『世界でいちばん透きとおった物語』杉井光、学園ラブコメミステリーに挑戦! 6月の注目ライトノベル

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2025年06月01日 13:00  リアルサウンド

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『天嬢天華生徒会プリフェイズ』(電撃文庫)【左】、『楽園ノイズ7』(電撃文庫)【右】

 人気作家の新シリーズや新作が続々と登場してくる2025年6月のライトノベル。驚きの仕掛けが話題になった『世界でいちばん透きとおった物語』の杉井光が、『楽園ノイズ7』(電撃文庫)と同時に『天嬢天華生徒会プリフェイズ』(電撃文庫)を6月10日に刊行する。


参考:【写真】『負けヒロインが多すぎる!』舞台の豊橋市にある巨大イラスト


 教員資格を取得した主人公は、半島ひとつ分がキャンパスとなっていて、総生徒数が25万人に及ぶ《天涯学園》に就職する。そこでさっそく事件に巻き込まれたところを、生徒会長であり学園の《王》でもある天祿院凰華に巣くわれる。とてつないスケールで繰り広げられる学園ラブコメミステリーだ。


 「真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました」シリーズのざっぽんによる『スーパーコラボ・オンライン 〜無理ゲー世界にコラボキャラを集めた最高のパーティーで挑みます〜』(角川スニーカー文庫)は、やり込んでいたゲーム世界に転生した主人公が、そのゲームで人気を呼んでいた他の作品との活発なコラボが引き起こしかけない世界の崩壊を防ごうとするストーリーだ。


 美少女化した織田信長や魔法少女が登場する作品とのコラボで、ゲーム世界に次々に出現するキャラたちにわけを話して味方に引き入れつつ、いずれ訪れる星を砕きかねないパワーの持ち主たちの来訪に備える。遊んでいる身には楽しいコラボもその世界では迷惑千万といった設定が楽しい。発売中。


 「B.A.D.」シリーズや「異世界拷問姫」シリーズの綾里けいしは、6月18日に『悪役令嬢について』(ガガガブックス)、6月25日に『聖女聖戦 ―大罪勇者と思い出の魔女―』(ダッシュエックス文庫)を刊行。『悪役令嬢について』は、エイディーアという名の悪役令嬢が斬首される瞬間に残した謎の言葉を聞いた死刑執行人見習いの青年・ユーニヒトが、言葉の真相を探るためにある異能を使いながら彼女の過去に迫っていく。どのような驚きの真相が浮かび上がるかが気になる。


 『聖女聖戦 ―大罪勇者と思い出の魔女―』の方は、自殺して異世界に転生した少年が、13人の聖女たちが最後のひとりになるまで殺し合う「聖女聖戦」で自分を召喚した聖女ではなく、魔女として追われるアデル・ユーストフォリアという名の聖女と組んで戦いに臨む。ダークな雰囲気の中で足掻く人々の戦いをスリリングに描くことに長けた綾里けいしらしい新作の連続しての登場。ファンには嬉しい6月だ。


 「なれる!SE」や「ガーリー・エアフォース」シリーズの夏海公司は『魔王没後の限界武器屋 1 〜華麗なる?最強事業計画〜』(オーバーラップノベルス)を6月25日に刊行。魔王が討伐されて平和になった世界で、武器屋のコリオは特需を見込んで仕入れていた武器の代金支払いで倒産寸前に陥っていた。同じように職にあぶれた冒険者と共に、武器屋防具屋の事業再生を目指すストーリーから、どのような事業計画が繰り出されるかが気になる。


 新人賞受賞作も続々と登場。第18回講談社ラノベ文庫新人賞で〈佳作〉の野中春樹『探偵気取りと不機嫌な青春』(講談社ラノベ文庫)は、探偵気取りの言動が誰かの逆恨みを買って妹を傷つけられ、以来控えめに生きてきた少年が、同級生の青山景に万引きの疑いがかけられ、黙っていられず疑いを晴らす。そこから始まる幾つもの謎に挑む2人の先に、どのような結末が待っているのか。少年少女のスリリングな体験を描く青春学園ミステリーだ。6月2日発売。


 「探偵に推理をさせないでください。最悪の場合、世界が滅びる可能性がございますので。」シリーズの夜方宵が、第16回講談社ラノベ文庫新人賞で〈佳作〉を受賞した『悪食緋蒼は×××なのか?』(講談社ラノベ文庫)もミステリー。人に擬態する殺戮魔から人々を守る《探偵》の冴木探流が、殺戮魔に苦戦していた時に悪食緋蒼という名の謎の少女に助けられ、その後に起こる殺戮魔による連続殺人事件に挑んでいく。その真相と、謎めく悪食の正体が明らかにさていく展開を楽しめそう。6月2日発売。


 第12回ネット小説大賞でグランプリのしゅーまつ『伝説に残らなかった大賢者』(Mノベルス)は6月30日発売。魔王討伐の勇者パーティーを補佐するために異世界に召喚されたマーギンだったが、なぜか魔王を倒した時に石化魔法をかけられ、それから数千年後に目覚めて冒険をしたり弟子を取ったりといった暮らしを始める。第2の人生を謳歌する様子を楽しみながら、いろいろな謎にも迫るドキドキを味わえそう。


 シリーズもの最新刊を幾つか。夜迎樹『なぜ逃げるんだい? 僕の召喚獣は可愛いよ2』(ファンタジア文庫)は、見る人を恐怖のどん底に叩き込んで悪夢を見せる召喚獣のハッピーを、心底から可愛いと思っているヘレシーという少年が、隣国の聖女と出会って新しい波乱のストーリーが始まる。コミカルな展開の中に恐怖が潜む作品が、次にどんな驚きを与えてくれるかに注目だ。6月20日発売。


 アニメの第2期が決まっているぶんころりの『佐々木とピーちゃん 11 大冒険! 異世界でダンジョン攻略、はじめました 〜工事現場から太古に滅亡した文明の遺跡が出土しまして〜』(MF文庫J)、ゲームのウィザードリー的な世界を「ゴブリンスレイヤー」シリーズの蝸牛くもが描く『ブレイド&バスタード5 ―奴の屍を曳いてゆけ―』(DREノベルス)、圧巻のミリタリー描写でコミカライズともども話題を集める樽見京一郎『オルクセン王国史 〜野蛮なオークの国は、如何にして平和なエルフの国を焼き払うに至ったか〜5』(サーガフォレスト)なども6月中に刊行となる。


 「綺麗ごとじゃない青春」をコンセプトに創刊されたレーベル「スターツ出版アンチブルー」は、5月28日に第9回スターツ出版文庫大賞の〈大賞〉を受賞した朱宮あめ『青春テロリズム』などが出て注目を集めている最中。次は、野いちご文庫で『腹黒幼なじみが溺愛したがりに豹変しました』を出している菜島千里の『センタクシテクダサイ』が刊行予定。誰を殺すか選択を迫るようなダークな雰囲気で新境地を見せてくれそうだ。


(文=タニグチリウイチ)



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