
春競馬の大一番、牡馬三冠レース第2弾のGI日本ダービー(東京・芝2400m)が6月1日に行なわれる。
第1弾のGI皐月賞(4月20日/中山・芝2000m)を制したミュージアムマイル(牡3歳)に、断然人気の支持を得ながら2着に終わったクロワデュノール(牡3歳)ら、同レースの上位馬がこぞって参戦。ここでも、それらが上位人気を形成すると見られている。
そのメンバー構成を見て、スポーツ報知の坂本達洋記者もこう語る。
「過去10年で8頭の勝ち馬(出走直前に回避した昨年のダノンデサイルも含む)を出している皐月賞からの臨戦組は10頭を数え、ダービーにふさわしい豪華メンバーがそろったことに変わりはありません。ですので、皐月賞の上位馬が有力視されると思います」
「でも......」坂本記者はそう言って、こう続けた。
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「昨年も9番人気のダノンデサイルが勝ったように、ひと筋縄ではいかないのがダービーなんですよね......」
実際、坂本記者が言うとおり、ダービーではしばしば波乱が起こっている。昨年に限らず、2018年には5番人気のワグネリアンが勝利し、4番人気のエポカドーロが2着、16番人気のコズミックフォースが3着に入って、3連単では285万6300円という超ビッグな配当が飛び出している。さらに、2019年には12番人気のロジャーバローズが勝って、3連単は19万円超えの高額配当となった。
「過去10年の結果を振り返ってみても、1番人気の勝利はわずか2回。3連単の配当が1万円以下となる堅い決着も2回だけです。最高峰の栄誉をかけた大一番ゆえ、人馬の駆け引きが激しくなり、展開面で荒れる要素が生まれるのでしょう。穴党にも十分に出番がある大レースと言えます」
そこで、坂本記者は今年のレースで激走が期待できる2頭の穴馬候補をピックアップした。1頭目はGII京都新聞杯(5月10日/京都・芝2200m)を快勝したショウヘイ(牡3歳)だ。
「穴を狙うなら、まずは皐月賞とは別路線から来た面々に目を向けるべき。なかでもショウヘイは、京都新聞杯で最後の"ダービー切符"をつかみ取った勝負強さ、そして距離適性への手応えを評価したいです。
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2019年に12番人気で勝利したロジャーバローズも京都新聞杯2着からの臨戦で、2013年のキズナも京都新聞杯を勝って挑んで戴冠を果たしました。京都新聞杯は芝2200mという条件から、2400m戦のダービーにもつながりやすいと考えていいでしょう。
ショウヘイは、およそ3カ月の休み明けで京都新聞杯を勝利。好位2番手を追走し、直線に入って外から抜け出す横綱相撲の競馬を披露。もう一段上のパフォーマンスが期待できそうな余裕を感じさせる走りで、後続に2馬身半差をつける完勝でした。
今回、間隔は中2週と詰まっていますが、ここに出てくるということは、このレベルで戦える状態にあるのでしょうから、ローテーションに関してはあまり気にしなくていいでしょう。第一、前哨戦では余力を残しての勝利でしたし、さらなる上積みが見込めます。
2走前のGIIIきさらぎ賞(2月9日/京都・芝1800m)は4着に終わっていますが、関係者によれば『当時は本調子ではなかった』とのこと。そのため、本来の力を出しきれなかったようです。
しかし、そこから立て直して前走で好結果を出したのは、お見事。現役最多のダービー3勝を誇る友道康夫厩舎の仕上げは、しっかりと本番を見据えたものだと思います。先週のGIオークスでも、同厩舎のカムニャックが勝利。その勢いは無視できませんし、皐月賞組を逆転するならこの馬、と見ています」
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坂本記者が推奨するもう1頭は、エムズ(牡3歳)。こちらも、前走・京都新聞杯組だ。
「京都新聞杯で2着に入ったエムズ。同レースで上位に来た馬のなかで唯一、直線で内を選択。ぎりぎり馬場の荒れていないところを駆けて、しぶとく脚を伸ばしてきました。スタートが安定している馬で、2走前の1勝クラス・大寒桜賞(1着。3月30日/中京・芝2200m)では、好位2番手から突き抜けました。
どちらかというと、キレ味を生かすより、先行力を生かして粘り込むタイプ。今年のダービーで想定される展開には合っていると思います。
何が何でも逃げたい馬がいないなか、おそらくGIホープフルS(3着。12月28日/中山・芝2000m)、GII弥生賞(1着。3月9日/中山・芝2000m)、そして皐月賞(15着)と、3戦連続で果敢なまくりを打っているファウストラーゼン(牡3歳)が、再び道中で動いて途中からペースアップを図ってくるでしょう。
そうなると、ヨーイドンのキレ味勝負ではなく、しぶとさが求められるスタミナ比べになることが予想され、前目で運ぶエムズの粘り込みがあってもおかしくありません」
世代の頂点を決するひのき舞台。今年は、皐月賞組が勝つのか、はたまた別路線組が台頭するのか。注目のゲートインまで、まもなくである。