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2025年06月04日 22:11 ITmedia PC USER
AMDが5月21日(台湾時間)に発表したデスクトップPC向け新型GPU「Radeon RX 9060 XT」を搭載するグラフィックスカードの発売日が、6月6日午前11時に決定した。米国における想定販売価格(税別)は8GBモデルが299ドル(約4万3100円)から、16GBモデルが349ドル(約5万300円)からとなっている。
先行して発売された上位モデル「Radeon RX 9070」「Radeon RX 9070 XT」は、価格と性能のバランスの良さから評判も良く、Radeon RX 9060 XTに対する期待も高まっている。
果たして、Radeon RX 9060 XTは期待通りのパフォーマンスを発揮できるのだろうか。AMDからSapphire Technology製グラフィックスカード「SAPPHIRE PULSE AMD Radeon RX 9060 XT 16GB GPU」を借りることができたので、先行して試してみよう。
●Radeon RX 9060 XTの概要
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まず、Radeon RX 9060 XTの基本仕様についておさらいしよう。
Radeon RX 9060 XTは、デスクトップ向けGPU「Radeon RX 9000シリーズ」のミドルレンジモデルだ。本シリーズからモデル名の付け方が変更されているが、16GBモデルは「Radeon RX 7600 XT」、8GBモデルは「Radeon RX 7600」の後継と位置付けているようだ。
ゲームプレイ時のターゲット解像度は、16GBモデルがWQHD(1440p/2560×1440ピクセル)、8GBモデルがフルHD(1080p/1920×1080ピクセル)となっている。グラフィックスメモリの容量で、ターゲット解像度を変えているのも面白い。直接的な競合は、同じくグラフィックスメモリの容量を選べるNVIDIAの「GeForce RTX 5060 Ti」となる。
GPUアーキテクチャは最新の「RDNA 4」で、同アーキテクチャを前提とする超解像技術「FidelityFX Super Resolution(FSR) 4」にも対応する。FSR 4では、本GPUに搭載されたAIアクセラレーターを活用した「フレーム生成」や「アンチラグ(入力遅延抑制)」も利用可能だ。
Radeon RX 9060 XTの主な仕様は以下の通りだ。
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・CU(演算ユニット):32基
・RTアクセラレーター:32基
・AIアクセラレーター:64基
・ピーク時のAI処理性能(INT4演算):821TOPS
稼働クロック(定格仕様):最大3.13GHz
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グラフィックスメモリ(GDDR6):8GBまたは16GB
消費電力(定格仕様):160W
接続インタフェース:PCI Express 5.0 x16
映像出力(標準仕様):DisplayPort 2.1a×2+HDMI 2.1b×1
GPUの性能を左右するCU数は32基で、Radeon RX 9070 XTの半分、Radeon RX 9070の7分の4となる。単純に計算すると、性能もその分低くなると思いきや、定格の最大クロックは両製品よりも高い3.13GHzに設定されている。クロックが高まった分だけ、わずかだが性能の差は抑えられているものと思われる。
先述の通り、グラフィックスメモリは8GBか16GBから選べるが、昨今のAAA(超大作)ゲームはグラフィックスメモリをぜいたくに使うものが増えているので、予算が許すなら16GBモデルを選ぶと、いざという時も困らないだろう。
●レビューするグラフィックスカードをチェック!
先行するRadeon RX 9070/9070 XTと同様に、Radeon RX 9060 XTにもAMD純正設計の「リファレンスカード」の設定はない。そのため、今回のレビューもパートナー企業が設計したグラフィックスカードを利用している。
今回借りたのは、先述の通りSapphire Technology製のPULSE AMD Radeon RX 9060 XT 16GBだ。
本製品のサイズは約240(長さ)×124(幅)×46.1(厚さ)mmだ。ブラケットは2スロット分だが、厚みは約2.3スロット分となる。少し厚みはあるものの、2基のファンにすることで長さを抑えているため、Mini-ITXなどスモールファクター(SFF)のPCに組み込みやすくなっている。
本製品はOC(オーバークロック)対応品で、最大動作クロックが定格の3.13GHzから3.29GHzに引き上げられている。それに伴い、消費電力も定格の160Wから170Wに上がっている。GPU補助電源ピンは旧規格の「8ピン×1」構成となる。新規格(12VHPWR)ではないので電源ユニットは今まで使っていたものがそのまま使える。
ディスプレイ出力端子は、標準使用とは異なり「DisplayPort 2.1a×1+HDMI 2.1b×2」という構成だ。DisplayPort端子が削減された一方で、HDMI端子が増設されている。
グラフィックスカードのサイズや補助電源ピンの形状も含め、今使っているPCのアップグレードパーツとして選びやすいグラフィックスカードといえる。
●ベンチマークテストでRadeon RX 9060 XTの実力をチェック
ここからはRadeon RX 9060 XTの実力をベンチマークテストを通してチェックする。
今回は「Core Ultra 7 265K」を軸に組み立てた自作PCに、PULSE AMD Radeon RX 9060 XT 16GBを取り付けてテストを行った。グラフィックスドライバは、テスト版の「バージョン25.10.09.01」を使っている。
参考として、同じPCにおいて以下のグラフィックスカードを使ってテストも実施し、その結果も併載する(いずれも、ドライバは6月4日時点で最新の正規版を使っている)。
・PowerColor Red Devil AMD Radeon RX 9070 16GB GDDR6
・PowerColor Red Devil AMD Radeon RX 9070 XT 16GB GDDR6
・Gainward GeForce RTX 5060 Ti Python III 16GB
3DMark
まず、3Dグラフィックスの総合ベンチマークテスト「3DMark」の主要テストを一通り実行した。今回は、DirectX 11ベースの「Fire Strikeシリーズ」、DirectX 12ベースの「Time Spyシリーズ」と、そしてリアルタイムRT性能をテストする「Port Royal」を計測している。結果は以下の通りだ。
・Fire Strike(フルHD:1920×1080ピクセル)
・Radeon RX 9060 XT:3万5203ポイント
・Radeon RX 9070 XT:4万6801ポイント
・Radeon RX 9070:4万3117ポイント
・GeForce RTX 5060 Ti:3万7602ポイント
Fire Strike Extreme(WQHD:2560×1440ピクセル)
・Radeon RX 9060 XT:1万8461ポイント
・Radeon RX 9070 XT:3万2608ポイント
・Radeon RX 9070:2万9227ポイント
・GeForce RTX 5060 Ti:1万9750ポイント
Fire Strike Ultra(4K:3840×2160ピクセル)
・Radeon RX 9060 XT:9820ポイント
・Radeon RX 9070 XT:1万7817ポイント
・Radeon RX 9070:1万5999ポイント
・GeForce RTX 5060 Ti:9725ポイント
Time Spy(WQHD:2560×1440ピクセル)
・Radeon RX 9060 XT:1万6511ポイント
・Radeon RX 9070 XT:2万6700ポイント
・Radeon RX 9070:2万4777ポイント
・GeForce RTX 5060 Ti:1万5859ポイント
Time Spy Extreme(4K:3840×2160ピクセル)
・Radeon RX 9060 XT:8044ポイント
・Radeon RX 9070 XT:1万4059ポイント
・Radeon RX 9070:1万2934ポイント
・GeForce RTX 5060 Ti:7709ポイント
Port Royal
・Radeon RX 9060 XT:9688ポイント
・Radeon RX 9070 XT:1万8368ポイント
・Radeon RX 9070:1万6062ポイント
・GeForce RTX 5060 Ti:9902ポイント
先述の通り、CUの数で単純計算すると「Radeon RX 9060 XTはRadeon RX 9070 XTの半分の性能」となる。しかし、最大クロックを引き上げた成果もあってか、スコア上はRadeon RX 9070 XTの半分を少し上回った。
また、価格帯も近く市場では直接のライバルになるであろうGeForce RTX 5060 Ti(16GB)と比べると、スコア的に遜色はなく、テストによっては勝利を収めている。
今までなら「同等モデルだとRadeonが少し劣る」という印象も強かったかもしれないが、今回は実売価格が同じであればゲームならGeForceでもRadeonでも好きな方を選べるといった感じで良さそうだ。
FF14ベンチマーク/FF15ベンチマーク
続いて、実際のゲームをベースとするベンチマークテストを実行してみよう。
まず、比較的動作が軽い「ファイナルファンタジーXIV:黄金の遺産 ベンチマーク(FF14ベンチマーク」を試す。「軽量」とはいうものの、本バージョンでは時代を鑑みて最低動作要件が引き上げられおり、高負荷時にはAMDのFSR、またはNVIDIAの「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」といった超解像技術も利用できる。
今回は画質設定を「最高品質」とした上で、フルHD/WQHD/4K(3840×2160ピクセル)の3つの解像度でテストを行った。超解像技術は「60fpsを下回る場合に有効」としている。結果は以下の通りだ。
・フルHD
・Radeon RX 9060 XT:1万8420ポイント
・Radeon RX 9070 XT:2万3938ポイント
・Radeon RX 9070:2万4777ポイント
・GeForce RTX 5060 Ti:1万9545ポイント
WQHD
・Radeon RX 9060 XT:1万2845ポイント
・Radeon RX 9070 XT:2万454ポイント
・Radeon RX 9070:1万9566ポイント
・GeForce RTX 5060 Ti:1万4872ポイント
4K
・Radeon RX 9060 XT:5961ポイント
・Radeon RX 9070 XT:1万2494ポイント
・Radeon RX 9070:1万1734ポイント
・GeForce RTX 5060 Ti:7914ポイント
スコアの差は3DMarkのテストの差と近いが、解像度が上がるほど差が開いている。4K解像度となると、Radeon RX 9070 XTの約47%のスコアと半分未満になってしまっている。競合となる5060 Tiとの比較では、フルHD解像度は約1000ポイント、WQHD解像度や4K解像度では約2000ポイントの差が出ている。
実際にテストの様子を見た限りにおいていえば、普通に遊ぶだけなら、WQHD解像度までならミドルレンジGPUでも十分なゲーム体験を得られる。言い換えれば、ゲーム体験ではハイエンドGPUとの差は感じづらいと思われる。
では、FF14ベンチマークと比べると負荷のやや重い「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK(FF15ベンチマーク)」のスコアは、どうなるだろうか。今回は画質を「高品質」で、先ほどと同じくフルHD/WQHD/4Kの3解像度でテストを実施した。結果は以下の通りだ。
・フルHD
・Radeon RX 9060 XT:1万2908ポイント
・Radeon RX 9070 XT:1万9165ポイント
・Radeon RX 9070:1万8213ポイント
・GeForce RTX 5060 Ti:1万6027ポイント
WQHD
・Radeon RX 9060 XT:9362ポイント
・Radeon RX 9070 XT:1万5664ポイント
・Radeon RX 9070:1万4276ポイント
・GeForce RTX 5060 Ti:1万1615ポイント
4K
・Radeon RX 9060 XT:5213ポイント
・Radeon RX 9070 XT:9412ポイント
・Radeon RX 9070:8466ポイント
・GeForce RTX 5060 Ti:6574ポイント
4K解像度を含めて、Radeon RX 9060 XTは意外と健闘している。ただ、解像度が高くなるほどRadeon RX 9060 XTが厳しくなる情勢は変わりない。
解像度が上がるほどに、GPUで処理するデータ量は増える。推測にはなるが、Radeon RX 9060 XTのグラフィックスメモリはバス幅がRadeon RX 9070/9070 XTの半分(256bit→128bit)となるので、そこがボトルネックとなっている可能性はある。
また、FF15ベンチマークでは5060 Tiとのスコア差がより大きく出ている。これは、PC版のFF15がGeForceにより最適化されていることが原因だと思われる。
●重量級のゲームタイトルの動作をチェック!
続けて、重量級のゲームタイトルでも動作を検証していく。
最近はPCでゲームを楽しもうとする人が増えているが、その多くが据え置きゲーム機の代わりに、新作かつ大作のゲームを楽しみたいというニーズを持っている。求める解像度やリフレッシュレートによって、選ぶべきCPUやGPUも変わってくる。
新世代のミドルレンジモデルのRadeon RX 9060 XTは、AAAタイトルを相手にどこまでの結果を出せるのだろうか。
Cyberpunk 2077
「Cyberpunk 2077」は、最近の重量級PCゲームタイトルの代名詞にもなっている。まず、このタイトルにおける平均フレームレートを測ることにしよう。
今回は、ゲームのグラフィックスオプション内にあるベンチマークテスト機能を使って4K解像度における平均フレームレートを計測する。とはいえ、GPUのスペックを考えるとネイティブで4K解像度の描画をするのは厳しいため、超解像技術(RadeonシリーズはFSR、GeForce RTX 5060 TiはDLSS)とフレーム生成機能をオンにした上で、一番負荷の重いプリセット「レイトレーシング:オーバードライブ」としている。なお、GeForce RTX 5060 Tiはマルチフレーム生成も可能だが、今回はRadeonと条件をそろえるために「2x(1フレームに対して1フレームを生成)」設定としている。
結果は以下の通りだ。
・フルHD
・Radeon RX 9060 XT:84.3fps
・Radeon RX 9070 XT:277.55fps
・Radeon RX 9070:294.1fps
・GeForce RTX 5060 Ti:95.57fps
WQHD
・Radeon RX 9060 XT:62.3fps
・Radeon RX 9070 XT:114.1fps
・Radeon RX 9070:98.44fps
・GeForce RTX 5060 Ti:73.94fps
4K
・Radeon RX 9060 XT:38.89fps
・Radeon RX 9070 XT:74.74fps
・Radeon RX 9070:63.72fps
・GeForce RTX 5060 Ti:48.49fps
流石に重量級タイトル、しかもモブキャラクターがたくさん動いて、レイトレーシングも有効ともなると、ミドルレンジGPUでは高い平均フレームレートを実現するのは難しい。
とはいえ、全く遊べないかといえばそんなことはない。WQHD解像度までであればスムーズなプレイを期待できる。4K解像度でも、一部のシーンを除けばまあまあ遊べる。「据え置きゲーム機(PlayStation 5)+液晶TV」で遊ぶのと同じか、少し高いフレームレートを記録できている点は見逃せない。
先に「据え置きゲーム機の代わりにPCを」という話をしたが、この場合予算の都合でグラフィックスカードのランクを下げるというケースも多い。しかし、このランクダウンでゲーム機と比べてグラフィックスが劣るとなれば本末転倒だ。
その点、フルHD/WQHD解像度を前提とする場合は、Radeon RX 9060 XTであれば移行を後悔しない性能を確保できるだろう。その意味では優秀なGPUといえる。
Microsoft Flight Simulator(旧バージョン)
続いて、やはり高負荷ゲームタイトルとして知られる「Microsoft Flight Simulator」の平均フレームレートを見てみよう。本タイトルは最新版として「Microsoft Flight Simulator 2024」も出ているが、今回は1つ前のバージョンをテストする。「1つ前のバージョン」ではあるものの、高いシステム要件が必要なのは変わりない。
今回は超解像をオンにした上で、フレーム生成も有効としてフルHD/WQHD/4Kの3つの解像度でディスカバリーフライト「モナコ」をAI操縦した際の平均フレームレートを「CapFrameX」で計測した。
結果は以下の通りとなる。
・フルHD
・Radeon RX 9060 XT:86.3fps
・Radeon RX 9070 XT:87.7fps
・Radeon RX 9070:87.7fps
・GeForce RTX 5060 Ti:156.2fps
WQHD
・Radeon RX 9060 XT:85.8fps
・Radeon RX 9070 XT:86.4fps
・Radeon RX 9070:86.2fps
・GeForce RTX 5060 Ti:140.3fps
4K
・Radeon RX 9060 XT:68.9fps
・Radeon RX 9070 XT:85.4fps
・Radeon RX 9070:85.6fps
・GeForce RTX 5060 Ti:78.7fps
今までのテストとは異なり、4K解像度を除くとGeForce RTX 5060 Tiが“圧勝”している。ただ、この結果にはからくりがある。
今回テストに使ったMicrosoft Flight Simulatorの旧バージョンはDLSSとFSRの両方に対応している……のだが、FSRは古い「FSR 2.0」への対応にとどまっているのだ。見方を変えると、Radeon RX 9000シリーズでAAAタイトルをプレイする場合は、FSR 3/4に対応しているか否かでゲームの快適さに大きな差が出る可能性がある。
少し古い重量級ゲームを遊ぶ場合は、FSR 3/4に対応しているかどうかをチェックすることをお勧めしたい。対応していれば、ミドルレンジのRadeon RX 9060 XTでも満足いくフレームレート、ゲーム体験を得られるはずだ。
モンスターハンターワイルズ
今、重量級のゲームタイトルのテストとして外せないのは「モンスターハンターワイルズ」だろう。
モンスターハンターワイルズの発売に向けゲーミングPCを用意した人もいれば、元々持っているゲーミングPCでプレイした結果、グラフィックスカードの買い替えを検討している人も多いだろう。何なら「高難度のクエストが追加されるまでに、PCを新調したい」なんていう人がいるかもしれない。
今回は、同タイトルのベンチマークテストを使って、グラフィックス設定をプリセットの「ウルトラ」に設定してフルHD/WQHD/4Kの3つの解像度でスコアと平均フレームレートをチェックする。超解像とフレーム生成(FSR/DLSS)は有効としている。結果は以下の通りだ。
・フルHD
・Radeon RX 9060 XT:2万4147ポイント(141.56fps)
・Radeon RX 9070 XT:3万5836ポイント(210.66fps)
・Radeon RX 9070:3万4795ポイント(204.48fps)
・GeForce RTX 5060 Ti:1万7665ポイント(103.46fps)
WQHD
・Radeon RX 9060 XT:2万23ポイント(116.83fps)
・Radeon RX 9070 XT:3万2726ポイント(192.46fps)
・Radeon RX 9070:3万851ポイント(180.48fps)
・GeForce RTX 5060 Ti:1万5195ポイント(88.26fps)
4K
・Radeon RX 9060 XT:1万3207ポイント(77.29fps)
・Radeon RX 9070 XT:2万3609ポイント(138.4fps)
・Radeon RX 9070:2万1475ポイント(125.88fps)
・GeForce RTX 5060 Ti:1万752ポイント(62.93fps)
「一狩り行く」という観点では、Radeon RX 9060 XTは性能と価格のバランスが絶妙だ。フルHD/WQHD解像度であれば、スコアはもちろんフレームレートは十分に高い。
やりこんでいるハンターによると「実際のゲームはベンチマークよりも重たいシーンがある」らしいのだが、それを加味してもゲームコンソールと同等かそれ以上のフレームレートは出るだろう。
●動画の書き出しも速い
現在のGPUは、ゲームだけのために存在するものではない。クリエイティブな作業においてもGPUを利用することで、編集が軽量になる、データの書き出しが高速になるといった利点が大きい。
そこでクリエイター向けの作業として、特にGPUの効果が分かりやすい「動画の書き出し時間」でRadeon RX 9060 XTのクリエイター向けの性能をチェックしてみよう。
今回は「GoPro HERO 10」を使って撮影した数本の4K動画を「Adobe Premier Pro」で30分ほどにまとめて、4K動画として書き出すのにかかる時間を比較する。結果は以下の通りだ。
・Radeon RX 9060 XT:4分22秒
・Radeon RX 9070 XT:3分2秒
・Radeon RX 9070:2分56秒
・GeForce RTX 5060 Ti:7分18秒
先代のRadeon RX 7000シリーズでも、ミドルレンジモデルにおける動画の書き出しは高速で驚いたのだが、それはRadeon RX 9000シリーズでも健在のようだ。
上位のRadeon RX 9070/9070 XTは更に速いのだが、グラフィックスカードの販売価格は倍近くすると思われる。書き出し時間が半分になるわけでもないので、費用対効果の高さでみるとRadeon RX 9060 XTは「動画のエンコードに適したGPU」と評価することもできる。
●WQHD解像度をターゲットにするなら裁量の選択肢
これまでのミドルレンジモデル同様に、Radeon RX 9060 XT(16GB)はフルHDでのゲーム体験に重点を置きつつ、最近のトレンドのWQHD解像度でのゲーム体験にも十分に対応できるパワーを持ったGPUだと分かった。
Radeon RX 9070 XTと比べても単純に「半分の性能」というわけではなく、WQHD解像度までなら多くのゲームで十分なパフォーマンスを発揮する。フルHD解像度なら最高画質設定でも問題なく遊べるので、ゲーミングPCの購入やアップグレードにおける満足度は高いだろう。今回レビューしたPULSE AMD Radeon RX 9060 XT 16GBは、カードの全長も短いので、ケースとの干渉を気にする必要が少なく、組み込みやすいことも魅力だ。
気になる消費電力だが、3DMarkの「Time Spy Extreme」実行時で最大429Wと、そこまで高くない。補助電源ピンも8ピン1つで済むことも考えると「既存のPCのアップグレードパーツ」としても、エアフローや電源容量など気にせずに、買い替え先として選びやすい。
「ハイエンドこそ至高」というユーザーには響かないだろうが、現実的に「ちょうどいいGPUはどれだ?」と考えたとき、Radeon RX 9060 XTは最初に候補に挙げたくなるGPUであることには間違いない。
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