水ぼうそうの患者数が急増…いったいなぜ?大人になって初感染すると脳炎のリスクも

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2025年06月03日 11:10  web女性自身

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「5月11日までの1週間で報告された水ぼうそうの患者数が1医療機関あたりで1.43と国の注意基準を上回ったこと、さらには今後も患者数が増加する見込みがあるため現行制度になって初めて『水ぼうそう注意報』を発令しました」(埼玉県感染対策課)



かゆみを伴う発疹が全身に現れる感染症「水ぼうそう(水痘)」が全国的に流行している。



感染状況をみても、埼玉県だけでなく、神奈川県、青森県が、国が定めた注意基準(1医療機関あたり1人)を上回っていることが明らかに。



1医療機関あたりの全国平均は0.50人で、昨年同時期(0.23人)の2倍以上だ。



例年7月中旬まで水ぼうそうの患者数が増加するなか、今年の異常事態を危惧している医療関係者は少なくない。



感染症に詳しい長崎大学高度感染症研究センターの森内浩幸センター長が解説する。



「2014年10月から、1〜3歳の子どもは無料(公費)で受けられるワクチンの定期接種が行われるようになり、水ぼうそうの患者数は激減しました。



その一方、そのワクチンの定期接種の対象外で、水ぼうそうにいつかかっても不思議ではない子どもたちが一定数残っていること。



さらには定期接種しても、小学校の高学年や中学生ぐらいになりワクチンの効果が弱まったタイミングで感染することも影響していると考えられます。



また新型コロナウイルスのパンデミックのため感染対策が徹底されたことで、水ぼうそうに対する集団免疫が落ちたことも患者数が増加した要因のひとつです」



10歳未満の子どもがかかりやすい水ぼうそうは「水痘・帯状疱疹ウイルス」に初めて感染することでかかる病気だ。



「感染経路は、空気感染や飛沫感染、接触感染など。



おもな症状は発熱とまだらに盛り上がった発疹。



赤みを帯びた盛り上がり(丘疹)から水ぶくれ(水疱)、膿がたまった状態の発疹(膿疱)を経てかさぶたへと変化していきます。



かさぶたになるまで7〜10日ほどかかり、その時点で感染力はなくなります。



水ぼうそうは自然に軽快することがほとんど。症状が重い場合は抗ウイルス薬を使って治します」(森内先生、以下同)





■大人になって初めて感染すると命の危険もある



気がかりなのが、一度も水ぼうそうになったことがない大人だ。



「かつて欧米で子どもが水ぼうそうになると、近所の子どもたちがその家に集まって遊んだそうです。



これは大人になってかかると重症化する水ぼうそうに子どものうちにかかってしまおうとしたもの。



大人になって初めて水痘・帯状疱疹ウイルスに感染すると、子どもと比べ重症化しやすくなり、合併症として肺炎が起こったり、脳への感染によって脳炎になったりと命に関わります」



水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫があるかどうかは、子どものころに水ぼうそうにかかったかどうかである程度わかる。



親などに聞いて「水ぼうそうにはならなかった」と言われたら要注意だ。



さらに水ぼうそうが厄介なのが、治った後もウイルスは体の中からなくなることはないこと。



「ウイルスは一生にわたって神経のなかに潜伏します。



ふだんは免疫の力でウイルスの活性が抑えられていますが、ストレスや加齢、疲労などにより免疫の力が低下すると、ウイルスが再活性化し、神経に沿って発疹が出る。それが帯状疱疹です」



50代以上で発症する人が多く、ピリピリとした痛みとともに発疹が帯状に広がる帯状疱疹と水ぼうそうは同じウイルスが原因で起こるのだ。



「帯状疱疹を発症している高齢者に接触した孫が水ぼうそうになったことで、2つの病気が同じウイルスによってもたらされることが明らかになりました。



ただし、同じウイルスだとしても水ぼうそうの患者に接触したからといって帯状疱疹を起こすことはありません。



ちなみに小児科医と保育士は帯状疱疹にかかりにくいと言われていますが、それは水ぼうそうの子どもとたびたび接触することで、“自然の予防接種”を何度も受けているようなもので、免疫の力が強くなり、ウイルスの再活性化を抑え込んでいるからです」



日本人のほとんどは水痘・帯状疱疹ウイルスを保有していることから、免疫力が低下した場合に、それまで眠っていたウイルスが目を覚まして、帯状疱疹を発症するのは“宿命”なのかもしれない。



これだけは帯状疱疹ワクチンで発症を抑えることがなによりだ。



■感染力はインフルエンザやコロナ以上!



ちなみに帯状疱疹ワクチンには「生ワクチン」(約1万円)、「不活化ワクチン」(約2万円×2回)の2種類ある。



自治体によって助成がでることもある。



いずれにしても水ぼうそうの感染を広げないことが肝心だ。



「感染予防にはワクチン接種が有効。



1〜3歳の幼児に対するワクチン接種が大切です。



また水ぼうそうは、患者と同じ部屋にいるだけで何も接触がない場合でもうつるほど、コロナやインフルエンザと比べても強い感染力を持っています」



感染している人が身近にいたら近づかないこと。マスクの着用、石けんによる手洗いをきっちりとやること。



かわいいお孫さんのためにも日ごろの感染予防対策を心がけるようにしよう。

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