「60年以上の追跡調査をして導き出されたのは、健康寿命が長い人には共通した生活習慣があるということでした。死ぬまで健康長寿の人は、本人も気づかぬうちに、健康になる“小さな習慣”を続けて暮らしていたのです」
健康寿命が長かった人のメカニズムを解明した『10000人を60年間追跡調査してわかった健康な人の小さな習慣』(ダイヤモンド社)がベストセラーとなっている。著者は、福島県立医科大学医学部疫学講座の大平哲也教授だ。
「医療と統計を掛け合わせて、病気が起こる原因や、どうしたら予防できるのかを調べて明らかにしていく学問が疫学です。私は1963年から現在に至るまで1万人以上の日本人を追跡調査し続けている『研究』に携わっています。
昭和38年当時、日本人の脳卒中の死亡率は世界のワースト1位。なかでも秋田県は死亡率が大阪の約2倍でした。
私の恩師で、日本の循環器疫学の草分けである小町喜男先生が、秋田県井川村から、脳卒中の原因究明と予防対策を依頼されたのをきっかけに、大阪国際がんセンター(当時は大阪府立成人病センター)で研究が始まりました」
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近畿大学、大阪大学、筑波大学、順天堂大学など多くの研究機関が加わり、共同して調査が行われている。
「日本人の健康寿命を縮める要因となったのは、1位が認知症、2位が脳卒中で、3位は骨折・転倒を含むフレイル(虚弱)でした。疾患のリスク要因を取り除いていけば、健康寿命増進に直結します。たとえば高血圧は、生活習慣を変えることで、十分にコントロールできるのです」
次ページからは、この大規模研究で示された健康であるためのカギをクイズ形式で紹介。自分の生活習慣と照らし合わせてみよう。
「健康の原則は、一般に『タバコは一切吸わない』『座る時間を減らして適度な有酸素運動をする』『運動で肥満を解消すること』です。
そして笑うことも健康には大事。“小さな習慣”で健康寿命をのばしてください」
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【PROFILE】
おおひらてつや
1965年福島県生まれ。循環器疾患をはじめとする生活習慣病、認知症など身体的・心理的なリスクファクターについて研究
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