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パナソニック コネクトが5月27日、モバイルノートPC「Let's note」(レッツノート)シリーズの新製品発表会を開催した。
今回登場したのは、12.4型ディスプレイの「SCシリーズ」と、14型ディスプレイの「FCシリーズ」だ。現行のSRシリーズとFVシリーズを刷新し、「頑丈」「軽量」「長時間」という三本柱をさらに強化することを目指したという。
個人向けモデルのSCとQRは、同社直販のPanasonic Store Plusにて6月17日から、店頭では6月20日からの発売予定で、法人向けモデルの受注開始日はSCが6月より、FCは秋頃より行うとのことだ。
●時代が求める多様な働き方に応えるLet's note
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2023年以降、コロナ禍が収束しオフィス回帰が進む一方で、オンラインとリアルのハイブリッドワークが標準化しつつある。パナソニック コネクト 執行役員 シニア・ヴァイス・プレジデントでモバイルソリューション事業部マネージングダイレクターを務める山本清高氏は、この環境変化を「多様な働き方を実現するため、ハイブリッドワークが浸透していきながら、考えていた以上にリアルの働き方が変わってきた」と語る。
特に2023年から2025年にかけては、顧客先での対面打ち合わせが再び増加する一方、社内会議ではリモート会議が中心となって移動中のスキマ時間、移動中の新幹線など、データ通信さえ確立できれば、どこからでも参加できるようになった。
こういったハイブリッドな勤務体制は、利用者が使うデバイスの幅を広げる一方、IT管理者には多機種かつ多環境対応という新たな負担を強いている。
また、モバイルPCの活用が拡大する中で、毎日持ち運ぶユーザーが望むデバイスは「毎日自宅にPCを持ち帰る、どちらかというと体の一部のように使う」(山本氏)がゆえに「画面が大きいのがいい、小さいのがいいとか、いろいろな環境で使いたい」という要望が増えており、多種多様な機器を管理しなければならないIT管理部門の負荷が高まっているという。
「多様な働き方サポートが必要になるため、いろいろな機種を強化しなければならない。すると、トラブルの起き方も多種多様になってくる」(山本氏)
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こういった“イマドキ”な問題に対処すべく、Let's noteでは以前から重視してきた3つのコンセプト「頑丈」「軽量」「長時間」を、今回開発したSC/FCシリーズでより一層研ぎ澄ませたと訴求する。
●76cmにアップした落下試験と側面強化構造
「より一層研ぎ澄ませた」という頑丈/軽量/長時間の具体的な内容については、パナソニック コネクト モバイルソリューション事業部共通技術統括部 プロジェクトマネジメント部プロジェクトマネージャーの田中慎太郎氏が説明した。
Let's noteの新モデルでは、デザイン面では前モデルのSRシリーズを踏襲しながらも、内部構造を全面的に刷新した。「頑丈性」の強化では、コロナ禍明け以降にモバイルPCの利用環境が大きく変化し、出社や外出先での使用中に本体落下よるトラブルが顕著に増加したユーザーの状況に応えるべく、「新たな(頑丈の)領域へ進化すべく」(田中氏)根本から見直したという。
その具体的な取り組みの1つが、MIL規格の「MIL-STD-810H」準拠に加えて独自の頑丈性評価の導入だ。特に注力したのは、動作状態で76cmの高さから26方向の落下に耐えることを前提にした耐衝撃試験基準の強化となる。
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これは、机の上や手に持った状態からの落下という日常的なアクシデントを想定したものだという。
構造面では、液晶パネルの保護方法を強化した。従来のSRシリーズでは、LCDモジュールの四隅にダンパーを設けることで衝撃を吸収していたが、新モデルでは保護範囲を側面全体に拡大した。ボディー側面に沿って配置されたダンパーを含めた新構造により、弱点となりがちだった側面衝撃への耐性が大幅に強化されたという。
さらに、本体重量を増やすことなく高い剛性を実現するため、数値解析シミュレーションを徹底的に活用する落下試験体制を構築したことで、ボディーの厚みを増やすことなく、強度を最大限に引き出す設計が可能となった。シミュレーションでは、各部品のレイアウトやボディーの形状、ビスの締め付け位置に至るまで最適化できたとしている。
●軽さの追求と設計の工夫
田中氏は“軽さ”においても軽量と頑丈の両立を目指し、他社に先駆けてマグネシウム合金のボディーを採用してきたこれまでの実績を訴求する。新モデルのSCとFCでもその方針を継承した。
一般的に、頑丈さを高めてバッテリー容量を増やすと重量が増加するのが常だ。だが、SCでは従来機のSR(約939g)から20gの軽量化を実現し、約919gという軽さを達成しつつ、MIL-STD-810H準拠の頑丈さと長時間駆動を両立させている。
そのためにインタフェースやボディー構造の最適化、シミュレーションを駆使した補強設計、さらには電池の構造までを一新するなど、多層的な手段を講じたと説明した。
「さまざまな場所が働く場所になった今だからこそ、この違いを実感していただける」(田中氏)
長時間駆動で田中氏が強調したのは、働く場所が多様化する現在のワークスタイルへの対応だ。移動中に資料を整えたり、カフェでアイデアをまとめたりと、ユーザーは時間と場所に縛られず働く。そのような中で、「バッテリー駆動時間を延ばすことは“強く強く”求められている」と田中氏は語る。新モデルでは、その要望に応えるため徹底的に長時間駆動を目指した。
まず、従来は樹脂製だったバッテリーパックカバーを、薄肉のアルミニウム素材に変更した。これにより厚み方向に余裕が生まれ、バッテリーセルをより大きくできる空間を確保できた。さらに、バッテリー固定方式も従来のラッチ方式からネジ固定に変更し、奥行き方向のスペースも拡張できた。これらの工夫により、従来のSRが搭載していた50Whから、SCでは56Whへとバッテリー容量を増やしている。
CPUも、SCではSRから2世代新しくなったCore Ultra(シリーズ2)世代を採用しただけでなく、独自機能の「Maxperformer」も引き続き導入している。Maxperformerでは、パフォーマンスが必要な作業ではフルパワーの状態が長く続くように電力制御を行い、パフォーマンスが必要ない作業では駆動電力を細かく制御して省電力化を図るようにチューニングされている。
さらに、放熱性能の要となるヒートパイプ周辺では、排気用の空間を1mm拡大し、冷却性能の安定を図ったとする。
パナソニック独自の省電力チューニング機能では、画面輝度をバッテリー駆動時に自動でAC使用時の70%に抑えるなど、使い勝手を損なわずに消費電力を削減。こういった総合的な取り組みにより、JEITAバッテリ動作測定法Ver.3.0の動画再生ベースで、従来のSRが約7時間だった駆動時間を、SCでは12.7時間へと大幅に延長した。
加えて、SCは“スキマ時間の充電”にも配慮した設計となっている。例えば、会議と会議の合間に充電優先モードをオンにして30分間充電すれば、そこから約4.6時間の駆動が可能になるとうたう。さらにPC作業中の高速充電にも対応する。
「SCは、バッテリー駆動時はとにかく長時間使える。バッテリー残量が少なくなったときはとにかく高速に充電できる。このようにチューニングすることで、現在のワークスタイルに最適な仕様になっている」(田中氏)
●SCとFCの「互換性」がもたらす導入効果
SC(12.4型)とFC(14型)という異なるディスプレイサイズでラインアップを展開する今回の新モデルだが、その“中身”は多くの部分で共通化されている。
田中氏が訴求するのは「IT管理者の工数削減」という観点だ。特にIT管理部門においては、機種が異なることで発生する機器評価やソフトウェア設定、導入後の運用負荷が課題となっている。SCとFCではディスプレイサイズに関わる部品以外を全て共通化しているとする。マザーボードやシステムボードはもちろん、ドライバやファームウェアといったソフトウェア類までも統一しているという。
このおかげで、SCとFCのいずれかを評価すれば、もう一方のモデルもそのまま展開できるとしている。導入初期における設定工数の削減だけでなく、運用中のメンテナンスやアップデート管理の手間を大幅に軽減できる。パナソニック コネクトの試算によれば、互換性のないモデルを導入した場合と比べて、導入時に2人日、運用時には年間で4.75人日のコスト削減が可能になるそうだ。
外観は「好評のSRのデザインを継承した上で、Let's noteのアイデンティティーを先鋭化させた」(田中氏)と説明する。ホイールパッドはサイズを大型化しカーソル操作のしやすさを向上させ、キーボードでは新たにグレーのカラーリングを採用して本体との一体感を増している。
SCとFCでは、パッケージも小型化された。これは単なる製作コスト削減にとどまらず、輸送効率を上げることでCO2排出量の削減にもつなげている。環境への取り組みが評価される法人ユーザーにとって、このような取り組みは選定理由の1つにもなりうる。時代の流れを反映させた取り組みといえるだろう。
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