
26日、コメの平均価格が発表されましたが、また最高値を更新しました。一方で、小泉農水大臣は、放出する備蓄米の店頭価格は5キロで税込み「2160円」程度と明言。すでにスーパーなど6社から申し込みがあったと明かしました。
【写真を見る】「農水省主催の“コメ屋いじめ”」だと話すコメ店
小泉農水大臣「備蓄米は5キロで2160円」程度と明言 「すでに6社が申請」アイリスオーヤマ 田中伸生 管理本部長
「申し込みさせていただきました。6月2日には販売できるかなと」
ドン・キホーテ運営会社PPIH 初山俊也 常務
「目指せると思いますね、2000円台」
名だたる企業が、小泉進次郎農水大臣の備蓄米放出に手を上げました。
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26日午後10時半ごろ、小泉大臣は…
小泉進次郎 農水大臣
「今日中に数量も含めてお申し込みをいただいているのが、ホームセンターやスーパーを含めた6社。リアルタイムでもしかしたら今日中の申し込みが一部出てくるかもしれない」
26日朝、備蓄米の随意契約での売り渡し方法を発表した小泉大臣。
小泉進次郎 農水大臣
「備蓄米は、いざというときのためにあるもの。私は今こそ、いざというときだと思っているので、放出をするという決断をした」
これまでと違うのは、国が直接、スーパーなどと契約することです。年間1万トン以上の取り扱いがある大手小売業者が対象で、価格は玄米60キロあたり税込みで1万1556円、5キロに直すと963円で引き渡します。
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小泉進次郎 農水大臣
「流通経費など諸経費、一般的なマージンを考慮した上で(店頭価格)2000円という形になる。ぴったり2000円で販売をして、税込で2160円という形の販売をするところと、いろいろな事情で一定の幅があるところが、もしかしたら出てくるかもしれない」
小泉大臣は、改めて「6月上旬には5キロ2160円程度で備蓄米が店頭に並べられる」と強調しました。
新大臣の鶴の一声で、2000円台の備蓄米が店頭に並ぶことに、街では期待と不安の声が…
Q.2000円の備蓄米があったら買うか?
買い物客
「もちろん。4月に買ってそろそろ買わなきゃと思ってるので、いつ頃に買う時期がいいかなと思いニュース見ている」
「すぐ実現できるのかなっていうのは疑問に思った」
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実際に契約を検討しているのは、イオンや楽天、ライフなどの大手小売業者。こうした事業者に対し、オンラインで説明会をおこなった農水省。説明会には、約320社が参加したということです。
参加した、アイリスオーヤマの担当者は…
アイリスオーヤマ 田中伸生 管理本部長
「申し込みさせていただきました。精米をグループ会社の方でやっている。資材等々も通常であれば1か月〜1か月半つくるのに時間かかるが、すでに在庫として持っている資材もあるので。我々も利益度外視でやらせていただいているので、できれば2000円で並べたいなと」
このほかにも、大手スーパーのイトーヨーカドーや、ドン・キホーテの運営会社などが随意契約に参加することを決めたということです。
ドン・キホーテ運営会社PPIH 初山俊也 常務
「政府はなるだけクイックにということだったので、(店頭に並ぶのが)上旬にという言葉もあったが、そこを加味すると本当に時間がない。(Q.取材受けてる時間もないくらい?)実は…いまでも、先ほどからメールがきている」
こうした中、東京・足立区の山菊米穀店には、午後、トラックで15袋のコメが届きましたが…
山菊米穀店 雨間瑞秀さん
「備蓄米はうちみたいな店には来ませんよ。おそらく都内のおコメ屋さんで1万トンも扱っている小売店は無い。1万トンって、もはや“小売店”ではなくないですか?」
こちらのコメ店の取扱量は年間約100トン。今回の随意契約の対象にはなりません。格安の備蓄米が入らず、高値で仕入れたコメを売るしかない状況について…
山菊米穀店 雨間瑞秀さん
「私たちの販売の伸びは緩やかになるんじゃないか。農水省主催の“コメ屋いじめ”」
一方、コメのプロとして、今回放出される2022年や2021年産の備蓄米はうまく精米しないと、味が落ちる可能性があると指摘します。
通常は玄米から1割ほどぬかを削って、精米するといいますが…
山菊米穀店 雨間瑞秀さん
「玄米の段階でかなり油分を含んでいて、油分が酸化しやすい。通常の90%に仕上げる精米だと、(備蓄米は)古いコメなので、若干臭いが残ったり、劣化は確実にある。それを防ぐためには85%ぐらいまで精米しないと臭いがとれないと思う」
今後、コメの価格はどうなっていくのか。26日に発表されたスーパーでのコメの平均価格は5キロ4285円と2週連続で値上がりし、またしても過去最高値を更新。備蓄米を含む「ブレンド米」でも、その価格は5キロ3924円となっていました。
備蓄米が放出されても、コメ全体の価格は下がらないと見ているのは、群馬県沼田市でコメ作りをおこなう金井農園。いまは田植えシーズン真っ盛りです。
金井農園は、農協を通さずにレストランや旅館などに直接コメを卸してきましたが、秋に収穫する新米は早くも“争奪戦”になっています。
金井農園 金井繁行 代表
「田植えをする前から、今年は『お米なんとか分けてください』という電話とかメールがいっぱい来る。今年の収穫量の95%の出荷先は予約で埋まっている」
ブランド米のコシヒカリ「小松姫」は2025年、燃料費高騰の影響などで400円値上げし、5キロ5200円で販売する予定です。それでも、買い手が次々現れるといいます。
金井農園 金井繁行 代表
「びっくりするような話だが、外国人がお金を持って『お米ある?お金あるよ』『いっぱいお米欲しいんだけど分けてもらえる?』とニコニコしながらお見えになる。ありがたい話だが、それについてはみんな断っている」
すでに高値での取引が始まっている新米。専門家も、価格帯が違うコメが店頭に並ぶことになると指摘します。
農業ジャーナリスト 松平尚也氏
「3極化といいましょうか。これまで、放出されてきた備蓄米は5kg3000円台後半。今回、放出される備蓄米は5kg2000円台。新米については依然として価格は変わらず4000円前後で推移するかなと思います。いくつかの価格差で店頭に並ぶ見通し」
この価格差によって売上が下がるのではないかと不安な思いを抱えている人がいます。
スーパーたなか三丁目店 田中達人 店長
「6月5日に初めて備蓄米が入ってくる予定」
こちらのスーパーでは、来週以降、3回に分けて備蓄米を入荷しますが、その備蓄米は、江藤前大臣のときに放出されたものです。
スーパーたなか三丁目店 田中達人 店長
「入ってくる原価も以前放出された価格を参考にしている。(販売価格)3200円〜3500円くらいで考えている。(今後)2000円が普通になるようだと、3200円くらいまで頑張って下げようか、どうしようかなという感じ」
6月から2000円の備蓄米が大手小売店で販売された場合、その備蓄米より高い価格で売らざるを得ないと怒りをにじませました。
スーパーたなか三丁目店 田中達人 店長
「お客さんも大手に流れてしまう流れは避けられないのかなと覚悟している。大臣が代わった程度で本当にそんな(価格を)変えられるなら、最初からオークション形式にしなければよかったのにと思う」
その上で、政府に対し、備蓄米を放出しただけで終わらないでほしいと訴えます。
スーパーたなか三丁目店 田中達人 店長
「来年から新米が(市場に)出たときに、また同じことが起きては意味がないので、繰り返さない工夫をしっかりやってほしい。選挙前の一度限りではなく。そういう思いはある」
※動画内で紹介したアンケートは27日午前8時で終了しました