かみつき犬の柴犬が、殺処分寸前に保護施設へ「笑った顔を見たことがない」→「大喜びで走り回る」ように

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2025年06月05日 14:50  まいどなニュース

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わんずふりーのところにやって来たまりおくん(「一般社団法人わんずふりー」さん提供、Instagramよりキャプチャ撮影)

「以前より相談を受けていた、3年半鹿児島の管理所にいた咬傷犬の黒柴くんを引き受けることになりました」

【写真】人の膝の上に乗るようになった黒柴さん

鹿児島市の市動物愛護管理センターから譲渡困難犬のための保護施設「一般社団法人わんずふりー」(@wansfree 代表・齊藤洋孝)の所にやって来たという黒柴のまりおくん(推定11歳)。かみつき、うなりなどが激しい咬傷犬(こうしょうけん)です。

同センターに3年半ほど過ごし、打つ手がなく殺処分寸前となっていたところを、鹿児島で活動している動物保護団体の「NPO法人あんじゅりあん」から相談を受け、まりおくんを引き取ることになりました。

「あんじゅりあんの東さんから以前より相談を受けていたのですが、うちもいっぱいなので何とか手を尽くして、本当に無理だった場合連絡くださいと伝えていました。咬傷犬ということもあり、引き受け先は見つからず、東さんたちが必死に引き伸ばしてきた殺処分の期限が目の前に迫ってきました。それで覚悟を決め受け入れたんです」

センターで誰も触ったことのない黒柴だったが…

そこで、まりおくんをわんずふりーの施設にお迎えしました。

「管理所で誰も触ったことも、笑った顔も見たことがないと言うことだったので、信用されるのに時間がかかるだろうと思いました。当初クレートの中からじっと見つめる目は、疑いと不安が交錯していたのを覚えています。しかし、かまれるのは承知の上で、いきなり自由にしてあげた瞬間から大喜びで走り回り、ひとしきり遊んだ後、私の膝の上に飛び乗ってきました。きっとまりおは信じてもらいたかったのかもしれません、過去も未来もすべて…」

咬傷犬とレッテルを貼られていたまりおくん。なつくのに時間はかかりませんでした。そんなまりおくんのような犬たちを受け入れることについて、齋藤さんはこう話します。

「基本どんな犬にも同じ接し方なのですが、そばに来て身体を預けてくればそっとさわってあげる、目があったときはどんなに忙しくても無視しない、必ず毎日話しかける。そしてご飯の前に『いただきます』の代わりに『スワレ、マテ、ヨシ』を教え込む。他は24時間自由です。そしてまりおは、日々の中、良いこと悪いこと、うれしいこと悲しいことを自分の中で自然に消化していき、落ち着いた心になってくれたと思います」

現在、まりおくんは穏やかな性格で譲渡会にも参加。不特定多数の方とのふれあいを経て、多くの人たちにかわいがられる存在となりました。既に里親候補さんとのお見合いの予約も入っているとのことです。

行き場のないかみつき犬の保護施設 共同生活をしながら犬社会を学ぶ

齊藤さんは2014年から個人で犬の保護活動をスタートし、咬傷犬の行き場がないことを活動の中で実感して譲渡困難犬のための保護施設として「わんずふりー」を開設したとのこと。現在は全国の行政、保護団体より扱いの難しい咬傷犬を主に引き受けています。犬たちは24時間自由な自然環境で共同生活をしながら犬社会を学び、心と身体をリセットし、自身が負った「さまざまな傷」を癒します。そして看取りまたは譲渡に結びつける活動をしています。

また鹿児島市の市動物愛護管理センターでは、2021年1月を最後に犬猫の殺処分が4年以上なく、今後も行われない見通しのため、センターで使われてきた犬猫の殺処分設備について、撤去の検討をしているとのこと。市は譲渡促進などを進め「殺処分ゼロ」の継続を目指しているそうです。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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