62年間パッケージ変わらず愛される「すしのこ」の軌跡、開発秘話とは!?

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2025年05月26日 12:00  まいどなニュース

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営業活動で使用した「すしのこカー」

創業118年目のタマノイ酢(大阪府)が発売する、粉末すし酢「すしのこ」

【写真】東京都中央区で開かれた顧客向けの催しの様子

ごはんに混ぜるだけですし飯が作れる手軽さが愛され続け、今年で発売から62年とのこと。すし飯作りは酢の種類や米の炊き方で変化するため難しく、かつては義理の母親から教えられ、家庭の味として受け継がれていたそう。簡単に酢飯が作れる調味料やレシピが普及する中、レトロなパッケージのまま愛される本商品の開発当初のエピソードなど、担当者に話を聞いた。

――「すしのこ」のアイデアの由来は。

担当者:1963年発売で今年で62年目になります。かつて、すし飯はご飯の炊き方や酢や塩など調味料の分量の調節が繊細で、美味しく作るのは難しかったんです。さらに当時の液体酢は日持ちせず、大きな瓶(かめ)に入れて運搬していたので流通面でも大変でした。ちょうどその頃、市場では味噌や醤油などを粉末にした調味料の販売が急拡大していました。そんな中、自然な発想で開発することになりました。

――開発秘話、語り継がれているエピソードは? 

担当者:最大の課題は湿気でした。当時世界初となる粉末酢の開発は成功しましたが、吸湿性が高く、湿気を吸った粉は簡単にダマになってしまう。研究室で調整を繰り返す中、砂糖を入れると吸湿性が下がることを発見し、すし酢の粉末「すしのこ」が完成しました。

――普及のための戦略を。

担当者:当時、液体調味料を販売するのは酒屋が一般的でした。でも粉末の「すしのこ」を販売するのは町中の乾物店や食料品店。今まで築き上げてきた酒屋ルートの営業ができず、営業マンは商品と同じ黄色に塗った「すしのこカー」を駆り、全国の乾物屋や食料品店を回ったそうです。すし飯づくりが、いわば花嫁修業の一つだった当時、幼稚園や保育園を訪問し若い主婦層にサンプルも配布しました。

――レトロなパッケージが目を惹きますね。

担当者:発売当初から60年以上、基本的なデザインの変更はありません。レトロなフォントやイラストがかわいいと今でも好評です。2022年には、イギリスのファッションブランド「アニヤ・ハインドマーチ(Anya Hindmarch)」とコラボレーションし、すしのこをモチーフにしたハンドバッグを発売。世界中の方や若い世代の方たちに知っていただくきっかけになりました。

――すし飯以外に応用はできますか? 

担当者:「すしのこポテト」がオススメです。フライドポテトに振りかけるだけで、酸味と甘みが加わりクセになる一品になります。2025大阪・関西万博のイベントでも販売したメニューで大人気でした。2025年3月から「すしのこ」新シリーズとして、だしを効かせたすし飯おにぎりの素「赤すしのこ」も発売中です!

◇    ◇

すし飯づくりが花嫁修業だった時代があったとは。現在も食卓で愛されるすしのこ。令和ならではの柔軟な発想で、色んなメニューに応用して活用していきたい。

(まいどなニュース特約・米田 ゆきほ)

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