画像はイメージです あらゆる人が乗り合わせる電車内では、しばしばギョッとするような行為や事件を目撃することがある。痴漢という犯罪行為が言語道断であるのは当然にもかかわらず、撲滅には到底至らないまま、なおも車内での日常風景となっている。
悪い見方をすれば「犯罪多発スポット」ともいえる電車だが、昨今では新たな問題が追加された。いわゆる「迷惑系配信者」の乱痴気騒ぎだ。
◆電車で見た「目を疑うような光景」
彼らはバズる動画のためとあらば、乗客が鼻をつまむのもお構いなく、電車内で大音量の音楽を流してはダンスをしてと、好き放題。
2024年10月には、富士急行線に乗車した外国人グループが車内でダンスする迷惑動画を撮影・SNSに投稿。騒動を知った運営会社が法的な措置を検討すると公表し、広く“シェアされる”ニュースとなった。
にもかかわらず、こうした迷惑動画の撮影行為が減少する様子はない。最近も車内やホームにて大型スピーカーで大音量の音楽を流して炎上する女性が登場している。
もはや稀な光景ではないのかもしれない。そんな現場に遭遇してしまったのが、布川明菜さん(仮名・28歳)だ。
布川さんは北関東に住んでいる会社員。普段は車通勤で、電車に乗ることはほとんどない。めずらしく愛車に乗らなかったのは、友人の結婚式に参列する予定だったから。お酒を飲むからと電車に乗ったそうだが、そこで目を疑うような光景に出くわしてしまった。
◆大音量で音楽を流す若者集団の姿が
「同じ車両で20歳くらいの若者5人が大音量でスマホから音楽を流していたんです。イヤホンをしていたので乗り込むときには気づけなかったのですが……。
車内には、座席の半分を埋めるほどのお客さんがいたものの、免許をまだ持っていないようなごく若い人か、ご老人ばかり。住んでいる地域は車社会なので、大人のほとんどはマイカー移動で電車はめったに使いません。
もちろん、みんな嫌そうな表情を浮かべていました。けれど、分別がないのに元気だけありあまっている若者に注意することは怖くてとてもできない……そんな空気でした。
私も面倒ごとに巻き込まれたくなかったし、そもそも少し距離もあったので、やはり無視を決め込んでいました。逆上されても怖いですしね。寝ているふりをしながら、早く降りてくれることを祈っていました」
◆下着が見えているのに、気にせず踊るミニスカートの女性も…
誰ひとり注意するにもできない状況に調子に乗ったのか、若者たちの行動はどんどんエスカレート。
「騒いでいたうちのひとりがダンスまで踊りだして。もちろん、仲間たちはスマホでの撮影大会を始めました。踊っていたのは女性。ミニスカートなのに、下着が見えるのも気にせずなのか、見せつけているのかはわかりませんが、とにかく下品なノリで踊っていました。
TikTok用の動画でしょうかね。同じダンスを何度も繰り返しているのは滑稽としか思えませんでした。再生数稼ぎに躍起になっている姿は、はたから見るとバカそのものです。日本の若者の知能はここまで低かったっけと、老害のテンプレのようなことをつい考えてしまいました」
そんな若者たちが、徐々に布川さんの席に近づいてきてしまう。
「どうも撮影場所を変えたかったようで、いつの間にか私が一番近い位置にいる乗客になってしまっていました。1mほどしか離れていなかったはずです。
それでも注意するのは怖いので、引き続き下を向いて寝たふりをしていました。でも、足の位置や動きから、スマホが私の方を向いている様子であることはわかったんです。こんな奴らの動画に体だけでも映り込みたくないし、本当に勘弁してよという感じでした」
◆勢いよく詰め寄っていったのは…
布川さんもついに痺れを切らし、席を移動しようと思った矢先、意外な人物が若者たちに注意をしたという。
「いきなり、誰かが若者に勢いよく詰め寄っていく音がしたんです。何事かと思って顔をあげると、身長が180センチ以上ある大柄な白人男性でした。
大きなリュックを背負っていましたし、観光客なんだろうと思います。騒いでいる若者たちに向かって英語で注意をしたんです。車内に響き渡る大声で『STOP!!! Stop the MUSIC!!!!! 』と何度も繰り返し、ついには騒いでいた若者たちを静かにさせてくれました。
その後も怒りが収まらなかったようで、つたない日本語ながら、『バカ』『やめろ』と若者たちに怒声を浴びせていましたよ。ガタイのいい男性が激怒する姿は、怒りの矛先が向いていない私まで怖くなるほどの迫力です。さっきまでノリノリで踊っていた女子は泣き出し、男子たちも完全にビビり倒していました」
◆殴りかかりそうな勢いでキレていた
謝るでもなく、ただおどおどするばかりの若者たちに白人男性は怒りが収まらなかったようで……。
「いまにも殴りかかりそうな勢いでキレていたので、それはそれでそうなのかとも思ったのですが、あくまで若者たちが発端ですから。助け舟を出す人がいるわけもなく、みな知らんぷりして説教される若者をただ見守っていました。自業自得、因果応報とはこのことなのかな、なんて思うばかりでした」
この頃はインバウンドの増加に伴って、街角での迷惑行為をはじめ、「迷惑系配信者」をする外国人観光客の問題がよく取り沙汰されている。
しかし、「迷惑行為」をする人物に国籍は本来ないだろう。文化の違いによる不幸なすれ違いはともかく、犯罪行為や万国共通の迷惑行為は誰しもが謹んで、落ち着いた日常が送れるようになってほしいものである。
<TEXT/高橋マナブ>
【高橋マナブ】
1979年生まれ。雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている