トランプ米大統領=5月28日、ワシントン(AFP時事) 【ワシントン時事】トランプ米政権は、複数の貿易相手国に対し、最善の貿易交渉案を4日までに提示するよう求めている。米政権は相手国・地域に設定した相互関税の上乗せ分を90日間停止中。7月上旬の期限を前に協議を加速させ、合意にこぎ着けたい思惑がある。具体的な国名は明らかになっていない。ロイター通信が2日、交渉相手国への書簡の草案を基に報じた。
米国は各国からの回答を数日以内に評価し、相互関税の税率を含めた着地点を示す予定。交渉が活発に行われている国を対象にしているという。各国との貿易合意を急ぐ米国の焦りも浮き彫りになっている。
草案によると、米国は工業製品と農産物への関税や関税割当枠に加え、非関税障壁の是正などについて、最善の提案を示すよう求めている。デジタル貿易や経済安全保障に関する要求も含まれているという。
米国はこれまで、英国との交渉で輸入自動車に低関税枠を設けることなどで合意。中国とは互いに課していた追加関税を115%引き下げることで一致し、90日間の発動停止中に交渉を進めることになった。
ただ、中国との間では、重要鉱物の輸出規制を続けていることに米政権が反発し、交渉は停滞。欧州連合(EU)との協議も行き詰まり、しびれを切らす形でトランプ大統領が50%の関税措置を打ち出した。その後に米EU首脳は電話会談を行い、発動を延期したが、具体的な進展は見られていない。
相互関税を巡っては、米国際貿易裁判所が5月、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税は「違法」と判断。大統領の権限を逸脱しているとして差し止めを命じた。米政権は即日控訴し、控訴裁は命令を一時停止した。