極薄折りたたみスマホ「OPPO Find N5」を試す 驚きのボディー、日本未発売でも「欲しい」と実感した理由

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2025年06月02日 13:01  ITmedia Mobile

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「OPPO Find N5」

 利便性重視の折りたたみスマートフォンが欲しい人におすすめしたいと思える端末を触った。それが「OPPO Find N5」だ。大きな売りとなっているのが閉じた状態での厚みが9mmを下回ること。超薄型ボディーにより「折りたたみスマホは分厚い」というイメージを払拭(ふっしょく)した。


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 OPPOは2021年に初のフォルダブルスマートフォン「OPPO Find N」を市場に投入した。今回試用したOPPO Find N5は、中国向けのモデルとグローバル向けのモデルが2025年2月下旬に発売された。価格はシンガポールでの発表時に2499シンガポールドル(約28万円)からとアナウンスしていた。


 2025年5月時点で日本での発売は予定されていないが、実機に触れて感じた魅力をスペックや機能とともに紹介したい。


 なお、OPPO Find N5は技適を取得していないため、総務省の特例制度を利用している。特例制度では、所定の届け出を行うと、技適のない海外の端末でWi-FiやBluetoothの通信が可能になる。


●ボディーの「薄さ」に驚く ごつい何かを持っている感を軽減


 まずはディスプレイから見ていこう。開いた状態で利用できるインナーディスプレイは8.12型で2480×2248ピクセルでの表示が可能だ。閉じた状態で利用可能なカバーディスプレイは6.62型で2616×1140ピクセルで表示できる。どちらも120Hzのリフレッシュレートと最高240Hzのタッチサンプリングレートに対応している。


 実機を手にして最初に驚いたのが「ボディーの薄さ」だ。冒頭でも触れた通り、閉じた状態でも9mm以下で、一般的なハイエンドのスマートフォンとほぼ同じ。高さは160.87mm、閉じた状態の横幅は74.42mmで厚さは8.93mm。開いた状態だと横幅は146.58mm、厚さは4.21mmとなる。重量は229gと軽くはないが、薄さのおかげで「ズッシリ分厚く重い物を持っている感」は軽減されている。


 手元にあるサムスン電子製の折りたたみスマホ「Galaxy Z Fold6」と比べても、OPPO Find N5の薄さが分かる。Galaxy Z Fold6の厚さは閉じた状態で12.1mm、開いた状態で5.6mmとなっており、OPPO Find N5は閉じた状態ではGalaxy Z Fold6より3.17mm薄く、開いた状態ではGalaxy Z Fold6より1.39mm薄い。


 ヒンジはチタニウム製で、「過酷な環境でテストを実施した」とのことだ。ヒンジの出っ張りをほとんど感じさせない設計のため、閉じた状態で手のひらにヒンジが触れて邪魔になると感じることはない。折りたたみスマホのハイエンドモデルではアルミニウムかつ光沢仕上げのものが多く、手にしたときに「ヒンヤリ」と冷たさを感じるが、OPPO Find N5はサラッとした質感で指紋が目立ちづらく扱いやすいと感じる。


●使い勝手を実機で確かめる Macとの連携も便利


 アプリについては、OPPO独自のアプリストア「App Market」で配信されており、Google PlayもApp Marketからインストールする必要がある。試用した中国向けモデルでは、デフォルトで動画配信の「bilibili」アプリなどがプリインストールされているが、Google系は全くないため手動で追加した。


 この点を踏まえた上で、使い勝手について見ていこう。主にインナーディスプレイとカバーディスプレイに関する使い方については、設定の中の「折りたたみ機能」という項目に集約され、どのように使えるのかが一目で分かる。


 例えば、「表示サイズ」という設定項目では、メインディスプレイではアプリを表示するサイズを変更できるようになっている。プリインストールアプリだけでなく、本体セットアップ後にインストールした「Google Chrome」「Google マップ」なども4:3、16:9、全画面で表示するのかを選択できる。


 アプリを効率的に起動する項目も用意されている。「タスクバー」という項目内では、「タスクバー」のスタイルを選択できるようになっている。タスクバーを下に固定すると、最近起動したアプリなどが常に表示され、頻繁に使用するアプリなどをすぐに呼び出せる。「フローティング」といってナビゲーションバーを上方向へ少しだけスライドすると、タスクバーを呼び出す手法もあるが、おすすめはタスクバーのスタイルだ。


 本体を開いた状態から閉じたときに、インナーディスプレイで使用していたアプリをカバーディスプレイで継続使用するかどうかも「画面の切り替え」という項目内で選択できる。例えば、筆者の場合は駅構内の広いベンチではGoogle Chromeで調べ物をし、電車へ乗車して片手がふさがってしまったら、その続きをカバーディスプレイで見たいので、こうした「かゆいところに手が届く仕様」なのはうれしい。


 インナーディスプレイの大画面を生かした画面分割も可能だ。例えば、画面の左側にXを表示し、リポストの内容に関連する情報を画面右側のGoogle Chromeで検索する、といった使い方ができる。画面分割を利用せず、画面いっぱいにGoogle マップを表示して、小型タブレットに近いサイズで快適に検索することも可能だ。


 便利機能としてMacとの連携機能が存在する。「O+ Connect」アプリをMacにインストールすれば、OPPO Find N5とMac間で、ファイルの転送を行える他、OPPO Find N5からMacをリモートで操作できる。Macのリモートデスクトップとしても活用できる。O+ ConnectアプリをインストールしたMacからOPPO Find N5に保存された写真、動画、PDFなどの書類へWi-Fi経由でアクセスできるのも便利だ。なお、これらの機能を利用するは、OPPOアカウントの作成が必要になる。


 後述するカメラについては、カメラアプリを起動し、くの字(好きな角度にディスプレイを開いて固定させた状態)にして置くと、画面の上半分に画像/映像のプレビュー、下半分にシャッターボタンなどが同時に表示される。縦向きにして置くのもいい。折りたたみ構造を生かして、スタンドを用意せずに撮影できるのが、折りたたみスマホならではのメリットだ。


●プロセッサやメモリの容量は? ベンチマークアプリで性能を確認


 プロセッサには「Snapdragon 8 Elite」が採用されている。8 Eliteはモバイル向けとしては初めて「Qualcomm Oryon」を搭載したプロセッサで、特にマルチモーダル生成AIをサポートしている点は大きなアドバンテージとなる。同じプロセッサを採用するハイエンドモデルに「REDMAGIC 10 Pro」「Xperia 1 VII」「Galaxy S25」シリーズ(一部カスタマイズ)が挙げられる。


 16GBのメモリと512GBのストレージの構成となっており、外部メモリは搭載できない。


 「GeekBench 6」でベンチマークテストを行った。GeekBench 6での結果はシングルコアスコアが3056、マルチコアスコアが8661となった。シングルコアスコアとマルチコアスコアともにSnapdragon 8 Gen 3 for Galaxyの「Galaxy S24 Ultra」(2024年)よりも高い。


●「高倍率ズームの質がいい」と作例で実感 ハッセルブラッド監修のトリプルカメラ搭載


 アウトカメラは広角カメラと望遠カメラがそれぞれ光学式手ブレ補正付きの約5000万画素、超広角カメラが約800万画素という組み合わせのハッセルブラッド監修のトリプル構成だ。インナーディスプレイ用とカバーディスプレイ用のインカメラはそれぞれ約800万画素で、これらを合計すればスマホ1台だけで合計5台のカメラを利用できる。


 東京・秋葉原駅前から昼間と夜間の写真を撮影したところ、ハッセルブラッドの監修もあり、手持ちでも気軽にきれいな写真が撮影できた。撮影した画像をただ表示させるのではなく超解像技術を利用し、デジタルズーム域においてもきれいな画質で表示される。高倍率のズーム撮影をもっと試したいと感じさせてくれた。アウトカメラでの作例を以下に掲載する。


●「正直、欲しい」と思えたほど完成度は高いが、懸念点も


 ここまでお伝えした通り、OPPO Find N5の最大の魅力は薄さだ。折りたたみスマホはディスプレイやカメラが複数あり、さらに基板やバッテリーをボディーに収める必要があるため、設計上の制約は多いはずだ。それでも9mmを下回る薄さを実現できたのは、OPPOの技術力があるからこそといえる。


 Macユーザーの筆者としてはMacとの連携機能という意外性にもひかれた。Macと折りたたみスマホを日頃から仕事に活用しているため、仮に将来日本で発売されて入手できるようになったときには、ぜひ活用したい機能の1つだった。


 円安や日本市場における需要を総合的に鑑みると、そう簡単に投入しづらい事情は想像できるが、実機に触れると「正直、欲しい」と思わされたほど完成度が高かった。


 一方で、価格以外に懸念されるのは保証サービスだ。折りたたみスマートフォンのインナーディスプレイには保護フィルムが貼られて出荷されるが、長期間の使用によりフィルムが破損したり、気泡が入ったりして、視認性の低下につながる可能性がある。この点、例えばドコモショップのGalaxyリペアコーナー(Galaxy専用カウンター)では、本体を初期化せず(アプリやデータを消さずに)フィルム交換が可能だ。


 また、キャリアモデルでは本体の破損や水ぬれに対する手厚い保証サービスも受けられる。OPPO Find N5は「水中での使用に耐えられるだけでなく、高圧・高温の水流といった過酷な条件にも耐えられる」仕様だが、それでも破損や落下には気を付けたいし、そういったケースにおいても保証を適用できるサービスがあるといい。


 現時点では日本での発売予定はないものの、将来的に日本市場に参入するならば、こうしたアフターケアの充実も重視してほしい。


(製品協力:オウガ・ジャパン)



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