「おっすともみ!/久しぶりやな!」
この世を去った親友が転生したのは、まさかの「うどん」。変わり果てた友の姿に困りつつ、久しぶりの再会を喜ぶ主人公を描いた漫画『親友がうどんになって帰ってきた話』が2025年4月にXなどのSNSで投稿された。
思わず「ふふっ」と笑ってしまうような2人のやりとりがテンポよく進んでいくなか、主人公は親友もというどんを食べることに……。うどんを口にした主人公に現れた変化とは。
本作は作者・ハルキさん(@harugasane)が幼少期から考え続けたとある疑問が創作のきっかけとなっているという。人との別れを描いた漫画の背景について、話を聞いた。(あんどうまこと)
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ーー本作を創作したきっかけを教えてください。
ハルキ:大切な人とお別れをするとき、その別れで傷ついた人はどのように再生するのか。そのことについて幼い頃から疑問に思っていました。よく「時間が解決する」と言われますが、別れた人への愛着や執着が強いほど、立ち直るまでに時間はかかると思います。私も立ち直ることに時間がかかるタイプでした。
再生するまでの間、どう生き延びていけばいいのか。そんな問いへの答えが、ナギサのセリフとしても描いた「いま手が届く存在・触れられるもの」と関わって、気を紛らわせながら再生を待つことだと思い、本作を創作しました。作中で登場するうどんも気を紛らわせるために得ようとする、食べることの快楽を象徴するものとして描きました。
ーー作中ではうどんの調理シーンから食べる描写まで、高い解像度で描かれていました。
ハルキ:うどんに関するシーンはとにかく美味しそうに描くことに集中しました。調理から回想に入るシーンを描いている最中は、私もうどんばかり食べていました。うどんのどんなところが美味しいかなど、食レポするようにメモしながらうどんを食べていましたね。
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ーーともみは感情が表情に現れにくい人かと感じつつ、うどんを食べるシーンなど、作中ではさまざまな表情が描かれていました。
ハルキ:おっしゃる通り、ともみは感情が外にあまり出ないタイプかなと思いながら描きました。本作ではナギサの死を改めて実感し、溜めてた感情が一気にあふれるシーンを描きたくて……。だからこそ、ともみが涙を流すシーンまでは表情をあまり変えないよう心掛けていました。
ーー本作を描くなかで印象に残っているシーンは?
ハルキ:1つはともみの溜めていた感情が一気に溢れる、涙を流すシーンです。序盤では冷静にツッコミを入れたり、淡々とテンポよく会話していましたが、実はともみはいろいろなことを我慢していたんだなとわかるシーンなので印象に残っています。
もう1つはともみがナギサの遺骨を受け取っていたことがはじめて判明するシーンです。2人は友人というよりも家族に近い、とても深い関係だったことが明らかになるシーンとして印象に残っています。
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ーー幼い頃から大切な人との別れについて考えていた背景は?
ハルキ:小学3年生のときに祖父が亡くなりました。すごく好きな存在でしたが、生まれて10年程しか経ってなかったのであまり涙は出なくて。
でも、お葬式などで周りの人が泣いているのを見て、ゆくゆくは自分も大切な人が増えていくんだろうと思いました。そんななか親しい人との別れをどのように乗り越えていけばよいのだろうと思い、本作のテーマとなる問いについて考えるようになりました。
ーー漫画を描きはじめたきっかけを教えてください。
ハルキ:小学校の頃から漫画を描くことが好きで、仲間と一緒に描いた漫画を学級文庫の隣に置き、クラスメイトに読んでもらったりしていました。そんななか、いつしか漫画を外に出す勇気が出なくなって……。漫画はひっそりと描き続けていましたが、SNSなどで漫画を発表したのは今回がはじめてでした。
ーー漫画を描くことの魅力は?
ハルキ:自分の考えを一意見として、絵と一緒に載せることができる点です。私は常々、疑問に思うことがあり、いろいろなことを考えることが好きです。考えることと同じくらいに絵を描くことも好きだったので、その両方を同時に表現できることに魅力を感じます。
ーー今後の活動について教えてください。
ハルキ:私が生きていくなかで本当に大切にしたいと思った教訓とか、自分なりに出した納得できる答えを、絵と一緒に、楽しみながら表現していけたらいいなと思っています。
(文・取材=あんどうまこと)
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