
富山県名物の不思議なお菓子がSNS上で大きな注目を集めている。
「マシュマロを作ろうとしたのにうっかり餅が出来上がったみたいな食べものだ すごい 餅なのにフワッフワ」
と件のお菓子を紹介したのはおはるさん(@ohrsan)。
おはるさんが食べたのは明治時代から富山で愛されているという鹿の子餅。真っ白ですべすべした柔肌のような見た目だが、食感はマシュマロのような餅のような、モチモチ感にふわふわ感が加わったなんとも不思議で官能的なものだという。
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おはるさんにお話を聞いた。
ーー今回、鹿の子餅を召し上がった経緯は?
おはる:ホタルイカすくいのために富山を訪れることになった際に富山で食べるべきもの・行くべき場所をフォロワーさんから募ったところ、鹿の子餅を薦めていただきました。「ふわふわ」という情報以外はどんなものかも分からず買いに行ったのですが、本当に「ふわふわ」としか形容できない触感をしていたことに、新鮮に驚きました。
和菓子というよりは、マシュマロのような、ギモーヴのような…それでいてしっかりとした粒感の金時豆のアクセントが和の存在感と食べ応えを主張してくれる、とても不思議なお菓子だと思いました。
ーー投稿に大きな反響がありました。
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おはる:Xのフォロワーさんから教えて貰った美味しいものの情報がまたXを駆けめぐってゆく、最高の循環だと思います。インターネットではこういった話ばかり見ていたいですよね。
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今回の反響について、鹿の子餅を製造する株式会社不破福寿堂の代表取締役社長を務める不破亮太郎さんにお話を聞いた。
ーー鹿の子餅とはどのように作られるのでしょうか?
不破:鹿の子餅はいたってシンプルな材料から作られている事もあり、材料の選抜、製造の手間への妥協は行わないようにしております。富山県産のブランド米「新大正もち米」、新鮮な卵を週に何度も入荷し、その日使う分の餅米を早朝から自社ですりおろし鹿の子餅を製造しております。
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日本全国に餅菓子は多くありますが、自社で餅米をすりおろして製造しているお菓子屋はほとんどないと思われます。生米を使うため、一年を通してお米の状態は一定ではないので、柔らかいのにコシがある鹿の子餅の独特な食感を維持するために調整の日々です。
ーーこだわりあっての独特の食感というわけですね。
不破:少し余談ですが卵も卵白のみを仕入れるのではなく、卵を仕入れ卵白のみを鹿の子餅に使用しています。
弊社のどら焼きや焼き菓子は、鹿の子餅で余った卵黄を使用することで、他社には原価的にも難しい贅沢で濃厚なお菓子に仕上がっています。最近は弊社どら焼きを阪急百貨店様の企画「時をかけるあん」の富山県代表のどら焼きとしてお取り扱いいただきました。
ーー今回の反響へのご感想を。
不破:定期的にSNSなどで反響はいただくのですが、今回のおはる様のような個人のインフルエンサーの投稿がきっかけになる事案は少ないので時代の流れと影響力に驚かされます。今回の記事で初めて鹿の子餅を認知して下さった方がいることももちろんうれしいのですが、「私の好きな鹿の子餅が話題になってる〜」「地元の自慢のお菓子だ」「離れた地元の思い出のお菓子」などと投稿してくださる方がたくさんいたことが、誇らしく本当にうれしいです。
◇ ◇
SNSユーザー達から
「これは、かのこ餅! もっと知られてほしい地元スイーツです! 日持ちが微妙なので、お早めにお召し上がりください!」
「つい最近食べました。 これはうなりましたね… そう。ほぼマシュマロ!でも、お豆がまたいい仕事してますよね。」
「何十年ぶりにそのお菓子の存在思い出しました! 昭和末期位まで地元のCM枠でかのこ餅のCMがたまに流れていたんですよ」
など数々の共感の声や驚きの声が寄せられた今回の投稿。鹿の子餅は通販でも購入可能なので、ご興味ある方はぜひ公式サイトからお取り寄せいただきたい。
なお今年、鹿の子餅の100周年として開発された鹿の子餅の一口サイズ商品「かのこ姫」が、発売開始以来初のパッケージリニューアル。今までと同量だがトレー仕様に変更し、6個入りのトレー2つがそれぞれパッケージされるそうだ。取り分けしやすい商品なのでぜひこちらもチェックを。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)