受給者「ただ生かされているだけ」=生活保護減額訴訟で弁論―6月27日判決・最高裁

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2025年05月27日 15:31  時事通信社

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生活保護減額訴訟で、弁論のため最高裁に向かう原告や弁護団=27日午後、東京都千代田区
 国が2013〜15年に生活保護基準額を引き下げたのは違法だとして、受給者らが減額処分取り消しなどを求めた訴訟で、先行する大阪、名古屋各高裁で判断が分かれた2件の上告審弁論が27日、最高裁第3小法廷(宇賀克也裁判長)で開かれた。原告側は「今の私はただ生かされているだけです」などと困窮を訴え、国側は「裁量権の乱用はない」と主張した。同日結審し、判決期日は6月27日に指定された。

 同種訴訟は全国の29地裁に31件起こされ、提訴時の原告は最大で1000人を超えた。これまでに地裁段階では原告側勝訴が19件、敗訴が11件。高裁段階では勝訴7件、敗訴5件で、同小法廷が統一判断を示す見通し。

 意見陳述した大阪市の小寺アイ子さん(80)は、減額の影響で食費の切り詰めを余儀なくされたと説明。遠方に住む孫に会うための交通費も捻出困難になったといい、「人間らしく生きるためには、栄養のある食事や、家族や友人と過ごすことが必要だ」と最低限の生活保障を求めた。

 網膜剥離で失明し、受給者となった愛知県の千代盛学さん(71)は出費が必要になるため友人との外出も断念したと明かし、「毎日お金のことばかり考えて息が詰まる」と訴えた。

 訴訟では、厚生労働省の部会での審議を経ずに基準額を引き下げた手法の妥当性などが争われている。原告側は「史上最大の引き下げで、基準の改定に物価が用いられたのはこの時だけだ」などと強調。一方、国側は「厚労相の判断は合理的で、裁量権の乱用は認められず適法だ」と述べた。 

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